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36.フレデリック王太子殿下

リオ様につけられたキスマークを化粧で隠そうとしても、「隠すな」とリオ様に言われて、隠せないのが恥ずかしい。


キスマークが恥ずかしくて、首元もできるだけ隠す服を着ているけど、完全には隠しきれてない。


シルヴァン様は、こんなに目立つところにキスマークをつけなかったのに。



リオ様と一緒にホテルに泊まるようになり、2日後、私が仕事をしているとフレデリック王太子殿下がやってきた。


私を見るなり

「ねえ、こんなにキスマークを付けて、僕を誘ってるの?」

と私のキスマークに触ろうとしてくるから「そんなことありません。」と避ける。


「リオネル王太子殿下にはやられたよ。王太子妃が暗殺されかけていたと言う自国の醜聞を他国に晒してまで、アンネを連れ戻そうとするなんて。」



フレデリック王太子殿下が抱きしめようとしてきたので避けようとすると、いつものようには避けさせてくれずに抱きしめられた。


「アンネ、凄くいい匂いがする。愛するアンネにそんな艶やかな姿を見せられたら、変な気分になりそうだよ。」


耳元で甘く囁かれて、体の力が抜けてしまう。


「その服の下はどうなってるのかな。」


我に返り、逃げようとしたら、壁とフレデリック王太子殿下に挟まれてしまった。

逃げようと抵抗しても、男性の強い力に敵わない。


服の上から体を触られて、ビクッと体が震えて「んっ。」と声が漏れる。



「ねえ、既成事実作っちゃおうよ。」


「やっ、やめっ…んっ、んんっ。」


無理矢理キスをされる。


フレデリック王太子殿下が、私の意思を無視して強引に迫ってきた事は初めてで驚く。



口の中を舐めまわされ、耳を舐められ、体を触られながら、腰をぐいぐいと押しつけられて、いけない気分になってくる。

抵抗しなければと思うのに、うまく体に力が入らない。

涙が出てくる。


「んんっ。はぁっ。ダメっ。」


「アンネっ。かわいいっ。はぁ。愛してる。もっと僕で感じて。」


スカートがめくられて、フレデリック王太子殿下の手が入ってくる。


「んんっ。やめっ。あっ。」


「アンネっ。濡れてるっ。はぁ、気持ちいいの?」


「やっ。あっ。ダメっ。はぁ。ふぅ。」


体が疼いて、フレデリック王太子殿下のなされるがままだ。



すると、凄い勢いで扉が開かれて、怒りを隠しもしないリオ様と目があったと思ったら、リオ様がフレデリック王太子殿下を思いっきり殴り飛ばした。


体の火照りが一気に引いていく。



「いった。。そんなに怒らないでよ。リオネル王太子殿下。」


「これが怒らずにいられるわけが無かろう。フレデリック王太子殿下がアンネのもとを訪れたと報告を受けて慌ててきたら、何をしている。アンネに触るな。アンネは私の妃だ。アンネ、大丈夫か?」


リオ様が私の涙を見て、心配そうに声をかけてくれる。


「ありがとうございます、私は大丈夫です。リオ様。申し訳ございませんでした。」


「アンネは悪く無い。。悪いのはこいつだ。」


大国の王太子相手にリオ様がこいつと言ったことに驚くが、フレデリック王太子殿下も気にした様子をしていない。


「アンネにそんなエロい格好をさせてるのはリオネル王太子殿下でしょ。アンネに誘われてるのかと思っちゃったよ。僕で感じてるアンネを見たら、可愛すぎて我慢できなかった。」


またリオ様が殴りかかろうとしたところを、間に入り慌てて止めようとする。


「おやめください、リオ様。」


「どけ、アンネ。なぜその男を庇う。」


「相手はシーモア王国の王太子殿下なのですよ。」



「ごめん、アンネ。僕は無体を働こうとした。アンネがボーフォート王国に帰ってしまうと思ったら、焦ってしまったんだ。僕がアンネと結ばれれば、アンネは国に帰らなくて済むんじゃないかってね。」


「リオネル王太子殿下にも謝るよ。無理矢理アンネを手に入れようとして、申し訳ない。」



いつもふわふわしてるフレデリック王太子殿下が、真面目に謝罪していることに驚きつつも、「もう二度としないでくださいませ。」と言う。

リオ様も私の初めてを無理矢理奪った時の負い目があるのか、「二度とアンネに手を出すな。」と言ってそれ以上何も言わなかった。


「アンネが嫌がる事はしないと誓うよ。でも、アンネが行ってしまうのなら、ぼくもボーフォート王国に住むことにするね。」


「フレデリック王太子殿下がボーフォート王国に住むなど不可能でしょう。」


「割と僕はアンネ以外どうでもいいんだよね。アンネが僕が王太子として仕事をしてると褒めてくれるから、王太子の仕事をしてるだけだし、王太子と言う身分すらどうでもいいんだ。」


「そんな…フレデリック王太子殿下が、王太子を辞めてしまわれたら皆が困ってしまいます。」


「アンネならそう言うよね。それなら、ボーフォート王国に住みながら、王太子を続けるよ。最初は留学って形で住んで、少し大変だけど、ボーフォート王国で王太子としての政務をしようかな。」


「何を言って…」


「僕は本気だよ。アンネと今のように会えなくなってしまうだなんて、耐えられないからね。モリスが…本名はシルヴァンだっけ。シルヴァンがアンネの側にいたとしても、僕はアンネに会えるだけで幸せだったんだ。アンネが他の男といると嫉妬はしてしまうけど、それでも会えるだけで僕は幸せなんだ。心から愛してるよ、アンネ。」


「愛が…重たいです。私はリオ様の妃です。それに、私はフレデリック王太子殿下を愛していません。」


「やっぱりアンネは手厳しいね。でも、どんなアンネも愛してる。それに、アンネは僕に見惚れてくれてる事、あるでしょう。」


「それは…」


頬が熱くなる。


「アンネのそんな顔が見れるなら、僕をこの顔に産んでくれた両親に感謝しないとな。いつもアンネは僕を楽しませてくれる。アンネが事業計画を持ち出してくると、今度はどんなことをしようとしてるのか、ワクワクが止まらないんだ。ボーフォート王国でアンネがどんなことをしようとするのかも、近くで見てみたい。だから、僕もボーフォート王国に行っていいかな。」


「ダメだ。」


リオ様が即答する。



「この国で僕もアンネの事業を支えていたんだよ。ボーフォート王国でも役に立ってみせるって言ってもダメ?自分で言うのも何だけど、僕は優秀だよ。」


「事業では、大変お世話になりました。フレデリック王太子殿下には何度も支えていただきましたし、これからも私の会社がお世話になります。確かに、ボーフォート王国にフレデリック王太子殿下が付いてきてくだされば心強いですが、あなたには王族としての責務があるでしょう。」


「政務はボーフォート王国でするし、世継ぎは、私の弟たちに期待すればいいよ。別に僕、世継ぎにも興味ないんだ。でも、僕とアンネの子供だったら欲しいな。僕とアンネの男の子が産まれたら、世継ぎ問題も解決だよね。」


「なっ。。」


「アンネ、僕の子供も産んでくれない?」


私の事をフレデリック王太子が抱きしめようとする前に、リオ様が私を抱きしめて


「アンネに近づくな。それにアンネ、アンネと気安く愛称で呼ぶな。アンネがフレデリック王太子殿下の子供を産むわけが無かろう。アンネは私の子供をこれからたくさん産むのだから。」


と言う。


私は赤い顔でリオ様を見ると、「消毒だ。」と軽くキスをされた。



「アンネの事はアンネって呼ぶよ。シルヴァンは人前でアンネとキスしなかったのにな。僕の前で僕の愛するアンネとイチャつくのはやめてよ。リオネル王太子殿下。」


「自分の妃にキスをして何が悪い。それに、普段はアンネが嫌がるから人前でキスはしない。嫌なら出て行け。」


「やだよ。アンネと一緒にいたいし、出て行かないよ。とにかくアンネがボーフォート王国に帰るのなら、僕もボーフォート王国に行くから。父上を通して、ボーフォート王国国王にも親書を送っておくね。ボーフォート王国とシーモア王国、世界最大の2つの大国が同盟を結んだら、世界情勢ももっと安定すると思わない?お互いの国にもメリットは大きいよ。」


「…アンネには手を出すなよ。」


「アンネが嫌がるのなら、手を出さないよ。隙あらば手を出そうとはするけど。」


「やっぱりボーフォート王国に来るな。」


「嫌だよ。行くよ。僕の両親は僕に理解があるんだ。アンネとのことも応援してくれてるしね。僕って両親に恵まれてるなって思うよ。あぁ、でも、両親も僕の子供を見たいんだって。やっぱり、僕の事を大切にしてくれてる両親には、僕が一生子供を作らないのは申し訳ない気持ちはあるかな。だからさ、アンネ、僕の両親のためにも僕と子供作ろうよ。」


「よくこんな状況でそんなことが言えるな。」


私抱きしめるリオ様の力が強くなり、フレデリック王太子殿下から私が隠される。


「僕とアンネの子供、絶対に可愛いと思うんだけどなぁ。アンネがリオネル王太子殿下を嫌になったら、いつでも僕のところにおいでよ。僕だったら何とかしてあげられるよ。」


「人の話を聞け。アンネがお前と子供を作ることなどない。」


「そんなの、分からないじゃん。」


「そもそも、アンネが私の事を嫌になる事など…多分ない。。」


「急に弱気になってどうしたの。あぁ、自分がシルヴァンとアンネの仲を引き裂いた自覚はあるんだ。もともとアンネとシルヴァンが婚約していたのに、無理矢理アンネを妃にして逃げられたんだっけ。今もまた愛し合ってるアンネとシルヴァンを無理矢理…」


「黙れ!…それでも、私がアンネを逃すことは二度とない。。」


「だからさ、アンネ、逃げたかったら僕がアンネを逃がしてあげるよ。」


「喧嘩を売ってるのか。」


私を抱きしめてるリオ様から抜け出し、フレデリック王太子殿下を見る。


「フレデリック王太子殿下、私、逃して欲しいだなんて思っていませんよ。ずっと、ジョエルから父親を奪ってしまった罪悪感があったのです。子供達とリオ様が仲良く遊ぶ姿を見ていたら、子供のためにも実の父親の近くにいられるのはいいのかなと思いました。私が一番望む事は子供達の幸せです。シーモア王国で出会った人達に今までのように会えなくなるのは残念ですが、私の兄と両親、友人、私の騎士様に会えるのが嬉しいです。」


「誰その、私の騎士様って。すごく気になるんだけど。羨ましい。」


「いつも私を守ってくれた強くて優しい方です。いつも私の事を一番に考えてくれていました。」


「僕もアンネの騎士様になりたい。でも、逃げたくなったらいつでも言ってね。」


「一番心配なのは、ジョエルが権力争いに巻き込まれてしまう事です。私としては、ジョエルの王位継承を望みませんが、周りがどうなるのかが心配なのです。」


「…そう…なのか。私はジョエルこそ国王にふさわしいと思うのだが。」


「私にとってはジョエルの幸せが第一です。ジョエルが大きくなり自分で考えるようになり、王位も無用な争いも望まないのであれば、王位継承権を放棄するのもいいと思ってるのです。」


「私は、ジョエルにこそ、王位を継がせたい。」


「王位継承権の第一王子を差し置いて、第二王子に王位を継がせるのを、反対する勢力は大きいでしょう。」


「私は、自分の力で政治が動かせるようにするために、力をつけた。誰にも文句は言わせない。」


「ジョエルが望むのならばいいでしょうが、ジョエルが望まないのに王位を継がせようとするのは嫌なのです。もしも、王位継承権の争いにジョエルが巻き込まれそうになった時は、助けてくださいますか?フレデリック王太子殿下。」


「もちろんだよ。アンネ。アンネのお願いだったら何でも聞くよ。」


「なんでそこでフレデリックを頼るんだ。頼るのなら夫である私だろう、アンネ。」


「でも、ジョエルの王位継承について、リオ様は私の話を聞き入れてはくださらないかもしれないではありませんか。」


「それは…、善処する。。ジョエルに王位を継いで欲しいが…私にとって、ジョエルはとても大切な息子なのだ。…しかし、これでは私に王位を継がせたがって躍起になっていた私の父と同じだな。」


「いいな、僕もアンネとの子供が欲しい。」


「まだ言うか、フレデリック。」


「僕とアンネの子供が生まれてくるまではずっと言うよ。」


「そんな日は一生来ないから安心しろ。」


リオ様とフレデリック王太子殿下の言い合いは、しばらく続いた。




フレデリック王太子殿下が帰ると、すぐにリオ様にベッドへ押し倒され、確かめるように体を触られた。


「濡れてる。。フレデリックに気持ちよくしてもらうだなんて、いけないこだ。」


「んんっ。ごめんなさいっ。リオ様。。」


「昨晩はあんなにたくさん抱いたのに、まだ足りなかったか。」


「はぁ、ちがっ。。」


中途半端にお預けされていた身体は、すぐにリオ様を求める。


「あぁ、リオ様。欲しい…です。」


「アンネが気持ちよくなるのは、私だけにしろ。」


「んんっ。あぁ、リオ様っ。はぁ、気持ちいい…です。」


待ち望んでいた刺激に、歓喜した。




1週間後、私はアンネリーナ王太子妃としてリオ様にエスコートされていた。


シーモア王国の人々は私に同情的な人が多かった。


フレデリック王太子殿下がボーフォート王国への留学を発表すると、倒れる令嬢が続出した。


ジョエルには、リオ様が本当のお父様なのだと伝えると「おとうたまは2人いるの?」と不思議そうにしていた。

生まれてからずっと、シルヴァンのことを父だと言っていたので無理もない。


更に1週間の視察も終えて、私たちはボーフォート王国へ旅立った。

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