お墓は勝手には立てられない
例え自分の所有する敷地内であったとしても、お墓は立てる事はできない
ただし遺骨を埋葬していないモニュメントの場合はその限りではない
だからどうだと言う訳ではない
友人が実際に眠るお墓を綺麗にする
霊園と呼ばれる場所の一角
黒御影石の奇抜なデザインのお墓
ピカピカにして反射させる
顔も良く映る
高級感はあるが僅かな汚れでも目立ってしまう
あの世や霊魂が存在すと仮定するなら友人は実に楽し気に自分のお墓を見ている事だろう
そしてそれを綺麗にしている私自身を
友人は奇抜な人間ではなかったが奇なる人間ではあった
おそらく友人にとっては散骨が一番良かったかもしれない
自然の中に溶け込む願望を持っていたから
昆虫も何か好きだった
蜻蛉を愛し自身もまた儚き命の蜻蛉の如く20年の命で終わった友人
自然死という老衰とも違い原因不明のまま亡くなった友人を想う
眠ったまま死んだようだ
その顔は実に穏やかだったという
発見されたのが幸いにもその日の内だったので孤独死での悲惨な現場にはならなかった
ふらりと別の友人が家を訪ねて見つけたのだ
それを奇跡と言うのだろうか?
呼ばれたのか、或いは何か目に見えぬ力に誘われたか
告別での片化粧を施された友人の綺麗な顔は今でもしっかり覚えている
そのまま何事もなく目を開けておはようと声を出すのではないかという期待
しかしそれは願望に終わった
今はどんな夢を見ているのだろうか?
この世にはもういない友人
あの世なるものが本当に存在するのだろうか?
霊魂というモノの存在は信じるに足るものではない
だが友人は心の中に確かに存在している
今は真夏
酷暑と呼ばれ気温は40度に達する地域もあるという
水分補給は必須
熱中症で倒れて友人の側で死ぬのも悪くはないかもしれない
真夏が終わればお盆
死者がこの世に帰ってくるといわれる時期
友人もまた帰ってくるのだろうか?




