④急転
さらに今回の報酬も受理する。試験という事、荷物の損失という事から、流石に満額という訳にはいかなかったが、それでも白級の頃よりも遥かに多い。
「これから依頼の報酬も増えるワ。その分、武具の新調も―――」
ドリス嬢の助言の最中、ギルドの扉が勢いよく開かれた。
「怪我人だ!」
城門に詰めていた衛兵が息を切らして中へと入ってくる。
彼は冒険者の重傷者が街に入って来たと叫ぶように周囲へ説明すると、すぐに近くにいた冒険者達を散らす。そして、遅れて到着した別の兵達が冒険者を担架に乗せて入って来た。
「おぃ白級共! 場所を開けてやれ! 入ってくるぞ!」
中級冒険者が動揺し、冒険していた素人達を怒鳴りつけ、利口付近の空間を広げさせる。
怪我をした冒険者が担ぎ込まれる事はままある。
街の門を守る衛兵達は、冒険者ギルドと提携しており、重症の冒険者が街に到着した際、加えて彼らが自力で動く事が出来ない時、衛兵は冒険者ギルドに運ぶ事が仕事として与えられている。逆に魔物の侵攻等によって街が危険に晒された際には、衛兵達は冒険者を防衛線へ参加させたり、仲間の治療などを優先的に依頼する事が出来る。
「そこの隅を使いなさい!」
俺の目の前でドリス嬢が声を荒げながら指を向け、本能に近い速さで怪我人を寝かせる場所を指定した。他の冒険者達も何も言わずに道を開け、部屋の隅にいた複数の冒険者達が慌てて場所を開ける。
担架は全部で二台。二人だけだったのか、二人しか帰ってこられなかったのか、それは分からない。
「よし、降ろすぞ! いち、にぃ、さん!」
衛兵達が提供された部屋の隅まで担架を運ぶと、慎重にゆっくりと降ろす。
一気に張り詰めた空気となった空間で、他の冒険者達と同様に俺達もその動きに視線が向く。気が付けば、入口から担架の通った後には、赤い斑点が等間隔に落ちていた。
「リュウさん………」
「あぁ」
担架に乗せられていた冒険者は、俺達の知る二人だった。




