職員室(さわらとあすか)
昼休み前。
職員室に、軽い声が響く。
「いやー今年の3年A、いい感じじゃない?」
「アムネとかさ、元気あってさ!」
アスカが笑う。
その隣で——
「元気で片付けるの、雑じゃない?」
さわらが返す。
でも声が少し軽い。
「いいじゃんいいじゃん!」
「いや、振り回される未来見えてるって」
ちょっと笑いながら言う。
アスカが乗る。
「それも含めて青春!」
「教師側の負担考えて」
「夢ないな〜」
「現実主義なだけ」
即答。
でも口元は少し緩んでる。
「でさ、転校生」
アスカが机に身を乗り出す。
「アビィどう思った?」
その問いに——
さわらはペンをくるっと回す。
「……まだわかんない」
軽く言う。
「でも」
少しだけ間を置いて。
「拒絶はしてなさそうだった」
「お、ちゃんと見てるじゃん」
「見てるよ、一応」
ちょっとだけ笑う。
「アムネいるしさ」
「うんうん」
「勝手に巻き込まれてくでしょ」
「それな!」
アスカが笑う。
「もう未来見えるわ」
「だろうね」
そのとき——
「さわら先生、こちらの資料ですが」
声がかかる。
振り向く。
「はい、ありがとうございます」
すっと敬語に戻る。
「後ほど確認して処理しておきますね」
「お願いします」
短くやり取りが終わる。
振り返ると——
アスカがニヤニヤしてる。
「今の切り替えさ」
「うん?」
「ずるくない?」
「何が」
「俺と話してるとき、ちょっと楽しそうじゃん」
一瞬。
間。
「……気のせい」
即答。
でも——
少しだけ笑ってる。
「いや絶対そうじゃん!」
「うるさいな」
軽く流す。
でも完全には否定しない。
そのまま、ぽつりと。
「まあでも」
「ん?」
「今年の3A」
ペンを止める。
「ちょっと面白くなりそう」
「でしょ!!」
食い気味。
「絶対なんか起きるって!」
「起きる前提なの」
「起きるね」
「言い切るじゃん」
くすっと笑う。
「じゃあちゃんと見とくか」
「お、乗ってきた!」
「乗ってない」
言いながら。
少しだけ楽しそうだった。




