13.束の間の幸せ
ジネット様とリオ様の結婚式の翌朝。
「おはよう、アンネ。」
リオ様に声をかけられて、目が覚めた。
優しくキスをされる。
リオ様は既に身支度を整えて、政務に行かれるようだ。
私はシーツの中で裸のままだ。
「おはようございます、リオ様。」
「アンネがまだ眠ってるだなんて珍しいね。昨日の夜は激しくし過ぎたかな。」
昨日の事を思い出して、恥ずかしくなり、シーツを頭から被る。
「アンネの顔が見たいよ。隠さないで。昨日は凄く嬉しかったんだ。初めてアンネが僕を求めてくれて。」
頭に被ったシーツを剥がされて、私は起き上がって慌ててガウンを着る。
「私、嫌な女です。ジネット様との初夜なのにリオ様が来てくれた事が嬉しく感じてしまった。ジネット様はきっとお辛いはずです。」
「あんな女の事など、どうでもいい。」
「それでも、私がもしジネット様の立場だったらと思うと、凄く辛いです。好きな相手と結婚したのに、好きな相手は他の相手を好きで、振り向いてももらえないのは。」
「…それは、アンネも私が好きと言うこと?」
「好きです、リオ様。あなたの愛を失ったらと思うと、とても怖いのです。」
「あぁ、私はなんて幸せ者なのだろう。好きな人から好かれるのは、こんなにも幸せな事なのだな。不安にさせてすまないが、私の愛がアンネから失われる事など、万が一にも無い。」
「以前の私は…その、リオ様と闇を共にするのが嫌でした。それなのに、今はこんなにも求めてしまってる。そう考えると、リオ様も今はジネット様との闇を嫌がっておいでですが、闇を共にする間にジネット様をお求めになるのでは無いかと思うのです。そうなった時に私はジネット様に嫉妬してしまう。嫉妬してしまうのも怖いのです。」
「私があの女との闇を望むことなど、絶対に無い。考えただけで、気分が悪くなる。あの女が、アンネをいじめてる姿を見る度に、どんどん嫌いになった。あの女に近寄られるのですら、気持ちが悪いのだ。しかし、アンネが私を求めてくれるのは、本当に嬉しい。政務へ行く前にと思ってアンネに声をかけたが、今は時間が無いのが悲しい事だ。私はいくらでもアンネを抱きたい。」
リオ様に抱きしめられる。
好きだと自覚して、今までよりもドキドキしてしまう。
リオ様は国で一番の美貌と言われることが多い。
リオ様以上の美しい人を私は知らない。
「とても名残り惜しいが、行かなくては。昨晩は無理をさせて疲れてるだろうから、ゆっくり休むといい。愛してる、アンネ。」
「私も愛してます、リオ様。」
「ああ、本当に幸せだ。ずっとこうしていたい。夢みたいだ。」
「リオ様、私も幸せで、夢みたいです。」
「行きたく無いが、行かなければ。行ってくる。愛してる。アンネ。」
「行ってらっしゃまいませ。リオ様。愛しています。」
キスをされて、リオ様を見送る。
束の間の幸せな時だった。




