3.訓練
生徒会のメンバーとも仲良くなり、充実した学園生活を送っていると、シルヴァン様から
「アンネリーナ嬢も訓練の様子を見に来ませんか?」
と声をかけてもらった。
リオネル様は王太子殿下として、トリスタンお兄様、シルヴァン様は王太子殿下の側近として、訓練場で毎朝訓練をしているらしかった。
「明日の朝、見学させていただきますね。」
と言うと、シルヴァン様が「楽しみにしています。」と嬉しそうに笑った。
普段あまり笑わないイケメンの笑顔に、ドキッとしてしまった。
翌朝、訓練場に行くとシルヴァン様が早くから来ていた。
「シルヴァン様、おはようございます。今日はお誘いいただき、ありがとうございます。」
「おはようございます、アンネリーナ嬢。こちらこそ、来ていただき、ありがとうございます。」
「ご令息ばかりかと思いきや、意外と見学に来られるご令嬢も多いのですね。」
「アンネリーナ嬢も楽しんでいってもらえると嬉しいです。」
次にトリスタンお兄様が来て「おや、アンネが訓練場に来るだなんて初めてだね。アンネも訓練するの?」と聞かれた。
「アンネリーナ嬢も訓練をするのですか?」
「アンネは剣術もできるんだよ。」
「見学です、トリスタンお兄様。シルヴァン様に誘っていただいたのです。制服のままで訓練はしません。」
「着替えておいでよ。アンネ。訓練を怠るのは良くないよ。」
「流石に、家ではないので、男性に1人だけ女性が混じって訓練するのは。。ご令嬢は皆様見学をされていますでしょう?」
「女性は訓練をしちゃいけないなんて決まりは無いよ。」
私と兄が話をしていると、リオネル様がやってきて
「アンネリーナ嬢も訓練をするの?」
と興味津々で話しかけて来た。
「いえ、私は…」
「私もアンネリーナ嬢が訓練する様子を見てみたいな。」
と半ば強引に私も訓練に参加する事になり、私は急いで着替える事になった。
男性に混じって訓練を受けていると、
「アンネリーナ嬢、こんなところで何をしているんだ。」
同じクラスのウォロッペ伯爵家次男のモルガンから声をかけられた。
彼は生徒会のメンバーになりたかったのに私のせいでなれなかった、テストで毎回私に勝てないことで、いつも一方的に私につっかかってきている。
「女性が遊びに来るようなところじゃ無いぞ。そんなに王太子殿下達とお近づきになりたいのか。怪我をしないうちに帰れよ。」
「遊びに来たわけではありません、モルガン様。女性は訓練をしてはいけないということもありません。訓練をしているのです。」
「どうだか。それなら僕と手合わせしてみろよ。」
「忠告しますが、女性だと思って侮らない方がいいです。私は弱くありません。」
「僕が女性に負けるわけないだろ。僕は強いんだ。」
手合わせは一瞬で決着がついた。
振りかぶってきたモルガン様の訓練用の剣を素早く避けてそのまま弾き落とし、私の訓練用の剣をモルガン様に突きつけた。
モルガン様は驚き過ぎて固まってる。
それを見ていたトリスタンお兄様が拍手をしながら
「流石僕の自慢の妹。アンネ、僕と手合わせしようよ。」
と声をかけて来た。
トリスタンお兄様とはお兄様がお休みで家に帰って来た時に、いつも手合わせをしてもらっている。
「お手柔らかにお願いします、トリスタンお兄様。」
「嫌だよ、お手柔らかにしたら僕が負けちゃうもん。」
「そんな事ないですよね。トリスタンお兄様は強いので、勝てた事無いですから。」
「流石に妹相手に負けたくは無いからね。僕も本気だよ。本気じゃ無いと勝てないしね。」
トリスタンお兄様との勝負は、なかなか決着がつかなかった。
私が速さを生かした戦いをするけど、トリスタンお兄様の剣は一つ一つが重い。
押されているのが分かる。
最後は私の剣が弾き飛ばされて、降参した。
「やっぱりトリスタンお兄様には敵いませんね。」
「いやいや、僕も危なかったよ。また強くなったね、アンネ。」
気づけば私たちの手合わせをみんなが見ていたようで、拍手が起こる。
「いや、驚いたよ。アンネリーナ嬢は剣術が強いんだね。ここではシルヴァンの次にトリスタンは強いのに、画角の戦いだったね。僕じゃ負けちゃうんじゃないかな。」
「お褒めいただき、ありがとうございます。リオネル王太子殿下。」
「ねえ、私とも手合わせしてよ。アンネリーナ嬢と手合わせしてみたくなっちゃった。」
「それは、恐れ多い事です。」
「王太子だからって遠慮はいらないよ。いつもシルヴァンも、トリスタンも僕に遠慮なく手合わせしてくるからね。逆に遠慮される方が嫌なんだ。ダメかな?」
流石に王太子殿下の申し出を断る事もできずに、手合わせをする事になってしまった。
リオネル様と私は接戦で実力は拮抗していた。
それでも、王太子殿下の方が力が強くて、このままだと負けると考えた私は、敢えて僅かな隙を作り、リオネル様が斬りかかったところで間合いに入り、リオネル様の首元に訓練用の剣を突きつけた。
「参ったな。勝てると思ったのに、負けてしまうなんて。アンネリーナ嬢は本当に強いんだね。ここではシルヴァンとトリスタン以外に負けた事がないんだよ。」
「ありがとうございます。私もリオネル王太子殿下が想像以上に強くて驚きました。」
「ありがとう。でも、僕ももっと鍛えなきゃな。」
リオネル様と話を終えると、シルヴァン様がやって来た。
「先程の手合わせは見事でしたよ。まさか、アンネリーナ嬢が剣術ができて、これほどまでに強いとは驚きました。」
「ありがとうございます、シルヴァン様。」
「アンネリーナ嬢にはいつも驚かせてばかりだ。」
「兄2人と育って、男勝りな性格になったのです。」
「とても素敵だと思いますよ。もしよければ剣術のアドバイスをいくつかしましょうか。」
素敵な男性から素敵と言われて私は顔が赤くなってしまった。
心無しかシルヴァン様のお顔も赤い気がする。
「ありがとうございます。嬉しいです。よろしくお願いします。」
それからは毎朝のように生徒会だけでなく、訓練場にも通うようになった。




