②振り返れば、妙な縁
「そ、そういうものか」
「ええ。そういうものです。もしかして、リュウさん………ご存じなかったですか?」
まるで常識だと言わんばかりのロロが、全く悪気のない笑みで『またまた冗談が上手い』と肩を揺らして笑っていた。
「ま、まぁ、あれだ。常識になる程、人は油断しやすいっていうからな」
誤魔化したつもりで出た言葉だったが、ロロは目を大きくさせて動きを止めている。
「流石です………確かに、相手の常識を利用される程、恐ろしい手はありません。この街道も、ずっと襲撃はないと聞いていたので、何も考えていませんでした」
真面目過ぎる。
相方となって、まだ日は短いが、魔法使いのロロはその知識の多さから、こちらの言葉を正面から受け過ぎたようだ。
「では、今度は僕が見張りを代わります。リュウさんは、一度中で休んでください」
「お、おう。じゃぁ、頼む」
断る雰囲気でもなくなり、俺はロロに御者席の横を譲った。
馬車の中は幌で覆われ、日差しから体を守ってくれる。
俺は荷物の間に開けられた隙間に腰を降ろすと、置いておいた自分の背嚢から小さな干し肉の欠片を取り出して齧り始めた。
初めての商隊護衛。
冒険者として、今まで採掘の依頼ばかりを受けて日銭を稼いでいたが、様々な事故と縁を経て、この依頼に辿り着く。
後ろでは三台の馬車が続いている。今回の依頼を受けた先輩冒険者でもあるシランドとダッカ―は一、つ後ろの馬車にいるはずだ。
一週間前の洞窟で臨時にパーティを組み、そこで落とし穴にはまった俺とロロだけが下層で遭難。その後、彼らに救出されて以来、妙な関係が続いている。見た目は中年でやや強面だが、俺よりも遥かに誠実で冒険者の流儀を理解している。




