⑩孤独の白
「それじゃぁ、各パーティのリーダーはこっちに集合してくれ!」
名も知らない戦士風の冒険者が手を大きく上げ、声を上げた。
彼の首から銀色に光る証が見える。
これから彼は何をする気なのか。俺が顎の下に指を置いていると、アイリーンが俺のすぐ後ろで立ち止まる。
「パーティごとの能力や人数等を共有して、討伐に関する役割を決めるんですよ」
「何だ………こう、早いもの勝ちだっていう感じで、一斉に森の中に入るんじゃないのか」
「………リュウさん。それだと森の中に入った途端に、誰が敵で誰が味方か分からなくなりますよ」
近くで聞いていたロロが苦笑気味に言葉を漏らした。
「まぁ、確かに」
森の中から突然現れた正体が、冒険者か盗賊かの区別を一瞬でつけられるかと言われれば、全くもって自信がない。俺はここにいるメンバー以外、他の冒険者の顔も名前も知らないのである。
そこにふと、隣の馬車に寄りかかっていた重戦士に目が向く。
「あ、あいつ」
「リヴォルさん、ですね」
昇級試験でリーダーを務めていた男。彼の首から下げている冒険者証の色から、昇級出来なかった事が伺える。
「白級がここにいるって事は―――」「誰かさんと一緒で、自己責任での参加って事だ」
アイリーンの言葉に、俺が意地悪く言葉を乗せる。
「見た所、支援も回復役もいないようですね」
「報酬もないのに………ご苦労な事だ」
大方、盗賊団を討伐した実績が欲しいのだろう。彼自身がどんなに弁護しても、あれだけの失態を公の試験で晒してしまった以上、周囲の目は厳しくなる。ならばと自己負担覚悟で自身の評価を高めようとするに違いない。
俺は昔の自分を参考にしながら、彼の心情を読み解いてみた。
リヴォルがこちらの視線に気付く。だが、彼はすぐに顔を背け、森の方角へと歩いて行ってしまった。




