①緊急依頼
翌日。
グーリンスの冒険者ギルドから緊急の招集が、冒険者達に向けて発せられた。
朝の掲示板狙いで受付近くにいた俺とロロも、その号令が耳に飛び込んでくる。
「全員、聞けやゴラァッ! 緊急依頼ヨォォォォッ!!」
―――緊急依頼。
その短い単語に、受付周辺に集まっていた冒険者や、食堂で朝帰りの冒険者達が一斉に沈黙し、掲示板の前で依頼書を掲げるドリス嬢に注目した。
そして全員の視線が集まった事を確認したドリス嬢が、ただでさえ大きな口をさらに開く。
「依頼主は、グーリンス領主! 依頼内容は、南部に潜む盗賊団の壊滅ヨ!」
昨日この場にいた者ならば、誰もが返り討ちにあったシランド達の一件に関わっている件だと結びつく。
それでも尚、簡単な依頼だと呟き、ほくそ笑む冒険者達がちらほら見て取れる。
―――そんな訳がない。
あの二人が手に負えなかった程の相手が敵である。
俺は静かに腕を組み、周囲の反応を見極めることにした。
ドリス嬢が叫ぶ。
「参加報酬は一人金貨一枚! さらに討伐した盗賊の数によって、追加があるワ!」
参加するだけで、金貨一枚。
破格な報酬に、ほぼ全ての冒険者達が雄叫びに近い声を上げた。
その一方で、俺の体の中心が徐々に冷えていく。
「参加資格は青銅半級以上、人数は無制限! さぁ野郎共! さっさと名前を書きに来なさいヨ!」
ドリス嬢の漢(?)らしい見事な演説に、冒険者達が一斉に受付へと雪崩込んだ。
さてどうしたものか、と俺は我先にと横を通り過ぎていく冒険者達を一瞥しながら壁へと静かに下がり、ゆっくりと背中を預ける。
ロロもそれに追随し、俺の傍で立ち続けていた。
「リュウさん。僕達はどうしますか?」
相方も俺と同じ事を考えていたのか、慎重で落ち着いた瞳でこちらを覗き込んでくる。




