45.ジョエルの後押し フレデリックルート
シーモア王国で幸せな生活を過ごしながら、情熱的なフレデリック王太子殿下にゆっくりと恋をしていった。
そして、シーモア王国に来てから9ヶ月が経った頃、フレデリック王太子殿下、ロラン様、子供達と一緒に6歳になったジョエルの誕生日をお祝いしていた。
そんなジョエルが誕生日に私にこっそりお願いをしたのが、「フレデリック王太子殿下に、僕のお父様になって欲しい。」と言う事だった。
「だって、お母様は、フレデリック王太子殿下が好きでしょう?」
と言われて、すごく驚いた。
まだ、6歳になったばかりの息子が急に大人びて見えて、「ありがとうございます。ジョエル。お母様は、ジョエルが大好きです。お母様のもとに、生まれて来てくれて、ありがとうございます。」と抱きしめた。
その晩、私は自分がどうしたいのか考えて、フレデリック王太子殿下に私の想いを伝えようと決意した。
翌日、私は珍しく、フレデリック王太子殿下に会いにシーモア王国の王宮へやって来た。
パーティーなどで招待もされていないのに訪れたのは初めてで、緊張したけど、すぐに応接間へ通された。
応接間へ通された瞬間、少し慌てた様子でフレデリック王太子殿下がやって来た。
「どうしたの、アンネ。アンネの方から来てくれるなんて、初めてだよね。言ってくれれば屋敷に行ったのに。」
「突然お邪魔してしまい、申し訳ございません。お時間、大丈夫でしたでしょうか?」
「アンネが来てくれるなら、いつでも大歓迎だよ。アンネと会う以上に大事な用事なんて、何も無いから気にしないで。」
「ありがとうございます。あの…」
自分の想いを伝えようとして来たはずなのに、いざ言おうと思うと緊張して固まってしまう。
「どうしたのアンネ。何かあった?大丈夫?」
フレデリック王太子殿下が私の事を心配してくれているのが伝わって来て、慌てる。
「いいえ、違うのです。フレデリック王太子殿下がご心配なさる事は何も無いのです。ただ、その…勇気が…」
「…勇気?」
恥ずかしくなり、不思議そうにしているフレデリック王太子殿下から顔を逸らしてしまう。
「えっと、その…、フレデリック王太子殿下。」
「うん。」
意を決して、フレデリック王太子殿下を見る。
多分、私の顔は真っ赤だ。
「私、フレデリック王太子殿下の事が好きです。」
今度は、フレデリック王太子殿下が目を見開いて固まった。
「その…ジョセフが、私の背中を押してくれたのです。『フレデリック王太子殿下に、僕のお父様になって欲しい。』、『お母様は、フレデリック王太子殿下が好きでしょう?』って。。」
「それで…、フレデリック王太子殿下さえよければ、私と…」
「待って!アンネ!え、これって現実?」
びっくりして固まっていた、フレデリック王太子殿下の顔がみるみるうちに真っ赤になっていく。
いつも余裕たっぷりなのに、そんなフレデリック王太子殿下は初めて見た。
「はい、現実です。」
「冗談でしたとかそんな事言わないよね?」
「本当です。」
「ごめん、アンネ、僕から言わせて。」
フレデリック王太子殿下が跪いて私の手を取る。
「アンネリーナ、どうか私の妃になっていただけませんか?生涯アンネリーナだけを愛し、必ず幸せにすると誓います。」
「はい、フレデリック王太子殿下。喜んで。」
フレデリック王太子殿下に抱きしめられて、その腕の中が心地いい。
「ありがとう。アンネが僕を選んでくれて、すごく嬉しい。今まで生きて来た中で一番幸せだよ。」
「私も…幸せです。フレデリック様。」
「初めて、アンネがフレデリック様って呼んでくれたね。今までフレデリック王太子殿下じゃなくて、フレデリックって呼んでって何度言っても、ずっとフレデリック王太子殿下としか呼んでくれなかったのに。アンネに、フレデリック様って呼ばれるの、嬉しいよ。」
「これからは、フレデリック様と呼ばさせていただきますね。」
「アンネ、キスしてもいい?」
私が少し驚いたのが伝わったみたいで、フレデリック様は「もちろん、その先は結婚するまで待つから。アンネが本当に僕を好きになってくれたんだって、知りたい。」と私を覗き込みながら、言葉を続ける。
「はい。愛してます、フレデリック様。」と言って目を閉じると、優しく触れるだけのキスをされて、強く抱きしめられた。
「本当に幸せだよ。アンネ。幸せすぎて怖いくらいに。一生大切にする。」
それから一ヶ月後、私の24歳の誕生日パーティーでフレデリック様と私の婚約が発表され、その半年後に結婚、更に1年後には第一王子が誕生した。
フレデリック様との間に、3人の王子、2人の王女を出産した私達は、死が2人を分かつまで、幸せに暮らした。




