⑤三人目の男
「シランド! ダッカ―!? 二人共っ、どうしてっ!?」
俺とロロの間を分け入ったアイリーンが、仲間の名を叫んだ。
「薬の手配! それと、回復が使える者はこっちに来なさい!」
近くにいた受付嬢に指示を出したドリス嬢は、机の上に片手を着いて飛び越え、周囲の冒険者に声を掛ける。
「わ、私も行きます!」
動揺しつつも、アイリーンがドリス嬢の後を追う。遅れて近くにいた複数の冒険者も、シランド達に向かって走り始めた。
ギルドに運ばれた怪我人は、俺達が良く知る青銅級冒険者のシランドとダッカ―の二人だった。
軽装とはいえ、シランドの鎧は斜めに切り裂かれて半壊、その切れ目からは大量に出血していた事を証明する色で染まっている。弓手のダッカ―も体の至る所を斬られており、加えて左肘から先が無くなっていた。
既に最低限の治療を受けていたのか、二人の体には赤く染まった包帯が全身に巻かれている。
「二人がここまでの怪我を負うなんて」
「何が起きたんだよ」
あのデスタウロス相手にも戦えた感覚があるだけに、ロロや俺の中で何かが激しく揺れていた。
「リュウさん………あれ」
ロロが、視線で続きを語ってくる。
ギルドの扉を押し殺すように入ってくる、冒険解説職の男。
「………ショーン」
言葉に力が籠る。
彼の服や革鎧にも、多くの赤が纏わりついていた。
ショーンはシランド達の場所を確認すると、二人の治療を始めていた集団の中にいるドリス穣の下へと無言で向かう。
俺はロロと目を合わせて小さく頷き、シランド達の下へと向かった。




