12.ジネット様の結婚式
私がリオ様と一緒に王宮に住むようになり2ヶ月が経ち、学園の卒業してすぐにジネット様とリオ様の結婚式が盛大に行われた。
私とリオ様の結婚は1ヶ月後に決まっている。
たくさんの貴族、国民に祝福される2人を眺める。
なぜこんなに胸が痛いのだろう。
ふとシルヴァン様と目が合った。
今までは学園でシルヴァン様にお会いできていたのに、これからは今までのようにお会いできなくなる。
いつも気づけばシルヴァン様の事を目で追っていた。
シルヴァン様も私のことを切なそうに見る。
その度にリオ様は私に話しかけたり、手を繋いだりするので、シルヴァン様は傷ついた顔をする。
シルヴァン様がいる時は、必ずリオ様がいる。
リオ様も、シルヴァン様もお互いに傷ついた顔をするのが辛い。
シルヴァン様を愛していて、ずっと一緒にいたいと願っていた。
シルヴァン様と結婚できるのだと思っていた。
シルヴァン様に、リオ様との事を知られているのが辛かった。
それでも、シルヴァン様に会えるだけで嬉しかったのに、もうお会いできなくなってしまう。
リオ様の美しさに、みんなが見惚れている。
特にリオ様は国で一番の美貌と言われていて、国民から歓声が上がる。
シルヴァン様、ニコラお兄様、トリスタンお兄様も、その美しさに皆の注目が集まっているのが分かった。
この2ヶ月、私は毎日リオ様に愛された。
「愛してる」と数えきれない程言われた。
今朝、「愛してる、アンネ。…行ってくる。」と言って、辛そうに結婚式に向かったリオ様が頭から離れない。
リオ様の温もりが蘇る。
リオ様とジネット様の結婚式、パレード、披露宴が終わり、1人寝室へ行く。
1人で寝るのは2ヶ月ぶり。
なんで、涙が溢れるんだろう。
あんなに嫌で逃げ出したかったはずなのに、なんでこんなに寂しいんだろう。
思えばリオ様はいつも優しかった。
ただ、私をこの鳥籠に閉じ込めているだけで。
私はシルヴァン様を愛しているはずなのに、リオ様がジネット様を抱いてると思うと、こんなに辛いのは何で。。
今頃リオ様は…。。
考えたく無い。
早く寝よう。
でも、涙が止まらない。
「リオ様。。」
泣いていたら、扉が開いた。
「…え?」
いるはずの無いリオ様がそこにいて驚いた。
リオ様も驚いた様子で駆け寄ってくる。
「アンネ、泣いていたのか?」
「…リオ様。」
リオ様に抱きしめられると、ジネット嬢の香水の香りがして、傷ついた。
「すまない、アンネ。まさか、私の事を想って泣いてくれていたのか?」
「ジネット様とリオ様を見ているのが、2人が結ばれるのが辛くて、寂しくて。。」
あぁ、これでは愛の告白みたいだ。。
「今日は人生で最悪な日だった。それなのにアンネに会った瞬間に、こんなに幸せになれるとは。すまない、アンネ。私はアンネが私を想って泣いてくれていたのが、堪らなく嬉しい。私が愛するのはアンネだけだ。」
「今日はジネット様との初夜なのに、ここに来て良かったのですか?」
「義務は果たしてきた。あの女とは子さえなせばいいのだ。私はアンネと一緒にいたい。」
心から嫌そうな顔をしながら、リオ様は言う。
リオ様から香る香水の匂いで分かってはいたけど、リオ様がジネット様を抱いたのだと思うと酷く辛い。
優しくキスをされて、そのままベッドに押し倒されそうになる。
「お待ちください、湯浴みをされてはいかがでしょうか。あの、香水の香りが。。」
「あぁ、すまない。考えなしだった。一刻でも早くアンネに会いたくて、急いで来てしまった。」
「いいえ、来ていただけて嬉しいです。リオ様。」
「アンネがそのような事を言ってくれるだなんて、初めてだな。私の願望が見せてる夢なのか。」
「夢ではありません。」
「私はアンネにひどい事をした。そして、今も無理矢理ここに住まわせている。アンネに私は嫌われているとばかり思っていた。」
「確かに、何度もリオ様を恨みました。今も恨む気持ちが無いと言ったら嘘になります。それでも、リオ様は、ずっと私に優しくしてくれた。私を愛してくれてる。」
ああ、これは依存なのかもしれない。
「私はこれからもずっとアンネだけを愛してる。…一緒に湯浴みをしてくれないか?少しの時間もアンネと離れたく無い。」
「…はい。私も、リオ様と一緒にいたいです。…でも、恥ずかしいです。」
「ああ、なんてかわいいんだ。アンネ。まさか、アンネが一緒にいたいと言ってくれる日が来るだなんて。」
侍女を呼び、湯浴みの準備を整えてもらう。
侍女はリオ様がここにいることに、驚いていた。
2人でバスタブに入るのは初めてで、凄くドキドキしてしまった。
とても恥ずかしい。
恥ずかしすぎてリオ様の方を見れないのに、視線が痛い。
「…あの、あまり見ないでくださいませ。恥ずかしいです。」
「嫌だ。とても綺麗だ、アンネ。ずっと見ていたいくらい。」
優しくキスをされる。
「私が抱きたいのはアンネだけだ。ジネットといる時も、アンネの事だけを考えていた。ジネットはアンネを娼婦だと言うが、娼婦みたいなのは私だな。好きでも無い女を抱かなければいけないだなんて。拷問のようだ。」
「リオ様。。」
「すまない、アンネ。私は嫌がるアンネを無理矢理手折った。アンネもこんな最悪の気分だったのかと思うと、本当に申し訳ない。それでも、私はアンネを抱きたいと思ってしまう。アンネは…私に抱かれるのは嫌だろうか。」
そんな事を聞かれたのは初めてで、驚いた。
確かに私はリオ様に抱かれるのが、嫌だったはずだ。
でも、今は?
「以前は嫌でしたが、今は…嫌では、ありません。むしろ、今日リオ様がいない事が嫌だと感じてしまいました。私も…したいです。」
「アンネ!愛してる。」
凄く恥ずかしくて、顔が真っ赤になる。
激しくキスをされて、身体を触られると、すぐに私の身体はリオ様を求める。
リオ様も、ジネット様と何度も愛し合う間に、お互いに求めるようになってしまうのだろうか。
そうしたら、私はどうなってしまうのだろう。
怖い。
リオ様の愛情を失うのが。
嫉妬してしまう自分が。
ジネット様は、きっとお辛いはずだ。
初夜なのにリオ様にすぐに置いていかれるとは思わなかっただろう。
それなのに、リオ様が来てくれて喜んでいる自分はなんて醜いのだろう。
「愛してる、アンネ。」
リオ様で満たされていく。
浴槽で愛し合って、ベッドで愛し合って、いつもより激しく私達は愛し合った。




