後輩 (熊野)
昼休み。
教室はざわついている。
「なあ今日さ」
アムネが机に肘をつく。
「放課後——」
ガラッ。
ドアが開く。
「……あ、アムネ先輩」
少しだけ控えめな声。
入口に立っているのは、小柄な女子。
にこっと笑う。
「来ても大丈夫でした?」
「お、くまちゃん」
アムネが軽く手を上げる。
「いいよ別に」
「ありがとうございます」
ぺこっと軽く頭を下げる。
そのまま、近づいてくる。
「お邪魔します」
自然に輪に入る。
スイがひらっと手を振る。
「くまちゃん、また来たんだ」
「はい」
柔らかく笑う。
「ちょっと時間あったんで」
落ち着いた関西弁。
(……後輩)
アビィが見ていると。
くまちゃんの視線が合う。
「あ」
少し驚いた顔。
「もしかして、転校生の方ですか?」
「……アビィ」
「熊野です」
軽く会釈。
「くまちゃんって呼ばれてます」
「よろしくお願いします」
「よろしく」
「よかったら、くまちゃんでええですよ」
距離は詰めすぎない。
でも柔らかい。
そのまま——
「さっき、放課後って言うてました?」
話を戻す。
「行く予定あるんですか?」
自然な入り方。
「ちょっとな」
アムネが答える。
「友達紹介しよっかなって」
「……ああ」
少しだけ納得した顔。
「そういうやつですか」
間を置いて。
「もしよかったら、ウチもご一緒していいですか?」
控えめに聞く。
「いいよ別に」
「ありがとうございます」
素直に笑う。
スイがくすっとする。
「結局来るんだね」
「お邪魔じゃなければ」
やんわり。
グレイが腕を組む。
「礼儀のある後輩だな」
「え」
くまちゃんが少し驚く。
「ありがとうございます」
すぐに姿勢を正す。
「2年B組の熊野です」
「グレイだ」
「グレイ先輩、ですね」
「そうなるな」
少し間。
スイが小さく笑う。
「なんかちゃんとしてる」
「一応、先輩なんで」
くまちゃんも少し笑う。
そのままアビィの方へ。
少しだけアビィの方を見る。
「この学校、どうですか?」
自然なトーン。
「……悪くない」
短く答える。
「それならよかったです」
すっと引く。
押しすぎない。
(……話しやすい)
アビィは思う。




