⑤冒険解説職、参戦
「ショーン………ひっ、ショーンさん。今回は冒険者として参加するって本当なのか」
メイドの殺気を一瞬感じて背筋が伸びたが、俺はゆっくりと彼の下へと進み、前に立つ。コルティが視線を向けてくるが、敬称を付けた事でその視線に敵意が徐々に下がっていった。
「あぁ、リュウか」
確かに険しい顔をしている。一応こちらを向いてはいるが、視線がやや遠い。いつもならば、こちらを揶揄う単語の一つが意地の悪い笑顔と一緒に出してくるはずである。
彼は自分の籠手の締まり具合を確認しながら口を開く。
「昨日は冒険解説職として出来た事が限られたからな………いわゆるお礼参りって奴だ」
成程。
彼なりに、シランド達の怪我に責任を感じているらしい。冒険解説職の仕事として何も問題は無かったとドリス嬢は言っていたが、世話になった人間が怪我を負ったという点においては、同じ思いがある。
「そう言えば………ショーンさんの等級って一体―――」
これまでの動きと経験から、それなりに経験があるという想像は出来るが、そもそも彼が冒険者として戦った姿を見た事がない。
「等級? あぁ、一応あるぞ」
俺の不安を余所に、ショーンは胸元から冒険者証を取り出した。
「じゃじゃーん」
「って、何だよ! 白じゃねぇかよ!」
期待して損をした。彼が笑顔で見せてきたプレートの色は純粋な白。年季が入っているのか、プレートの角に平行した傷が何本か走っていたが、紛れもなき初心者の証である。
「おぃ………白級は参加できないんだぞ?」
「んなこたぁ、分かってる。だから依頼ではなく、独自の参加だ」
参加費も受け取らず、正規の受付も行わずの申告のみ。完全に自主的な行動だとショーンが説明する。
当然、ギルドからの報酬どころか保障も記録も一切何もつかない。自己責任と自己満足という名の下に、全てが片付けられる。




