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Lost13 無名の青年が無名で終われる物語  作者: JHST
第十一章 初級冒険者、生還する
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⑧だから規則がある

「………被害を受けた俺が頼んでも駄目か?」

 このままでは二人に合わせる顔がない。俺は自分の頭で考えられる精一杯の案を提示する。

「気持ちは分かるけれど、その要望は受けられないわ」

「何でだよっ!?」

 俺はいきり立った。


「相手から脅迫されている可能性があるからさ」

 声はすぐ横から落とされてきた。

「………シランドさん? それに、ダッカ―さんも?」

 俺は目を丸くする。

「相変わらずだな。追いかけて正解だったぜ」

「ソンナコトダロウト、オモッタ」

 二人共、苦笑しながら小さく手を上げて挨拶する。


「なぁ、リュウ」

 そして真剣な面持ちになる。

「別に二人は悪意があって拒否しているんじゃない。もしもお前の訴えで、処分が取り下げる事が可能になったら、今後臨時パーティで問題が起きた場合、下の等級の同業者達はどうなると思う?」

「う………」

 言われて初めて気付く、簡単な結論。

 被害者の訴えでリーダーの責任が回避出来るなら、上位の冒険者達は金にしろ、脅しにしろ、自分より下位の冒険者達を黙らせる事が出来る。仮にそうならなくても、下位の冒険者は今後の行動を考え、上位の冒険者に忖度するに違いない。

 その訴えが、冒険者ギルドは他者からの圧力なのか、自主的なものなのかを判断する事は不可能だ。

 故に、例外なく『リーダーや上位の冒険者の責とする』と定めた方が、冒険者にとってもギルドにとっても明快となる。

 俺以外の冒険者達の想いを背負う事は出来ない。

 止む無く、静かに座った。


「ま、お前の気持ちは有り難く貰っておくぜ」

「よ、止せって! そんなんじゃ………あ、頭を撫でるな! もうガキじゃねぇんだ!」

 手を伸ばして嫌がる俺を笑いながら、シランドが俺の髪を何度もくしゃくしゃに掻き混ぜる。

 そして、すぐにその手を止めると、シランドとダッカ―は深く頭を下げた。

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