表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゲーム世界へ転生したモブ♂、死ぬ未来を回避するために美少女(偽)になる  作者: ゼクスユイ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
70/98

第69話 ゾンビパニック

 翌日。信二はホテルの朝食を終えた後、遊びに行こうとする皆を呼び止めて、自分の部屋に招き入れた。そこで、昨晩の出来事を話していく。ステラによって盗聴・盗撮の類ができる電子機器が無いのは確認済み。防音性の高いホテルの部屋なら、作戦を話すのもうってつけだ。


「――と、エクステラから話があった」


「話があったじゃないわよ!大変なことになっているじゃない!」


「ツバキちゃんがEX-05とかいう人型EXギアに乗っ取られているってホント!?」


「ああ。エクステラが言うにはEX-05の異能【調教(テイム)】で、格下と思わせた人やモンスターを操ることができるらしい。小さな子だから、口手八丁で騙されたんじゃないか。例えば、『私が力を貸しているということは私の方が強いということよね』とかで言い聞かせたとかな」


「ってことは、このあたりの人間、そのEX-05の支配下なんてことはねえだろうな」


「それだったら、紫苑ちゃんも!? そうは見えなかったんだけど!?」


「いや、似た使役系の異能でも、ゴーレム系が得意、アンデッド系が得意と別れているようにEX-05もむやみやたらと人を洗脳することはできない。単純な思考なモンスターならともかく、複雑な思考をする人間相手なら使役できるのは乗っ取っているツバキちゃんを合わせて、せいぜい2,3人がエクステラの見解だそうだ」


「ってことは残る枠は最大で2人。最後の1枠はエクステラに当てたいでしょうから、洗脳を仕掛けてくることはほぼ無い。不幸中の幸いね」


「だが、それらの異能と同じく時間と手間さえかければ、得意とするモンスター以外を操れるように時間を与えれば与えるほど、ツバキちゃんとの親和性が向上し、洗脳できる人間が増え、リョウの言っていたことが絵空事ではなく実現してしまう。ことは急を要する以上、警察を動かすための証拠集めをしている暇はない!」


「マジかよ……」


「じゃあ、どうするの?」


「私、なんでもやるよ。元が付くけど、南雀に住んでいたから愛着あるし。何より、サクラちゃんやツバキちゃん、紫苑ちゃんのことが心配だもん」


「信二君、エクステラから策は無いの?」


「当然、話し合っている。だが、エクステラは他に調べたいものがあるから、一緒に行動はできない。つまり、俺たちの手で南雀女学院に潜入し、EX-05を倒し、ツバキちゃんとサクラちゃんを救出する必要がある」


「女学院に潜入ってことは僕たちはお留守番ってことかな」


「そうならないためにも作戦は考えてある。その前にだ。みみみ、女学院時代の制服は今も持っているか?」


「捨てるのもったいなくて残してはいるけど。中黄の制服より良い素材使っているし」


「何着ある?」


「さすがに1着だけ」


「エクステラも手傷を負い、洗脳するかもしれない相手にみみみ単独潜入はな……紫苑ちゃんに今までのことを簡単に話して協力してもらえるか。あまり巻き込みたくはなかったのだが」


「紫苑ちゃんが聞いたら除け者扱いしたほうが怒るよ」


 母校どころか育った地が危機に陥っているとなれば当然かと思いながら、みみみの通話が終わるのをおとなしく待つ。電話先から漏れる声からすると、驚きを隠せないようだ。


(まあ無理もない。俺も何の知識も無く、今いる学校が悪の手先に支配されるかもしれないなんて言われたら、話した相手の正気を疑う)


「――バイバイ。とりあえず、制服2着貸してもらえたよ」


「俺が言うのもあれだが、よく信じてもらえたな」


「サクラちゃんの様子がおかしかったのもあったからね。制服貸すだけで解決するならって」


「これで3人分。2人が洗脳されたとしても、1人は残るから、出会い頭に全滅の危機は無い。ここは女子3人が制服に着替えて――」


「ちょっと待って。私は良いけど、サキは服のサイズが合わないんじゃない?」


 確かに長身で出ているとこも目立つサキにとって、小柄な紫苑の服ではパツパツになりかねない。ならば、紫苑と一緒に潜入するかと考える。


(今の段階なら、事情を知らずに渡したと言い逃れできるが、これ以上俺たちに関われば、その逃げもできなくなる。しょうがない、あまりやりたくはなかったが、奥の手を使うか)


「どうする? 紫苑ちゃんに頼んで一緒に潜入する?」


「いや、彼女の力をこれ以上借りるわけにもいかないだろう」


「ってことは2人で潜入する感じかしら?」


「でも、それだと最悪全滅するんじゃあ……」


「そうだぜ。リスクが高すぎるって」


「だから、潜入するのは最低3人。となれば、俺たち3人の内、一人が女装することになるな」


「ええーっ、僕たちが女装!?」


「お、俺は無理だよな。体格的に」


「リョウ、ずるいよ!?」


「体格的にはカケルか信二よね。どっちがやるの?」


「……まあ、凄く言いたくはないが、エクステラ役を演じている俺の方がバレにくいだろうな。文化祭に使うエクステラ変身セットもちょうどアイテムボックスの中にある」


「そうなるわよね」


「せーふ……」


「カケル君の女装姿も見たかったかも」


「サキちゃん!?」


「おいおい、ノロケ話は後でしてくれよ」


「決定だね。ところで、女装した信二君はなんて呼べ良いの?」


「そうだな。こうなった元凶のエクステラから文字取って……エク、ステラ、星、星エク……星川エミとでも名乗ろうか」


「エミちゃんね~」


「それで、潜入したらどうすれば良いの?」


「まずは女学院の中を歩き回って、EX-05を探しつつ、人が巻き込まれないような場所に爆弾を設置。EX-05を発見、戦闘に入った瞬間、みみみが学院内に仕掛けた爆弾を一斉に発動。学院は当然、爆弾テロだと思い、生徒たちを学院の外に避難させるはず。その騒ぎに乗じてサキたちが学院内に潜入し、俺たちと合流する」


「テロに思わせると言うより、ただのテロだよ、これ!?」


「こういうときこそ、迷惑系Dtuberの腕の見せ所だろ」


「元が付いているはずなんだけどなあ。って、まあ、しょうがないか。やってやろうじゃん!」


 みみみが気合を入れたところで、信二から作戦の詳細を伝え、作戦に移るのであった。



 真上にある太陽がサンサンと照りついている中、エミたちは警備員の詰め所を堂々と横切り、女学院に堂々と入るのであった。この時間帯なら生徒の多くはは食堂に集まっているので、人で出くわすことはほぼ無い。


「案外バレないものね」


「野菜泥棒でもコソコソやるより、堂々とやった方が業者だと思ってスルーするのと同じよ。ましてや同じ制服。見慣れない人でも、夏休み明けの転校生やら関わりの薄い上級生や下級生と勝手に思い込んでくれる」


「うわ~、エミちゃん腹黒」


「誉め言葉として受け取っておくわ」


 木陰の傍にみみみのぬいぐるみを置きながら、校舎の外をぐるりと回っていく。そのとき、しゃべりながら歩いてくる女子3人とすれ違う時、「やばっ」と声を漏らしたみみみが俯いて、女子グループと目を合わさないようにする。


「あれ? さっきの子って……ねえ、ちょっと良い?」


「………………びくっ」


 そのまますれ違おうとしたみみみをジロジロと見る一人の女子。そして、のぞき込んむとやっぱりと言って、手をぽんと叩く。


「麻衣じゃん。退学になったって聞いたんだけど、復学したの?」


「……はは、配信のネタで誰にも気づかれずに校舎内に入れるかなって思ったんだけど、失敗しちゃったかな」


「あちゃー、話しかけたらダメだった奴?」


「むしろ失敗したほうが良かったんじゃね。センコーに見つかったらどうなるか分かんないよ」


「つーかさ、動画的に美味しいしょ」


「まあね。ところで、変わった人とか見かけていない?」


「「「お前だよ!」」」


「私たち以外で。忍者っぽい人とか魔法少女っぽい人とか」


「そんな人見かけたら気づ――」


 みみみの問いに応えようとした女子グループが急に黙りこむ。何があったのかとみみみが心配そうに近寄ると、人が変わったかのようにみみみの手を強く捕まえて、押し倒そうとしてくる。それを見たアスカが女子たちから引きはがして、距離を取りなおす。


「いったいどうしたの!?」


「まさか!?」


『ピンポンパンポ~ン。本日は晴天なり~』


 エミの脳裏に浮かんだ答えを肯定するかのように、人を小馬鹿にしたような声の校内放送が流れる。その声の主はツバキ、EX-05のものだった。


『エクステラのそっくりさんもいるし、見るからに協力者の貴女たちを倒せば、勝手に出てくるでしょう』


「でも、おかしいわ。3人しか操れないはず。ツバキちゃんの分も入れたら、4人になるわ」


(アスカの言う通りだ。ステラの見立てが間違うはずがない。一体、どんな絡繰がある)


『戸惑っているみたいね。冥土の土産に教えてあげるわ。このツバキって子の異能は【複製】。無機物限定だけど同じ物を作り出すことができる。といっても、1個増える程度のものだったんだけど~それを人型EXギア()の力で底上げすることで、最大100個まで複製を作り出すことができるようになったの』


「みみみ、今すぐ爆破と信号弾、赤!」


「えっ、うん、わかった!」


 学院内のあちらこちらで爆発が起こると同時に緊急を知らせる赤い閃光弾が撃ち上がる。予想よりも早い作戦開始の合図。どれだけヤバい状況なのかはカケルたちにも伝わったはずだ。そして、自分たちの目の前には校舎の窓を突き破って、ゾンビのように寄ってくる生徒や教師たち。


『みんなやっつけちゃえ。きゃははは』


「潜入ものからゾンビパニックものになるなんてね」


「どうするのよ。作戦がメチャクチャよ」


「やることは変わらないわ。これだけパニックを起こす要因がそろえば、見知らぬ人間が校舎に入っても気に留める人はいない。今のうちにEX-05を倒しに行くわよ」


「どこに向かうの?」


「う~ん、校内放送しているってことは南館の放送室かな」


(……本当にそうか? EX-05はおれのことをエクステラのそっくりさんと言っていた。つまり、俺を何らかの方法で見ているというわけだ)


「エクス、EX-05やドローンの反応は?」


【先ほどから探知していますが、中央館付近にそれらの反応はありません】


「となると、監視カメラの映像を見ている可能性が高いわね。みみみ、警備室かセキュリティールームはあるのかしら?」


「北館の地下1階だけど、地下への階段はセキュリティーが掛かっていて鍵がかかっているよ。南館の職員室からカードキーを借りないと……」


「電子キーならエクスが解除してくれるから、問題無いわ。急ぐわよ」


「わかった」


 アスカが生徒たちを殴り飛ばしながら北へと向かっていくと、突如様子がおかしくなった3年生や教師に襲われている生徒たちがいた。ゾンビたちは手当たり次第に暴れまわっているようだ。


「見逃すわけにはいかないわね」


 エミがビーズを投げつけ、【接続】でゾンビ生徒たちを壁や地面に縛り付けていく。襲われた生徒には学院の外に出ていくように指示した後、エミたちは北館へと向かうのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ