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Avvy 新聞 軽音部2

周りでは部活へ向かう生徒たちが次々と教室を出ていく。


「そういえば」


廊下へ出ながらスイが言う。


「ゆるりちゃんから連絡来たんだよね」


「ああ」


スマホを取り出す。


メッセージ画面。


『やってる!!!!』


『紅が横で飛び跳ねてる!!!!』


『来る!?』


アムネが覗き込む。


「めっちゃゆるりちゃん」


「本人以外の感想がない」


スイが笑う。


「でも紅ちゃんは本当に飛び跳ねてそう」


「それはわかる」


三人で歩く。


夕方の廊下。


窓から差し込む光が長く伸びている。


昨日通った道。


でも今日は少しだけ足取りが違う。


「アビィさ」


アムネが歩きながら言う。


「ん?」


「軽音好きそう」


「急だね」


スイが笑う。


「だって昨日ずっと見てたじゃん」


「見学なんだから見るでしょ」


「そういう見方じゃなくて」


アムネは首を振る。


「なんか聞いてた」


少しだけ言葉を探す。


「音を」


その言葉で。


昨日の光景が浮かぶ。


ドラム。


ベース。


ギター。


キーボード。


声。


確かに。


人よりも音の方を見ていた気がする。


「まあ」


スイが続ける。


「気になるなら良いんじゃない?」


穏やかな声。


「部活ってそういうものだと思うし」


押しつけない。


でも肯定する。


「好きになる理由なんて後からついてくることもあるしね」


その言葉に。


少しだけ考える。


好きかどうかはまだ分からない。


でも。


また行こうと思っている。


それは事実だった。


階段を降りる。


一階。


昇降口。


靴を履き替えて外へ出る。


少し涼しい風が吹く。


校門へ向かう途中。


見覚えのある後ろ姿が見えた。


「あ」


スイが小さく声を出す。


前を歩いているのは。


さわらとゆうきだった。


何か話しながら歩いている。


「先生ー」


アムネが手を振る。


二人が振り向く。


「お疲れさま」


ゆうきが柔らかく笑う。


「こんにちは」


さわらも軽く会釈する。


「今帰りですか?」


スイが聞く。


「そうですね」


ゆうきが答える。


「今日は少し早く終わったので」


「珍しい」


アムネが言う。


「失礼ですね」


ゆうきが苦笑する。


その横で。


さわらの視線が少しだけこちらへ向く。


「軽音部」


突然だった。


「昨日行ったんですよね」


覚えていたらしい。


「うん」


アムネが答える。


「どうでした?」


穏やかな聞き方。


試す感じもない。


ただ聞いているだけ。


少し間が空く。


「……悪くなかった」


答える。


昨日と同じ言葉。


でも。


少しだけ意味が違う気がした。


さわらが小さく頷く。


「そうですか」


それだけ。


でも。


どこか納得したようだった。


「顧問としては安心しました」


ゆうきが横から笑う。


「ああ」


アムネが言う。


「そういえば顧問だったね」


「忘れてたんですか」


「ちょっとだけ」


「正直ですね」


ゆうきが笑う。


その間にも。


視線は自然と校舎へ向く。


軽音室のある方向。


まだ時間はある。


今なら。


演奏しているかもしれない。


「じゃあ」


さわらが言う。


「気をつけて」


短く。


でも優しい声。


「先生たちも」


スイが返す。


そのまま二人は駅の方へ歩いていく。


後ろ姿が少しずつ遠くなる。


「良い先生だよね」


アムネがぽつりと言う。


「うん」


スイも頷く。


そのまま。


三人は校舎の方へ向きを変える。


軽音室のある棟。


昨日と同じ場所。


だけど。


今日は見学じゃない。


遠くで。


ドラムの音が聞こえた気がした。

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