⑦あなたのキャラ、どんな姿をしていますか?
私はいつも悩みます。
新しいキャラが出てきた時にどう説明しようかと。
頭の中でイメージはできていても、
それをどれくらい書けば相手にも想像してもらえるか。
そしてそれをどのタイミングで書くのかも難しい。
キャラがたくさん同時に出てきた時に
いちいち一人一人を書いていくのも手間だし
読者も把握するのが難しいと思います。
けれど最近はこういう悩みがない人も多いのかもしれません。
最近、ちょいちょい主に2次創作モノで
「読んでください」って言われることがあるんですが、
キャラの容姿がちんぷんかんぷんなモノがほとんどです。
※原作にはいないオリジナルで登場したキャラについてです
・「美少女」の一言で済まされる
・というか説明すらない
・性別すらわからない
そりゃ通りすがりのモブなら仕方ないですが、
こう、恋愛モノなのにヒロインの姿さえ描写ないのは
さすがにどうなんだろうってなります。
2次創作は基本的に「書かなくてもわかるだろう?」っていう
暗黙の了解があるとしても……
原作のキャラならまあ絵を見ればいいのかもしれませんが、
話のために作者がわざわざ入れたキャラ、
その子はどんな姿をしているのでしょうか?
「読者の想像するなんとなくの美人像でお願いします」
……まあそういうプロの人もいそうですけど。
最近は挿絵やイラストありきに頼りすぎている気がします。
人気のテーマを扱い、流行りの属性のキャラクターを入れて、
それでたくさんの人に読んでもらって
「自分は小説上手なんだ!」って思ってしまうと怖い。
ストーリーがもし面白いとしても、
「それを知ってる人にしか楽しめない」
というのは物書きとしては寂しいと思います。
じゃあキャラの描写はどうすればいいんだろうか、
って話になるので私なりに考えました。
↓に羅列したモノを全部書く必要はありませんが、
このあたりの組み合わせで表現するのがいいのかなと思います。
・性別 ・身長 ・体格 ・髪型 ・髪の色
・年齢 ・顔 ・輪郭 ・目つき ・服装
・持ち物 ・表情 ・仕草
他にも色々あるでしょうけれど
とりあえず今回はこれだけで。
身体的特徴は勿論、
持ち物や仕草もキャラクターの容姿に一役買うはず。
可愛いクマのキーチェーンを持っているなら
なんか幼い印象を付与するでしょうし、
アクセサリがガッチガチのスマホならば、
流行り時に詳しくお洒落なイメージもつくでしょう。
仕草は表情などとセットで
キャラの印象付けにも使えます。
ここまで書いて、私はじゃあどんな風に書いていたか
自分でもちょっと心配になったので
最近過去に書いた話から抜粋してみます。
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船長であるジーウィル=ポラリスは
髭をじょりじょりとなでながらおざなりに答えた。
ジーウィルはどうお世辞に言っても、腹の出た中年のおっさんである。
ずんぐりとした体格、そして何より目立つのが
まるで林かと見間違うくらいの黒い大きな髭。
遠い北の国では赤い服を来た白髭のおじいさんが
子供にプレゼントを配るというおとぎ話があるが、
そういった夢のある髭ではなく、
明らかに不摂生によるもじゃもじゃの髭である。
髪は程よく散髪しているのだから、
髭も手入れをした方がいいと誰しも思うだろう。
「ようこそ海賊船『オールド号』へ、お嬢さん」
身に纏っているのはほつれの目立つ黒いシャツ。
そして体を覆うのは少し仰々しいマント。
黄色帽子はツバが異様に大きい海賊帽子。
世間一般で想像される典型的な『海賊』のスタイルではあるが、
正直、こんな格好をしているのは海賊の流行らないこのご時勢、
ジーウィルくらいだった。
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↑これは重要人物なので多めに書いてます。
上手だとは思ってませんが
イメージはできるんじゃないかなと。
↓のは脇役なので適当に済ましてます
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「船長、連れてきたっすよ」
面倒そうな声で『モヤシ』は少女を船長室に連れてきた。
モヤシというのはあだ名で、本名はラッセル。
若い操舵士ではあるが、若者らしい覇気もなく
いつも眠そうにしている青年である。
長身でひょろっとして日陰に生えてそうなので、
仲間内ではまんま『モヤシ』と呼ばれている。
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とりあえずモヤシという感じではありますが、
何も説明がないよりはわかるかなと思います。
本当はどんな服着てるのか
モヤシにも軽くつけた方がいいかも。
「だるだるの服をきた若い操舵士」とか
別に重要ではないキャラなのでこんなもんです
↓のは仕草で性格とか容姿的なものを伝えようとした例
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シスターセッチが大仰に天を仰いでいるのを
私は「あー悩みが多いんだろうなぁ」と見ていた。
白を基調とした修道服はくたびれており、
頭巾……ウィンプルから零れる栗色の髪はバサついており
ここ数日ろくな手入れをしていないのは一目でわかってしまう。
※ここに台詞挟ってますが割愛※
普段からは
チャーミングと言われている優しげな瞳や眉も、
絶望という言葉を全身で体現する今の彼女には、
ただ悲壮……そう言わざるえなかった。
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この説明では正確にキャラの容姿の全てを
イメージはできないでしょうけれど、
いきなり「シスターのセッチが~」で済ますよりは
だいぶんにマシではないかなと思います。
ある程度説明が長くなるようだったら、
間に台詞を挟んだり、
あえて登場した瞬間にはざっくりと書き
「改めて○○の姿を見つめると」という感じで
分散させて書くのも良いかと思います。
長々と書きましたが、
人物の描写というのは
「他人に道を教える」感覚に近いかもしれません。
「テオドラ薬局ってどこですか?」
「あっちです」
わかるはずがない。
「テオドラ薬局ってどこですか?」
「まず正面に3人ほどの老人が働いている製材所が見えるでしょう?その手前の三叉路の交差点を右に曲がり、若い子にチーズケーキが評判な真新しいケーキ屋がある信号は直進、派手な電飾で目の痛くなる怪しいパワーストーンの店を右に曲がってください。次に――」
長い長い長い。
しかも余計な情報が多すぎる。
場所によって適切な説明と長さがあります。
そのバランスをああでもないこうでもない、
そうやって悩みながら書いていくことで、
表現の幅は広がるのではないでしょうか?
という感じでした。
私も人物描写はとても苦手ではありますが、
逃げてはいけないものだと思っています。
せっかく小説を書くのですから
「表現力や描写力に優れている」と
一度は言われてみたいですよね。