第45話 掲示板とこれから4
1.名無しの探索者
第2次エクステラショックまとめ
・天使は異星人だった
・意外とサブカルも学んでいる
・エクみみは正義
・やはりまだあった違法研究所
・違法(脱法?)薬物を作っていた『評議会』
・官僚たち悲鳴
・魔法少女つょぉい
・堕天使降臨
・交渉人エクステラ、天使と停戦協定を結ぶことに成功
・エクみみ本待っています
これくらい?
2.名無しの探索者
・エクステラ男体化本まっています
・今年のコミケ、地獄が待っている同人作家さんたち
が抜けているぞ
3.名無しの同人
たりぬ、時間が足りぬ
4.名無しのコスプレイヤー
待って、エクみみの他にミキティーの分も用意しないといけなくなったんだけど
5.名無しの探索者
わずかな出番で話題を掻っさらったね
6.名無しの一般人
あれくらい強くても学生たちで倒せるんやろ
大人なら楽勝じゃん
7.名無しの探索者
勝てるわけないだろ!
8.名無しの探索者
御三家の誰かいないと無理や
9.名無しの一般人
御三家って?
10.名無しの探索者
・新進気鋭の『蒼穹の騎空団』
・関西を中心に活動し、女性のみで構成された『白鷺戦姫隊』
・ダンジョン黎明期から続く『月影庵』
いずれもSランクが複数名所属していて、深層はもとより、
それよりも深い深淵にも手を出している日本トップクラスのギルド。
11.名無しの探索者
あの魔法少女クラスが敵に回るなら、Sランク複数はいるってこと
12.名無しの探索者
実際、あの場にはエクステラ含んで4名のSランクが居たわけだしな
13.名無しの探索者
そう考えると、あの場にいた剣使いすごくね?
14.名無しの探索者
Sランクの戦いに追いついていたもんね
15.名無しの探索者
わかる。俺たちのギルドに入ってほしい
16.名無しの探索者
中学の時のクラスメートだけど、アイツD欄だったぞ
17.名無しの探索者
マジで!?
18.名無しの探索者
高校に入ってから伸びったっぽい
俺よりも弱かったくせに
19.名無しの探索者
ひがむな、ひがむな
20.名無しの探索者
この書き込みは削除されました
21.名無しの探索者
あっ……
22.名無しの探索者
個人特定できる情報かよほどな罵倒したか
23.名無しの探索者
やらかした奴は下手すればBANだからな
24.名無しの一般人
それよりも、エクステラショックでまた大臣辞めたんだけど……
25.名無しの探索者
本人の不祥事じゃないとはいえ、
これまでの悪事が明らかになったからね
責任はとるしかないだろうよ
26.名無しの探索者
支持率も下がっているし、秋に衆参両院解散総選挙は有り得るで
27.名無しの一般人
河合総理、かわいそう……
28.名無しの探索者
政権交代で民民党が与党になるけど、今度は大丈夫?
29.名無しの探索者
前の宇宙人よりかは人間だし、大丈夫やろ
30.名無しの探索者
あのときはひどかったからな
31.名無しの探索者
ワイ、あのときに仕事を首になったから探索者やっている模様
なお、今はそのときよりも儲けている
32.名無しの探索者
おめでとう
33.名無しの探索者
おめでとう
34.名無しの探索者
ワイを首にした会社は結局つぶれたし、ざまあや
35.名無しの探索者
メシウマ
36.名無しの探索者
今日のメシウマレス
37.名無しの一般人
探索者ってそんなに儲かるんですか?
38.名無しの探索者
人によるで~
ブラックなところで働くよりかは儲かるけど、年取ったらちょいまずい
今のうちにまともな就職先探さんとなぁ
39.名無しの探索者
ただ高ランクだと現役バリバリの老人とかいるような……
40.名無しの探索者
月影庵の老子やろ。御年70歳で下層のオーガをソロで倒しとるからな
41.名無しの探索者
若いころからダンジョンに潜ると魔力の影響で
アンチエイジング効果があるとか無いとか……
42.名無しの一般人
どっちなんだい!?
43.名無しの探索者
個人の資質によるせいで、同じ時期に潜っていても同じ結果にならない
再現性が取れない以上、学術的にはノー
だけど、老子みたいな実例はちらほらあるせいである意味イエスとも言える
44.名無しの探索者
それならイエスで良いんじゃ……
45.名無しの科学者
再現性が無いと論文書けないんや
アンチエイジング効果が何によるかを調べるのが学者だよ!
実はダンジョンの影響じゃなくて毎日朝飯に納豆食べたせいでかもしれんしな!
46.名無しの探索者
納豆wwwwwww
47.名無しの探索者
それは無いやろwwwwww
それから程なくして掲示板の方では第二次エクステラショックから近々行われるであろう選挙やコミケなどの話に代わっていく一方で、現実では1か月近く経った今でも未だにエクステラショックの影響を受け続けていた。
特に『評議会』のメンバーにおいては、子飼いであるはずの警察や公安からの捜査から免れることができず、逮捕者を次々に出す羽目となっていた。その中の一員である老人は資金提供等で親しくしていた但木に匿ってもらうため、秘密研究所に訪れていた。
「――というわけで、ワシをしばしの間匿ってくれんかのう。なに、この騒ぎもエクステラとかいう若造に馬鹿どもが踊らされているにすぎん。愚かな民衆など数か月もすれば忘れる」
「確かに掲示板もエクステラの話はあるが、夏休みの話題に移りつつあるな」
「じゃろう。見返りは当然する。今まで通りの研究、いやそれ以上の研究ができるよう深淵モンスターの素材も提供しようではないか。市場には出回らない一級品じゃぞ」
「…………言いたいのはそれだけか?」
「なに、まだ不満だと言うのか?」
「……ドクターが残した資料には興味深いものがあった。緊急脱出装置を無力化するジャミング装置。そして、リンネの死因は緊急脱出装置の不具合。おかしいと思っていたんだ。妹のEXギアのメンテは欠かさずやっていた。壊れるはずがないってな」
もしかすると何か見落としていたのかもしれない。彼の異様なまでの妹の蘇生への執念はその罪悪感から来ていたのかもしれない。そして、機械の破片の入ったビニール袋を老人の前に投げつける。
「これはEXギアの破片と思われていた基盤片だ。だが、俺が再調査した結果、このジャミング装置に使われている機械と一致している。つまり、リンネの死にはお前たちが関与している動かぬ証拠だ」
「ま、待て。ワシはその件には関与しておらん!」
「その件には? まるで、他の者が関与したような言いぐさじゃないか」
「うぐっ……」
「大方、俺を裏から操るための仕込みだったんだろう。ここでお前を撃ち殺したいが、最期の旅路を飾るリンネの前で貴様のような薄汚い血を見せるわけにもいかない。俺の気が変わらないうちにとっと逃げるんだな」
「後悔することになるぞ……」
「罰は受けるさ。お前たちと違ってな」
老人が秘密研究所から出ていったのを見計らって、部屋の片隅に置かれていた掃除ロッカーに声をかけると、中からエクステラが現れる。
「悪かったな、付き合わせてしまって」
「良いのよ。貴方の覚悟も見れたし」
床に落ちている機械片を拾いあげる。これの正体はリンネのEXギアの一部だと思われ、遺品として回収されたもの。ドクターの資料からジャミング装置の存在を知ったツトムが再調査したところ、自分が設計したことのない部品が混じっていることに気づいたのだ。
「覚悟か……リンネの葬式を終えたら俺は出頭する。巷をにぎわせている『評議会』の情報だ。司法取引には使えるだろ」
「その前にサキの健康診断をしてもらわないと」
「……忘れていたな。これは他の者に任せるわけにもいかない。となると、出頭はもう少し先か?」
「サキだけに?」
「ギャグで言ったつもりは無いんだが……」
「そうね。これまでの功績とその覚悟を見せてもらった以上、こちらもそれ相応の覚悟を見せないといけないわね」
エクステラがそう言うと、人前で初めて信二としての姿をさらけ出す。第3章の事件はもはや起こりえない。ならば、今までのような表面的な付き合いだけでなく真の信頼を得るために正体を明かすことに決めたのだ。
「それがお前の素顔ということか」
「驚かないんだな。エクステラが実は男だというのはセンセーションだと思っていたのだが……」
「ああ、おと……今、何と言った?」
「エクステラが実は男だと言ったんだが……まさか…………」
「……ずいぶんと無理して低い声を出しているなと思っていた。すまない」
「謝られると余計につらいんだが!?」
ステラだけでなくツトムにも女と見間違えられたことにショックを受けつつも、これまでの経緯、自分が転生者であること、ステラという共犯者の天使の存在、そして、本来起こるべき原作と言う未来のことも話していく。
「俺が巨大メカに乗って街を破壊しながら、EXギアの発売会社に攻撃を仕掛けるだと?」
「俺が居なかった世界の話のことだ」
「……とる手段はともかく、自分に非がないと思い他責する。有り得る話だな。そして、天魔計画が奴らの最後の手段か」
「ああ、奴らの主神サタンを復活させるわけにはいかない。未然に防ぐ、それが一番だが、そううまくはいかない。何しろ、イレギュラーが入り込んでしまったからな」
「堕天使級か」
「ああ、奴とはいずれ決着をつける。そのためにも、もう少しだけ力を貸してくれないか」
「それはできない相談だ」
「……そうか。だが――」
「少しじゃない。全力でお前をサポートしてやる。平和が訪れるその日まではな」
ツトムがカプセルに入っているリンネをみると、微かに笑っているように見えた。それは気の迷いかもしれないが、彼にとってそれは何事にも代えがたい最高の報酬であった。




