↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Lost13 無名の青年が無名で終われる物語  作者: JHST
第七章 初級冒険者、帰還する
199/246

⑦冒険者という存在

「俺がついていながら………すまない」

 ショーンの独り言の様な呟きに、ドリス嬢は視線を向けずに太い腕を組んだ。

「ダーリン。ただの随伴者である冒険解説職(チュートリアラ―)が謝っちゃ駄目。むしろ、ダーリンがいてくれたお陰で、彼等をここまで連れて来られたのヨ?」

 そう言い終えると、ドリス嬢の大きな手がショーンの肩の上に乗る。

 何でも知っており、何でも出来る彼は、それこそ自然体のまま立っていたが、俺には全身に力が入っていないように見えた。周囲の冒険者からは、冒険解説職(チュートリアラ―)はやはり無能だと囁く声が流れてくるが、ショーンもドリス嬢も何も反応しない事が、反って孤独の様な哀しさを訴えているようだった。

 俺は周囲に気付かれないよう、拳を強く握りしめた。



「リュウ」

 彼にも悪辣な言葉は耳に入っているのだろうが、ショーンはその一切を無視するように俺の名を呼んだ。

「あ、あぁ。何だ?」

 俺も彼の行動に合わせるよう、静かに彼に顔を向ける。

「悪いが、ロロと一緒に、家にるコルティに事情を説明してくれ。恐らく、街医者を連れて来る流れになると思うが………その手伝いをしてやってくれ」

 言葉にはしなかったが、コルティが亜人である事に支障をきたすかのような言い方のように聞こえた。

「必要ならギルドの名前を出しても構わないワ。とにかく急いで頂戴」

「お、おう!」「分かりました!」

 俺とロロは、すぐにギルドを飛び出す。


―――その日。

 冒険解説職(チュートリアラ―)を雇った青銅(ブロンズ)級冒険者が、盗賊達にしてやられた事は多くの冒険者達の知る所となった。ある者は盗賊達の存在を危惧し、ある者はシランド達を等級に見合わない実力だったと酒の肴にして笑っていた。

 俺にとっては大きな事件だが、殆どの冒険者達にとっては日常の茶飯事の一つでしかなかった。

 何が正しいのか、それは誰にも分からない。

 だがそれが、冒険者になるという事だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。