③男の器
だが、そんな鼻につくような俺の問いに、アイリーンは正面を向いて目を細め、さらに頬を緩ませる。
「上位の等級がリーダーを務める事は、冒険者の基本です。貴方の要望通り、私がリーダーで構いません………ですが、良いのですか? 仇を討つ事が目的の私が指示を出してしまっても」
それ以上の言葉を出す事はしなかったが、彼女の鋭くも深い瞳が俺の顎を引かせる。
鼻で笑い返した。
「気にするな。何かあれば、責任を取るのはあんただからな」
「リュウさん………言い方」
笑い返す俺の表情に、横に立つロロが小声で釘を刺しにくる。
「もう一つ」
俺は指を一本立てた。
「準備、戦利品、報酬は全て三等分だ」
装備品や貴重品等、数で割れない物については店に売るか、リーダーが買取って分割する。俺はそう提示する。俺達を敵討ちに巻き込むのだから、リーダーの方が取り分が多いというのはいささか都合が良すぎるというものである。
「はぁ………それで、構いませんよ」
「リュウさん。流石にそれは―――」「そうね、ちょっと欲張り過ぎかしら」
ロロが言葉を挟もうとした瞬間、俺の背後から声が落とされる。
振り向くと、そこには紅の神官服を着た黒髪の女性が立っていた。
「フォースィ、さん」
「今更『さん』付けは不要よ」
そしてすぐに、フォースィが話を戻す。
「普通はパーティリーダーが多めに貰う事くらい、知っているでしょう? いくらその娘が仲間の敵討ちにあなた達の力を借りたいといっても、そこまで譲歩させるのは、格好が悪いわよ」
彼女が青銅であしらわれた竜の彫像の杖を俺の鼻先に向ける。
「そうね。参加費の金貨は各自の報酬として………ここは、貴方達が二、私が四って所かしらね」
「おぃ、流石に俺達の取り分が二割って!」「リュウさん、そこじゃないですぅ!」
ロロが俺の服を強く掴んでくる。




