↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
200/245

①深夜の雨音

 部屋は暗かった。

 いつもなら丁度いい時間に照明を点けてくれる者がいないのだから当然である。

 青年は窓から入る僅かな光のみで、酒の入った木製のジョッキを小さく回していた。

 それでも暗い。

 窓越しから伝わる水滴の波と音から分かる天気であれば、当然である。

 既に時刻は深夜。日が変わって一時間が経過しようとしている。

 窓から同じ音の雨が続いており、空気も幾分か湿っていた。


 そこへ、家の戸が静かに開く。

「只今、戻りました」

 メイド姿の猫亜人族(バステト)が傘を閉じ、濡れた服を払いながら帰宅する。


「………迷惑をかけた、コルティ」

 青年は振り返る事なく、空になったジョッキをテーブルに置く。

 振り返られなかった。

 自分の過ちで、冒険者を危険に晒しただけでなく、一生の傷を負わせる事になってしまった。さらには、自分のメイドに回復(後始末)を任せるという尻拭いまでさせている。

 主人として、彼女に顔向けが出来なかった。


「迷惑など、とんでもありません」

 コルティは小さく頭を下げると、近くに置いてあったタオルに気が付き、小さく微笑みながら濡れた体を拭き始める。

「お二人の容態は安定しました。一月もすれば、動けるようになるでしょう」

「………だが、冒険者としての道を閉ざさせてしまった」

 青年が天井をそっと向く。


 盗賊であるシランドは、四肢の怪我で今まで以上に素早く動く事が難しくなるだろう。弓手のダッカ―に至っては片腕を失っており、二度と弓を握る事はない。

 青銅(ブロンズ)級の冒険者が、盗賊相手に囲まれ重傷を負っただけでも、人によって嘲笑の種になるだろう。しかも恥ずべき冒険解説職(チュートリアラ―)をわざわざ要請してまで連れていたとあっては、彼等を諫める者も少なくなる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。