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27.自殺未遂

トリスタンお兄様の死から2週間、ずっと塞ぎ込んでる私を心配したリオ様がデートに連れ出してくれた。


リオ様の気遣いが嬉しくて


「今日は連れてきてくださって、ありがとうございます。」


と微笑むと、リオ様は目を見開き、心底嬉しそうにして


「久しぶりにアンネの笑顔を見れて、堪らなく嬉しい。」


と言い、涙を流した。

トリスタンお兄様が亡くなってから、私は一度も笑った事がなかった事に気がついた。


それでも、私はやはり体調が優れず、「無理はしなくていい」とリオ様が言い、予定より早く帰り始めた。


馬車に乗り込む前、目の前に走って来る馬車を見て、一瞬馬車に轢かれれば死ねると考えてしまった。


私はそのままエスコートしてくれてるリオ様の腕を離し、馬車に向かって歩き始める。


「…アンネ?」


不思議そうにするリオ様の声も聞こえない。


「アンネリーナ様!」

「アンネ!止まれ!」


はっとした瞬間、私の体に強い衝撃があり、私は意識を失った。




体中の痛みで目が覚めた。

私の手を握りながら、リオ様が眠っている。


この状況、毒殺されかけた時と同じだ。

意識を失う直前の記憶が蘇る。


私は…なんて事をしてしまったのだろう。

涙が止まらない。


「…アンネ?」


「ごめんなさい…、ごめんなさい。リオ様。」


「あぁ、良かった。目を覚ましたのだな。本当に良かった。」


リオ様が泣きながら、私のことを抱きしめる。

痛みに声が漏れて、慌ててリオ様が私から離れた。


「すまぬ、痛かったよな。」


リオ様がここまで憔悴した様子なのは、私の毒殺未遂事件以来だ。


「ごめんなさい。本当にごめんなさい。私は…なんて事を。。」


「いいんだ、アンネ。生きてくれているだけで、いいんだ。アンネをここまで追い詰めて、本当に済まなかった。頼むから、死なないでくれ。昨日、アンネが馬車の前に飛び出した瞬間、私は生きた心地がしなかった。」


「本当にごめんなさい。馬車が近寄ってきているのを見た途端、轢かれれば死ねるのではと一瞬だけ思ってしまったのです。気がついたら馬車に轢かれる瞬間でした。」


「アンネ。。」


「死のうと思っていた訳ではないのです。ただ、あの一瞬で、私は何も考える事が出来なくなってしまったのです。信じてくださいませ。」


「信じるとも。アンネの事は全て信じる。アンネを追い詰めたのに、アンネを止めることもできずに、本当にすまない。」


「いいえ、リオ様、謝らないでください。私は本当に、なんて馬鹿な事をしてしまったのでしょう。でも、私はこんな事をしてしまった自分が怖いです。。私が私で無いような…」


「どんなアンネも、私の愛するアンネだ。本当に助かって良かった。幸い、命に別状は無いと医師から言われている。馬車の速度がそこまで出ていなかったのが幸いだった。例え、アンネがまた死のうとしても…、今度こそ私が止める。」


「…ありがとうございます、リオ様。」


「医師からは…アンネにカウンセリングを受けさせるように勧められた。受けてくれるだろうか。辛い気持ちを話せば、少しは楽になるだろう。」


「話すだけでこの気持ちも…楽になるのでしょうか?でも、リオ様の心遣いが嬉しいです。私、カウンセリングを受けてみますね。」


「良かった。疲れただろう。ゆっくり休め。愛してる、アンネ。」


「ありがとうございます、リオ様も休んでください。愛しております、リオ様。」


優しいキスが心地いい。

とても眠くて、すぐに眠りに落ちた。



次に眠りから覚めると、ロラン様に「お守りできなくて申し訳ありませんでした。」と平謝りされた。

まさか私が自分から馬車の前に飛び出すなど思ってもいなかっただろうし、防げなくて当然のことなのに申し訳無く思って、涙が出た。

私もロラン様に泣きながら謝ると、ロラン様も泣いていた。

「本当に、助かって良かったです。」と言ってくれて、私が生きている事を喜んでくれているのが伝わってきた。

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