②相応の成果
「昇級? 合格って事ですか?」
「えぇ、昇級。青銅半級よ。良かったわね」
フォースィに眉を潜められ、棒読みされる。
「いや、だって………あれだけ失態を」
「誰も完璧な依頼をしろとは言っていないわ。それに、依頼が常に成功するとも限らない。ギルドが最も評価すべきは、等級に相応しい冒険者として、正しく振舞えたか。その一点のみ。勿論、成功するにこした事はないけれど、それだけでは判断しないの」
フォースィは今一度異なる表現で、今回の依頼を評価する。
「私兵がいたとはいえ、白級冒険者のみで構成されたパーティが、あれだけの襲撃を受けて全滅しなかった。それ所か、依頼人を無傷で守り抜き、積み荷の一部も残す事に成功した。そして、目的地まで混乱する事なく辿り着いたのよ? それのどこが不満なのかしら?」
「いや………リーダーと揉めたし」
「それこそ、リーダーの問題ね。少なくとも、貴方達はリーダーに助言した、しかしリーダーが採用しなかった。その時点で、貴方達に責任はないわ」
むしろ、リーダーを務めたリヴォルが無能だと、フォースィが吐き捨てる。
「彼には、もう一度、白級として学び直してもらいましょう。そうね………一年くらいかしら」
目が細まり、小さく肩が揺れている。
この人には逆らってはいけない。俺はコルティと同じ気配を瞬時に嗅ぎ取った。
フォースィが改めてこちらに視線を戻す。
「そういう訳で合格。でも、青銅半級からが本番よ。受けられる依頼が増える分、責任も増えるし、それこそ死ぬ確率も跳ね上がるわ」
「だが、稼ぎも跳ね上がるんだろう?」
俺は強くなって金を稼がなければならない。
「そうよ。ま、精々、長生きしなさい」
フォースィが扉を開けた。
「新しい冒険者証と報酬は、受付で貰いなさい」
「分かりました」
用は全て済んだと、彼女が目を瞑る。
俺は立ち上がり、無言のまま扉へと向かう。そして彼女の横で立ち止まると小さく、しかし丁寧に頭を下げてから部屋を後にした。




