⑨責任ある者
「ショーンさん。聞けば、彼は貴方の弟子にあたるとか………この度は、親しい者を危険に晒してしまい、申し訳ない」「ちょっ―――」
治療費の全額負担。
一週間の冒険者活動の停止処分。
その全てを、彼等は異論なく受け入れていた。
謝罪を受けたショーンは、腕を組んだまま目を細め、シランド達を見定める。
「正確には生徒だ。弟子じゃない」
それに、と言葉を続ける。
「確かにお前達の責任に変わりはないが、即座にこの件を近くの冒険者に依頼する形でギルドに報告に行くように手配した事。そしてお前達がそのまま下層に向かって捜索を始めた事。その判断は正しかったと評価できる」
途中、依頼と訓練を兼ねていたアルゼットと合流出来た事も運が良かった。
「それに、ギルドの要請に従って事後報告も丁寧に対応してくれたわ。私達としては、これ以上の処分を貴方達に与える必要はないと判断しての結果です」
マーガレッタ嬢がギルド職員としての立場で説明する。
「そういえば俺の方からも、言わなければならなかった」
そう言い終えると、ショーンが立ち上がった。
「教え子の命を助けてもらった。二人の誠意と行動に感謝する」
「………有難うございます」
シランドが手を伸ばし、ショーンはその手を取った。
ショーンがこちらに視線を送る。
「覚えておけ。これがリーダーのあるべき姿だ」
「………あぁ。忘れねぇよ」
リーダーとその責任。冒険者としてあるべき姿。この一件で俺が得たものは、どれも大きいものばかりだった。
「さて、話を明日以降の話に向けたいのだが」
手を離したショーンが両手を胸の前で叩き、話題を変える。
「お前達は、この後どうする? 何か予定があるのか?」
シランドがダッカ―に振り返るが、肩をすくめたまま苦笑で返される。
「お恥ずかしながら今回の件で、先立つものが底を尽きかけておりまして………ギルドの依頼は受けられないので、短期間の仕事に就こうかと」
寝る場所と食事で精一杯という状況に、シランドも苦笑するしかなかった。




