①試験結果
俺は小さなギルドの個室に座っていた。二、三人しか入れない程の狭さ、中心にあるテーブルに向かい合わせにある粗末な椅子。
まるで尋問部屋である。
―――暑い。
目につく体の汚れは、グーリンスの街に着くまでの馬車で拭き終わっているが、鎧の中や服に染み込んだ蛮族の体液や自分の汗はそのままである。暑さを紛らわす為に襟元に指を入れて中の空気を追い出したい衝動に何度も襲われるが、一度扇いで嗅いだ悪臭を思い出し、指が襟にかかる所で何度も断念する。
「それじゃぁ、結果を伝えるわ」
正面では試験監督を務めたフォースィが、壁を背にして俺の前で立っていた。彼女は終始座る事なく、今回の依頼に関する俺の報告を淡々と聞き続けている。彼女からの質問もいくつかあったが、どれも一問一答形式で済ませられるものばかりであった。
「今回の依頼は、道中で蛮族達の襲撃を受け、依頼人の財産に少なくない損害が発生。正直な評価として、依頼の達成と呼ぶにはあまりにも厳しい結果ね」
その点については弁明のしようがない。冒険者として生きていく以上、相手が悪かったなどと口が裂けても言える訳がない。
フォースィの追及が続く。
「加えてリーダーとの確執の挙句、依頼人の前で仲間割れ同然の醜態。奇襲された場合の対応を事前に協議出来ていなかった点も、集団行動としては厳しい減点に繋がったわ」
リーダーを説得出来なかったという面でいえば、これも止む無しである。
「他にも気になる点は複数あるけれど、面倒なので割愛します。以上の事情を考慮し、貴方の昇級は認められる事となりました」
「………そうだよなぁ、あれだけの事をやらかしたんだから………ん、ちょっと待て?」
耳に入ってきた言葉を必死に思い出す。




