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15.ジネットの結婚式当日と翌日 王太子殿下視点

アンネを王宮に連れて来てからは、毎日アンネを抱いた。

アンネが本当は嫌がっているのは分かっている。

それでも、アンネの身体は私を求めて、それがこの上なく嬉しかった。

アンネを前にすると、私の理性などすぐに無くなってしまう。

アンネの心が私に無くても、私は凄く幸せで、ずっとこのままならいいのにと願った。


学園ではジネット嬢からアンネに対するいじめが、更にひどくなったが、守ろうとすればますます酷くなる。

ジネット嬢も私も、もうすぐ卒業だ。

卒業すれば、いじめも落ち着く。

弱音を吐かないアンネに申し訳ないと思いながらも、私はなす術も無く早くいじめが終わる事を願った。


結婚式当日の朝、「愛してる、アンネ。…行ってくる。」と言って、ジネット嬢と私の結婚式へ向かった。

処刑台に連れて行かれる気分だ。


ぴったりと寄り添うジネット嬢に、吐きそうになる。

皆が私たちを祝福するが、最悪の気分だ。

早く終わる事を願ったが、結婚式の後には初夜が待っていると思うと、更に気分は悪くなった。

それでも、王族として、精一杯幸せそうに見える演技をした。


結婚式で誓いのキスをと言われて、ジネット嬢に初めてキスをしたが、嫌で仕方が無かった。


ふと、アンネを見ると、シルヴァンとアンネが見つめ合ってる姿が見えた。

ズキリと心が痛む。

アンネが愛しているのはシルヴァンだ。

そんな事、分かりきった事なのに。

今すぐに飛び出して、アンネの下に行きたい。


生徒会でシルヴァンとアンネが見つめ合う度に、心が痛んだ。

2人がお互いに愛してると見せつけられてる気分になった。

アンネに話しかけたり、手を繋いで、アンネが私だけを見るようにした。

アンネの傷ついた顔、シルヴァンの傷ついた顔を見る度、更に心は痛んだ。

アンネの身体を手に入れているのは私なのに、心を手に入れてるシルヴァンを憎くすら思った。


シルヴァンも卒業して、これからは滅多にアンネに会えなくなると思うと、沈んでいた心も落ち着いた。

シルヴァンを忘れて、私だけを見て欲しい。

アンネの心も手に入れたい。


アンネの美しさに、皆が見惚れているのが分かる。

アンネは私のものだ。



結婚式が終わり、ジネット嬢を王宮へ案内する。

どんなにジネット嬢を嫌悪していても、私の正妃はこの女だ。

紳士的に、対応する。


「あら、部屋を間違えていますわ。リオネル様。私の部屋はリオネル様の隣の王太子妃の部屋でしょう?」


「ジネット嬢には、こちらの部屋を用意したので、使ってもらえると嬉しい。」


「そんなのおかしいですわ。私の部屋はここではありません。私の部屋に案内して…んっ。」


ジネット嬢の唇をキスをして塞いだ。

アンネの事を思いながら、激しくキスをする。

今キスしているのはアンネだ、これから抱くのはアンネだ、必死に自分に言い聞かせる。

香水の匂いに現実に引き戻されそうになり、吐きそうになったけど、必死に我慢した。

王族の義務を果たさなければいけない。


急に激しくキスをされて一瞬驚いたジネット嬢は、すぐに私にもたれかかり、身体を預けてくる。


「んっ、ふぅ、リオネル様。」


そのままベッドに押し倒して、乱暴に抱く。


ジネット嬢の様子など気にしている余裕など無かった。

ただ、ただ、気持ちが悪い。

拷問のようだと思った。



「すまぬ。初めてなのに、乱暴に抱いた。」


「いいえ、痛かったですけれど、それだけリオネル様に求められてるって分かって嬉しかったです。今までは私を大切にする為に、あの売春婦なんかを抱いていたのでしょう?私はあなたの正妃になりました。これからは私がお慰めしますわ。」


擦り寄られて、更に吐きそうになった。


「…今日は疲れただろう。ゆっくり休むといい。私も部屋で休む。」


「行ってしまわれるのですか?」


「これ以上ここにいると我慢できそうに無い。」


吐き気がと心の中で言葉をつけ足す。


「…まぁ!私は良いのですよ。王妃になったのですもの。我慢なさらないでください。私もリオネル様と愛し合えるのは幸せです。愛していますわ。」


「いや、ゆっくり休め。お休み、ジネット。」


「おやすみなさいませ、リオネル様。」



早くアンネに会いたくて、足早に私とアンネの寝室に向かう。


「リオ様。。」


扉を開けようとすると、アンネの声が聞こえて驚いたが、扉を開けて更に驚いた。


「アンネ、泣いていたのか?」


「…リオ様。」


アンネを抱きしめる。


「すまない、アンネ。まさか、私の事を想って泣いてくれていたのか?」


「ジネット様とリオ様を見ているのが、2人が結ばれるのが辛くて、寂しくて。。」


「今日は人生で最悪な日だった。それなのにアンネに会った瞬間に、こんなに幸せになれるとは。すまない、アンネ。私はアンネが私を想って泣いてくれていたのが、堪らなく嬉しい。私が愛するのはアンネだけだ。」


「今日はジネット様との初夜なのに、ここに来て良かったのですか?」


「義務は果たしてきた。あの女とは子さえなせばいいのだ。私はアンネと一緒にいたい。」


これ以上無いくらい幸せな気分だったのに、ジネットの事を思い出して、最悪な気分になる。

早くアンネを抱きたくて押し倒すと、香水の匂いを指摘されてしまって、申し訳なく思った。

アンネに会いたいとしか考えていなくて、配慮に欠けていた。

湯浴みを一緒に入ってくれないか誘うと、まさかのアンネが「一緒にいたい」と言ってくれた。

これは私の願望が生み出した夢なのだろうか。



ジネットと結ばれた事により、嫌な相手と結ばれるのはこんなにも辛いものなのだと知った。

アンネに同じ想いをさせてしまった事に、罪悪感が湧き上がる。

それなのに、私は権力を使ってアンネを数えきれないほど抱いた。

アンネは心で嫌がっても、アンネの身体は私を求める。

どんなにアンネが私を嫌いになろうとも、私はアンネを手放せない。


「アンネは…私に抱かれるのは嫌だろうか。」


気がつけば口から、そんな言葉が出ていた。

驚いて固まるアンネ、返事など聞きたく無い。

でも、アンネは私に嫌だとは言えないはずだ。

王命には逆らえない。


「以前は嫌でしたが、今は…嫌では、ありません。むしろ、今日リオ様がいない事が嫌だと感じてしまいました。私も…したいです。」


まさか、アンネから「したい」だなんて言われると思っていなくて、驚いた。


「アンネ!愛してる。」


アンネの顔が真っ赤に染まっていて、可愛くてたまらない。

私の理性は飛んで、いつも以上に激しくアンネを抱いた。

これ以上無いくらいの幸福感に包まれた。



目が覚めると、私の腕の中でアンネが眠っていた。

幸せな目覚めだ。

アンネの美しい寝顔をずっと眺めていたい。

キスをすると、「リオ様。」と声がした。

起きたのかと思ってアンネの顔を見ても、寝ていて寝言だったのだと気がつく。

寝ているアンネにぎゅっと抱きしめられて、抱きしめ返す。

「愛してる、アンネ。」


ずっとこうしていたいけれど、そろそろ支度をしなければいけないと思い、支度をする。

政務に行く時間になっても珍しくアンネが起きず、昨晩はいつも以上に激しくしてしまった事を思い出す。

またいけない気持ちになりそうだ。

どんなに抱いても抱き足りない。


「おはよう、アンネ。」


キスをすると、アンネが嬉しそうに微笑む。


「おはようございます、リオ様。」


「アンネがまだ眠ってるだなんて珍しいね。昨日の夜は激しくし過ぎたかな。」


昨日の事を思い出したのか赤くなった顔を、アンネがシーツで隠す。

恥じらう姿が堪らなくかわいい。


「アンネの顔が見たいよ。隠さないで。昨日は凄く嬉しかったんだ。初めてアンネが僕を求めてくれて。」


頭に被ったシーツを剥がされたアンネは、起き上がって慌ててガウンを着る。



「好きです、リオ様。あなたの愛を失ったらと思うと、とても怖いのです。」


初めてアンネに好きと言われて、私の心は歓喜に震えた。

これ以上の幸せなど存在しないであろう。

胸が高鳴る。


こんなにも政務に行きたく無くなったのは初めての事だ。


「行ってらっしゃまいませ。リオ様。愛しています。」



政務をしている間も、アンネの事を思い出して、頬が緩まないようにするのが大変だった。

こんな幸せな事があるのだろうか。


「何かいい事がありましたか?」


色んな人から聞かれる。

抑えていても態度に出てしまうくらい私は浮かれていた。

傷だらけのアンネを見るまでは。

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