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【アリア視点】


毎日毎日、愛しきレオ様の私室へと通い詰める時間は、私の全細胞が歓喜に震える至高の時間。


宗主国の文化を学ぶ、なんていうお堅い建前は、この世界一愛くるしい獲物を間近で存分に愛でるための便利な隠れ蓑に過ぎないわ。


部屋へ入るたびに、レオ様は困惑して、細い肩を震わせながらおどおどと視線を彷徨わせるの。


その怯えた瞳、困り果てた眉、涙目で私を見上げるお顔。


私はただ、その世界一愛くるしい表情を特等席で眺めて、私自身の愛欲を最高潮に満たしている。


今日もその至高の可愛らしさを私の眼に焼き付け、私のためだけにたっぷりと消費して、心の滋養をするのよ。


「わかったよ、じゃあせっかくだから、空間ダイブ型の没入ゲームを一緒にやってみようか」


まぁ!火星で大流行中という没入ゲームを、レオ様と並んでプレイするなんて、素晴らしいわ。


ヘッドギアを被る瞬間すら、お揃いのアクセサリーを身につけているみたいで、心臓は早鐘を打っていた。


「じゃあ、いくよ。ダイブ・イン!」


レオ様の鈴の鳴るような愛らしい起動コマンドとともに、私の視界は純白の光に包まれ、ゲームの世界【アルカディア】の満天の星空へと解き放たれた。


姿を選んで目の前に現れたレオ様のアバターを見た瞬間、私はあまりの愛らしさにその場で卒倒しそうになった。


質素な麻のシャツに、細い腰を無防備に強調するツールベルト。


戦闘能力を完全に投げ捨てて、ステータスをすべて器用さに振ったという、華奢で非力な生産職のお姿!


(はわわぁぁ! 素晴らしいわ!力強さの欠片もない、私の力でもねじ伏せ、どうにでもできそうなしなやかなお身体!)


(この世界であなたは私の腕の中に囚われ、私に依存するしかない、無力で愛くるしいお人形よ!)


(あなたをどう愛でるか、想像するだけで胸の奥がズキズキと震えるわ!)


「俺、戦えないからアリアに守ってもらわないと困るんだけど」


「お任せくださいませレオ様! 私は……そうですわね。力でねじ伏せるだけが戦いではありませんわ!」


レオ様の目の前でこれ見よがしに踊って、その視線を私だけで釘付けにするために、フリフリで肌が少しだけチラチラ覗く踊り子の衣装を選んだわ。


このフリフリの衣を揺らし、レオ様の美しい瞳を私の存在だけでいっぱいに満たしてみせますわ!


降り立った大草原で、子供みたいに草の上に転がって手足をパタパタさせて喜んでいるレオ様。


その隙だらけの仔猫のようなお姿を、私の脳内に目いっぱい保存していると、最初のクエストとして凶暴な小さい猿が飛びかかってきた。


「キャッ!?」


突如現れた野生の獣に、一瞬だけ慌てて後退りしたけれど……その瞬間、私の脳裏に閃きが走った。


(……待って。ダンサーの初期スキル『魅惑のステップ』、これって目の前の魔物だけじゃなく、一緒にいるレオ様にも効果があるんじゃないかしら!?)


(そうよ、この溢れんばかりの色香を放つダンスでレオ様の理性を完全に焼き切って、その場で私へメロメロにさせてしまえばいいのよ! レオ様から抱きついてくるようにすればいいのよ!)


私はレオ様の正面を陣取り、これ見よがしに華麗なターンを決めて、これでもかと腰をくねらせ、妖艶なダンスを踊り魅せた。


光の粒子を浴びながら、私の完璧な曲線美がレオ様の瞳へと迫っていく。


(さあ! さあさあさあレオ様! あなたのためだけに悶えて踊る私の美を、その可愛いらしい瞳に焼き付けなさいな!)


(そして私の胸にとびこんできなさいな)


だけど、私の完璧な計画は、レオ様が出現させたペンライトのせいで、猿がただの私のオタクになって戦闘が終了するという結末によって阻まれてしまった。


計画が失敗したことで、より一層強い欲望が、私の中に湧き上がってしまった。


(そうよ、これはゲームだもの! 怖がったフリして抱きついても許されるんじゃないかしら!?)


可愛いレオ様を今すぐ貪りたいという衝動が限界に達してしまったのだ。


その華奢な身体を抱きしめたいわ!ええい、飛びかかっちゃえ!


――それなのに、まさかシステムの見えない壁にブロックされて、触れることすらできないなんて!


忌々しいセーフティ機能のせいで、私はただ虚空を抱きしめたまま、凄まじい飢餓感でワナワナと小刻みに全身を震わせるばかり。


(ルメン王国へ連れて帰れたら、私の離宮の最深部にあるベッドに連れ込んで、毎日朝から晩まで私の欲望が尽きるまでよしよしして差し上げるのに……!)


脳内で恐るべき妄想を爆発させ、よだれが出そうなほどハァハァと荒い息を吐きながら震えている私を完全に放置して、レベルが上がったレオ様は無邪気に笑っておられた。


その笑顔も目の保養としてもちろん消費するけれど、触りたいという狂おしいほどの欲求は徐々に膨れ上がっていった。


次に響き渡ったのは、逃げ出したダチョウを捕獲するクエストだった。


爆走するダチョウの土煙を見つめながら、私の脳細胞は、ある作戦を瞬時に弾き出した。


「ここは私にお任せを! 私が脚力で追いかけて、直接捕まえてみせるわ!」


私はフリフリのスカートの裾をガバッと両手で大胆にたくし上げ、大草原を猛然と爆走し始めた。


もちろん、鳥を捕まえるなんて最初から思っていないわ。


私の真の目的は、全力の勢いのまま、レオ様の目の前でわざと派手につまずいて、不可抗力を装ってその細い胸の中へノーブレーキでダイブすることよ。


その身体を押し潰す快感を味わうのよ!不可抗力ならきっとシステムも反応しないはず!


ところが、レオ様が出現させた真っ赤なゴールテープにダチョウが勝手に特攻して大人しく捕獲されてしまい、私の完璧な押し倒し接触計画は無残に引き裂かれた。


とにかくレオ様に飛び込みたい一心で、私はもう一度草原を爆走し始めた。


(次こそ完璧なアングルからつまずいて、その細い胸にノーブレーキで飛び込んであげるんだから! 私の肉体を受け止めてくださいな)


そう息巻いて、猛烈なスピードのままレオ様の胸めがけておもむろに突っ込んでいった。


――それなのに、レオ様にすんでのところでヒラリと身をかわされて、私は勢い余って思いきり地面にスライディングする羽目になった。


結局、ゲームのシステム以前に、レオ様本人に完璧に避けられるという大失敗で終わった。


レオ様、なぜ避けるのですか。





私たちは最初の拠点、はじまりの街『アイテール』へとたどり着いた。


白亜の石と赤茶色のレンガで造られた、ロマンチックな美しい街並み。


そこでレオ様が「これ食べてみよう」と、大振りの串焼き肉を渡してくださった。


その熱々の串肉を、小さな口を動かしてハフハハフと一生懸命に食べているレオ様のお姿が目に入った瞬間、私の脳内は甘やかしの欲求で一気にパンクしてしまった。


(ああ……レオ様、大丈夫? そのお肉、あちあちで火傷してないかしら? ほら、そんなに熱いなら無理をしないで、私の胸に飛び込んでらっしゃいな。私が優しくよしよししてあげるから! ああ、もう我慢できないわ、今すぐその可愛い頭を両手で引き寄せて、撫で回して抱きしめたい! ……あら、お口の端にタレがついているわ? ああん、私の指でそっと拭って、そのまま私の口に放り込んでその甘みごとレオ様のエキスを舐め取って差し上げたい……!)


私の内情は焦りと歪んだ愛欲でジリジリと煮え繰り返るばかりだった。





街の中心部にある干上がった噴水で、レオ様がスライムゼリーを展開する工作を始めると、次の瞬間、世界中のNPCが一瞬でのっぺらぼうの茶色い丸太へと変貌し、空中を回転し始めるという大パニックバグが発生した。


周囲のプレイヤーが逃げ惑う中、私の脳内には勝利のファンファーレが鳴り響いていた。


(これよ!これこそが、天が私に用意してくれたチャンスだわ!!)


「れ、レオ様っ! 街の方々が、皆様が木になって空を飛んでおりますわっ!? 恐ろしいですわ~!!」


私はこれ幸いと、恐怖に震えて泣き叫ぶ弱々しいお姫様を全力で熱演した。


悲鳴を上げながら、レオ様の細くて柔らかい右腕になだれ込み、しがみついたのだ!


ただ触れるだけじゃないわ。これでもかとレオ様の細い腕を引き寄せ、ギュゥゥゥッと力いっぱい、その感触を搾り取ったのよ!


(あああああああああ!!! 遂に、遂に触れたわ!!! 忌々しいシステムの見えない壁も、レオ様の素早い身のこなしも、この大パニックの前には無力よ! 私の腕の中に、世界一愛くるしいレオ様の生身の温もりが、柔らかいお身体が、今確かに存在しているの!)


(ああ、甘美な脳汁が溢れ出て止まらないわ! このまま一生、レオ様の肉体を完全に融合同化させたまま、永久に離さずにいられたらどれほど幸せかしら!! この極上の感触、一瞬たりとも逃さず私の全皮膚で吸い尽くさなきゃ!!)


そんな私の妄想に気づかず、レオ様は平然とお舟に石ころを投げつけた。


その瞬間、世界が折り紙みたいにパタパタと不自然に折り畳まれ、空間の奥行きも次元もすべてが粉々に粉砕される次元崩壊が発生した。


視界の端から景色がバリバリと引き裂かれ、システム全体が完全にバグって崩壊していく。


(……今よ!! 世界が壊れてシステムが悲鳴を上げている今なら、あの忌々しいセーフティ機能だって完全にマヒして壊れているはずだわ!!)


パニックになって絶叫しながら必死に手を伸ばしているレオ様に、私は腕を絡めるだけじゃあ飽き足らず、ここぞとばかりに全身で思いきり飛びついたの!


案の定、見えない壁のセーフティブロックは作動せず、私はレオ様の華奢で小さな身体をガシッと押し潰すように完璧にホールドしたわ!


レオ様は世界の滅亡に頭がいっぱいなのか、私が全身でのしかかるように抱きしめて、その背中や細い腰にまで手足を回して密着し尽くしていることに対抗がまったくない。


(い、いまなら指を絡めることも可能じゃないの!? アリア、こんなチャンス次はないわ、今しかないわ!)


そう自分を猛烈に奮い立たせて、その細くしなやかな十本の指に私の指をこれでもかと深く、一本ずつ隙間なく絡みつかせて完全にロックした!


(ああああああああああああん!!)


視界が真っ黒な虚無空間へと完全に叩き落とされるその瞬間まで、私はレオ様の怯えて強張る体温も、トク・トクと早く打つ心臓の鼓動も、その頼りない骨組みの感触も、私の全身の皮膚で残さずむしゃぶり尽くして堪能し切った。


(ああん、あんあん、ついに、ついに全身でレオ様を堪能しているわ!この完全密着の幸福感! 世界が崩壊するなんて、私にこの至高のホールドを許すための、神が与えてくださったご褒美よ!!!)


ブツンッ、と強制ログアウトの暗転が訪れた。


次の瞬間、私たちは現実のタイタンにある、レオ様のお部屋の特大クッションの上で仰向けに転がっていた。


現実に戻った途端、レオ様はなぜか顔面を蒼白にさせて、ガタガタと全身を震わせながら、ベッドの隅にうずくまって頭を抱えておられたわ。


そんな怯えたレオ様を見たら、本来なら愛おしくって悶えるのに、私の頭の中は、あの世界の崩壊のどさくさに紛れてレオ様を全身でがっしりとホールドし、十本の指をこれでもかと深く絡め合えた、あのあまりにも甘美な幸福の余韻で完全に埋め尽くされていた。


レオ様を極限まで堪能し尽くせたという圧倒的な満足感と、その悦びだけを胸に、私は顔を真っ赤にして小声でハァハァと激しく息を荒くしながら、クッションの隅へじりじりと這い寄り、レオ様を凝視した。


「はぁっ、はぁっ……最高でしたね、レオ様……!」


「何も最高じゃないよ!!」


私の腕の中で無防備に押し潰されていた華奢なお身体の重み、パニックでトクトクと早く打っていた愛らしい鼓動の感触……。


思い出すだけで脳髄がドロドロにとろけてしまいますわ。


レオ様を余すことなく全身で味わい尽くせたなんて、私はなんて、なんて幸せ者なのかしら!


ベッドの隅で涙目になってガタガタと震えているレオ様をじっと見つめながら、私は自分の指先に残るあの愛くるしい感触をそっと愛おしく確かめて、恍惚とした笑みを浮かべるのだった。

素晴らしい読者の皆様、レオ様のあの全宇宙一愛くるしいお姿、脳内の最深部にしっかりと焼き付けまして?


どさくさに紛れて完璧な密着ホールドを決めたあの瞬間は、今思い返しても私の全神経が歓喜で震える最高のひとときでしたわ。


さあ、皆様の尊き一票で私の甘やかしメーターを臨界突破させてくださいまし!玉座のクッションで足をパタパタしているレオ様を一緒に無限に可愛がって差し上げましょう。

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