教師陣 飲み会①
夕方。
職員室。
生徒のざわめきが遠ざかっていく時間。
「……ふう」
書類を閉じて、さわらが小さく息をつく。
「終わりました?」
隣から声。
「ゆうき」
振り返ると、やわらかい笑顔。
「今日はちょっと早めに上がれそうです」
「珍しいね」
「たまには」
軽く笑う。
そのとき——
「おつかれ〜!」
軽い声で扉が開く。
「あすか」
「今日さ、行くよね?」
迷いがない。
「行くって?」
ゆうきが聞く。
「飲み!」
即答。
「……急だね」
さわらが言う。
「急じゃないって、前から言ってたやつ!」
「言ってた?」
「言ってた言ってた」
(たぶん言ってない)
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「カロン先生も呼んでるから」
あすかが続ける。
「もう逃げられないよ〜?」
「逃げる気はないけど」
そのタイミングで——
「呼ばれた気がした」
静かな声。
入口にカロンが立っている。
「タイミング良すぎない?」
あすかが笑う。
「偶然だ」
短く返す。
「で、行くんですよね?」
ゆうきが聞く。
「断る理由はない」
(この人もこういうとこある)
さわらが思う。
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「あと一人来るよ」
あすかが言う。
「え、まだ増えるんですか?」
ゆうきが少し驚く。
「うん」
その瞬間——
「呼んだ?」
軽い声。
いつの間にか入口に立っている。
「ぽぽ」
さわらが目を細める。
「タイミング、狙ってる?」
「たまたま」
即答。
(たまたまじゃない)
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「メンバー揃ったし、行こ!」
あすかが手を叩く。
「強制なんですね」
ゆうきが笑う。
「もちろん!」
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夜。
駅前の通り。
昼とは違う空気。
「この時間の外、久しぶりかも」
ゆうきが言う。
「わかる」
さわらが頷く。
「生徒いないだけで、だいぶ違うよね」
「あーそれな!」
あすかが共感する。
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店の前で止まる。
「ここでいい?」
「いいと思う」
暖簾をくぐる。
一気に変わる空気。
ざわめき。
グラスの音。
「いらっしゃいませー」
「5人です」
あすかが答える。
慣れている。
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席に通される。
「とりあえず何飲みます?」
ゆうきが聞く。
「ビール!」
あすかが即答。
「早いね」
さわらが笑う。
「迷う理由ある?」
「ないです」
ゆうきも笑う。
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「ぽぽは?」
カロンが聞く。
「なんでもいい」
「雑だな」
「任せる」
(相変わらず)
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「じゃあ——」
グラスが並ぶ。
「お疲れさまです」
軽く掲げる。
乾杯。
音が重なる。
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