⑥依頼失敗
「二人共、死なないでください!」
アイリーンが魔導杖に光を込め、必死に回復魔法を放ち続ける。他の魔法使いも、彼女程の明るさはないものの魔法を放ち、二人の傷口を塞いでいく。
「ドレスデン」
ショーンが到着する。
「ドリスって呼んで頂戴、ダーリン」
ドリス嬢が険しい顔のまま立ち上がる。シランド達の容態を触りながら確認していた為、ドリス嬢の大きな手や床に付いた硬い膝は、赤く染まっている。
「………報告を頂戴。確か、南の盗賊絡みで偵察に向かっていたはずよネ」
自分が担当したはずだとドリス嬢が、冷静にショーンを問い詰めた。
「あぁ。だが、偵察中に盗賊達に包囲され、襲撃を受けた」
「包囲? ダーリン達が? ギルドの情報だと、盗賊といっても寄せ集めのならず者達よ。ダーリ………いえ、青銅級の冒険者に気付かれず、しかも森の中で包囲出来るだけの組織力があるなんて聞いていないワ。それに—――」
言いかけた所でドリス嬢がはたと気付いてショーンを見ると、すぐに口を紡ぐ。
「何でもないワ。それで、冒険解説職が救助活動として二人を連れて来たって訳ね」
ショーンが目を一度瞑る。
「あぁ。二人には悪いが、冒険解説職として、依頼の遂行が不可能になったと判断させてもらった。取り敢えず、手元の薬で最低限の処置を施してあるが………傷が深く、出血も相当に酷い」
回復薬は止血だけでなく、皮膚や筋肉組織の再生を促すが、傷病者の体力や魔力のみを使って作用する為、回復魔法以上に本人への負担がかかる上、失った血液や体力を増やすまでの効果はない。




