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Lost13 無名の青年が無名で終われる物語  作者: JHST
第十一章 初級冒険者、生還する
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⑩新しい仕事

「ふっふーん。そいつぁ丁度いい」

 ショーンは座ったままのマーガレッタ嬢をわざとらしく一瞥するが、彼女は何事もなかったように頬杖をつき、外の風景を眺めながら煙管を吸い始めた。


「実は一週間後に、とある商人が隣町に向かう事になっていてな、荷馬車の数も多いから護衛を探しているそうだ」

「一週間後………成程。それを俺達にですか? ですが、俺達は今―――」「大丈夫だ、予約だけならば依頼とはみなされない」

 ショーンが片目を瞑る。対するシランドはギルド職員の前で交わされる違反行為紛いの行動に、思わず煙を吐いている女性職員に目を落とす。

「こっちを見るんじゃないよ。私は、ここで休憩がてら煙を吐いているだけ。何も聞いていないし、何も答えないわよ………ったく、うちの冒険解説職(チュートリアラ―)はろくでもないんだから」

 俺の目の前で、彼女は不機嫌になっていた。

 だが、その頬は僅かに緩んでいるようにも見える。

 運悪く目が合った。

「おや、白級(ホワイト)さん。何か言いたいのかい?」

「な、何でもありませーん!」

 やはり彼女には敵わない。俺は全力で首を左右に振った。


「それじゃぁ、予約で良ければ」

「よし、決まりだ。こちらとしても、信頼できる人間を紹介出来る事は嬉しい限りだ」

「シンライ………」

 ダッカ―がやや眉を下げる。

 だが、ショーンは顔の前で手を左右に振る。

「信頼とは、成功した数だけで決まるものじゃない。むしろ失敗した時にこそ、その人間の真価が問われると思え。君達は、失敗と責任から逃げずに行動し、結果も全て受け入れた。冒険解説職(チュートリアラ―)として偉そうに言わせてもらえば、その行動だけは満点だ」

 勿論、失敗しないに越した事はない。そう付け加える。

 そしてショーンは腰のポシェットから小さな麻袋をシランドに手渡した。

「仕事が終わったら、報酬を払う」

「えっと………まだ、予約ですよね? これは………」

青銅級(ブロンズ)の一週間後の行動を制限したんだ。そいつは、迷惑料だ」

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