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7.リオネル王太子殿下視点

「私事ですが、アンネリーナ嬢と婚約致しました。」


シルヴァンの言葉に頭を殴られたような衝撃を受けた。


「なんだって?」


自分でも震える低い声が出て驚いた。


シルヴァンは戸惑いながら


「私事ですが、アンネリーナ嬢と婚約致しました。」


ともう一度言った。


「それはアンネリーナ嬢の希望でもあるのか?」


「はい。私達はお互いに愛し合っています。」


「そうか。。」


いつもだったら婚約の報告を聞いても「おめでとう。」の一言が何の苦もなく言えるのに、その一言がどうしても出てこない。

とにかく信じられなかったし、信じたく無かった。



私はボーフォート王国の王と王妃の間に、第二王子として生まれた。

11歳年上の姉、9歳年上の姉、6歳年上の姉、3歳年上の姉、そして腹違いの2歳年上の兄がいる。

なかなか王子ができなかった王に、側妃を娶るように貴族が圧力をかけて生まれたのが兄だ。


私が王太子になる時は、大きく揉めた。

父と母は私を絶対に王太子にしたがったけれど、生まれた順番で第一王子を王太子にと言う声も多かった。

そこで、貴族で最も権力のあるスタンリー公爵家との婚約の話が出たのだ。

スタンリー公爵家長女のジネット嬢は私と同じ歳で、私を一目見て恋に落ちたようだ。

自分で言うのもあれだけれど、私の容姿は凄く整っているらしい。

10歳で私達は婚約をして、私は王太子になった。


しかし、ジネット嬢の性格は私の好きな性格では無かった。

美人は美人だと思う。

しかし、気が強いのだ。

プレゼントも受け取って当たり前、自分が中心で世界が回ってると思ってるかのようだった。

気に入らない人間がいるとすぐに排除して、自分に忠実な人物だけを周りに置く。

少しでも気にくわないことがあると、すぐにヒステリーを起こす。

いつも香水の匂いが強くて、近くにいると匂いで酔いそうだ。

それでも私の婚約者として大切に接していたつもりではある。


アンネリーナ嬢が来てから、ジネット嬢の横暴が更にひどくなって来ていた。

アンネリーナ嬢をいじめては喜んでいる姿を見ていると、嫌になる。

それとなく注意をしても、更にいじめがひどくなり、遠くから見守るしかできなかった。


アンネリーナ嬢はジネット嬢に注意されて、訓練場にも来なくなった。

生徒会の仕事は今まで通りアンネリーナ嬢も続けてくれていたが、いじめられても健気に頑張る彼女を見ていると尊敬して自分も頑張ろうと思えた。

アンネリーナ嬢はジネット嬢とは全く違う、儚げな美人だ。

皆が見惚れるような美しい彼女の、どこにあれだけの強さがあるのかが不思議だ。

彼女に対する令嬢達からの憧れも強い。

私も密かに彼女に憧れ、生徒会で接する時間は私にとっての唯一の癒しだった。


アンネリーナ嬢をいじめるジネット嬢を見る度に、ジネット嬢を嫌いになった。

なんで、こんな女を娶らなければならないのだろう。

ジネット嬢に近寄られるのですら嫌悪するようになり、態度に出さないようにするのに必死だった。



リオネル様と言いながらジネット嬢がくっついてくる度に、離れたいと強く思ってしまう。

アンネリーナ嬢になら、王太子殿下ではなくてリオネル様と、むしろリオネルと呼び捨てで呼んでほしいくらいなのに。


気づけばアンネリーナ嬢を目で追って、仕事中に髪を耳にかける仕草に見惚れていた。

仕事ができて嬉しそうに微笑む姿が可愛らしくて、目が離せなかった。

私は自分でも気づかない間に彼女に恋をしていたのだ。

私の初恋を自覚した瞬間に失恋をした。


シルヴァンに婚約の報告をされて2人を見ると、胸が締め付けられるように悲しかった。

どうして今まで気がつかなかったのだろう。

ずっとアンネリーナ嬢を見ていたのに。

時折、2人がお互いを見ている姿を見ると、嫉妬でどうにかなりそうだ。

こうして見れば2人が想い合ってある事が分かるのに、今まで気がつかなかった自分に驚いた。

アンネリーナ嬢が側にいるだけで幸せだったのに、その隣にシルヴァンが立つだなんて、嫉妬でどうにかなりそうだ。

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