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ゲーム世界へ転生したモブ♂、死ぬ未来を回避するために美少女(偽)になる  作者: ゼクスユイ


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第35話 原罪

 熾天使級、セラフィム。

 今まで見てきた天使はいずれも化け物、モンスターとしてみなせるのに対し、彼の姿は大男ではあるが、現実に居てもおかしくはない程度の大きさ。ヘイローや羽さえなければ、人間と見間違えてもおかしくはない。

 だが、それらの特徴が彼を文字通り『天使』と思わせる。


 ――ある者は知らない人の人生が脳裏に流れた。その次に自分の人生が流れ、先の映像が前世も含めた走馬灯であることを理解した。


 ――ある者は神の存在を信じなかったが、目の前の存在はそれであると信じた。


 ――ある者は持っていた武器を、ある者はEXギアを手放し、その場で平伏した。目の前にいる存在は自分たちよりも上のステージにいる。そう理解してしまったからだ。



「我が名はセラフィム。まずは醜悪な人間の中にも、誇り高き戦士が居たことを褒め称えよう」


 セラフィムは力を一つ振うことも無く、その場に居る探索者たちの戦意を削いだ。ただ一人を除いては。


(ゲームでは何度も勝っている。畏怖する必要はない。体力も魔力も無いなら、その分を頭に回せ。倒れるな、前を見ろ!)


 まともな戦闘はできない。ただの強がりなのはわかっている。だが、それでも、エクステラにできる最大限の抵抗は震えそうになる足を止め、背けたくなるようなプレッシャーを根性論で耐え、まっすぐ見据える。


(今はまだ戦える。まだ戦うだけの余裕はあると。ハッタリで構わん。言の葉を紡げ!鈍い頭を回転させろ!)


「あら、親玉のお出ましかしら」


「我を前に抗う気力が残っているとは、100年前に下した人間共の評価を改めんといかんな」


「1世紀も前のデータなんて相当古いじゃない。こまめにアップデートすることを勧めるわ」


「人間ごときが我に進言するか。面白い。その折れぬ闘志、不屈の心に興味がある。貴様を我が城へと案内してやろう」


「ええ、アフタヌーンティーにはちょっと遅いけど、お呼ばれさせてもらうわ」


 二人の姿がどこかへと転移し、カケルたちはその場でただ見ることしかできなかった。


「何もできなかったね」


「仕方ないじゃない。智天使級の討伐で皆くたくただもの」


「そうだけど、いつまでもエクステラに守られっぱなしは駄目だよ」


「それは分かるわ。一緒に強くなろう、カケル」


「うん」


 ――ある者は誓った。今は手が届かない星でも、いつかその手で掴もうと。




 エクステラが転移した先は宮殿の中。だが、窓の外から辺りを見渡せばここが透明なドームの中にあることが分かり、その外には一面星々が広がり、眼下には青い星、すなわち地球が見える。そのことに驚きつつも、顔に出さないようにし、内装はゆっくりと見る。

 貴族が飾るような派手な装飾は無く、豪華絢爛とは程遠く機能性を重視しているような質素な作りになっている。もしかすると、セラフィムのストイックな内面を顕しているのかもしれない。


(ラスダンは宇宙にあることが以外は変わっていない。さて、問題はここからどうするかだな。相手の真意が見えないうちにこちらから動くのは悪手。こちらの手札が乏しい今、何をするにしても、まずはセラフィムの様子を伺うしかない。それにしてもステラのやつ、やけに大人しいな。いつもなら……)


 セラフィムの後を追い、宮殿の上層部へと向かっていく。エレベーターから降り、しばらく歩いた先にあるのは外の様子が伺えるバルコニーとアフタヌーンティーセットが置かれているテーブルと2つの椅子。


「あら、おもてなしはしてくれるのね」


「野蛮な人間と違って、我らは礼節を重んじる。失礼が無いように古今東西の文化を100年かけて調べさせてもらった」


「でも、100年もあれば人は変わるわ」


「変わらんな。問答は席に着いてからにしよう。それとも、立ち話するのが礼儀というのであればそれに応えるが?」


「私が悪かったわ」


「自分の非を認める度量、それが100年前の人間にあれば我らの評価は変わっていたのかもしれんな」


 席につき、エクステラは注がれた紅茶の香りを嗅ぎながら、ゆっくりと飲む。


(ストレートで飲んでいるはずだが、やや酸っぱさがあってレモンティーを飲んでいるようだ。甘い焼き菓子と合うだろうな)


「ほう、敵から与えられた物を疑いも無く口に入れるとはな」


「貴方の実力なら毒で殺すよりも、直接手を下したほうが早いでしょう。それにいちいち評価を口にするのがそちらの礼儀なのかしら」


「それは失礼した。ホストとして招くのは久方ぶりなのでな」


「それで、私を招いた理由は? まさか、ただお茶会をしたいからというわけではないでしょう」


「無論だ。あの場で話すのはそちらに都合が悪いのだろうと判断した。すなわち、偵察に向かわせた識別番号:B5Y0JO3I5、お前たちがEX-00と名付けている個体が帰還せずに敵性勢力と手を組んでいるのかその理由を問うためだ」


(それで口を開かなかったわけか……)


【いや、その……】


「一つ聞きたいけど、ここはただの人間が居ても大丈夫な場所かしら? 宇宙放射線で人体に悪いとか」


「このドーム内は我らが母星と同じ環境下にある。そして、地球は我らの母星とppmオーダーで異なる程度で大気や重力はほぼ同じ環境下である奇跡の星だ。問題無かろう」


 エクステラは変身を解き、信二が手にしたEXギアをテーブルの机の上に置き、両者がステラに面と向かう。


「俺としてはお前から話すのを待っていたが、こうなってしまえば仕方がない。お前は何者だ?」


【……分かりました。お答えします。そもそもEX-00の『EX』は何かご存じですか?】


「通常、EXギアのEXは『EXTEND』、自身の異能や能力を強化するという意味で使われているが、人型EXギアのEXは『EXTRA』、特別なものという意味も含まれている。お前の場合もこの二つの単語の意味を持っていていると解釈しているが?」


【それなら00番なんてつきませんよ。おかしいと思いません? 01から始めないなんて?】


「それはそうだが……なら、他に何の意味が?」


【『EXTRATERRESTRIAL』地球外生命体という意味です。唯一無二の存在だからEX-01では無くEX-00。『天使』というのも宇宙という天から降りてきた使いという意味ならあながち間違いではありません】


「つまり、お前たちは地球とは異なる別の星、同じ種族だったというわけだな」


「さよう」


「ならば質問させてもらう。なぜ、地球にやってきた? 」


「良いだろう。そもそも我らは母星にいる知的生命体と共存してきた。我らだけでは物質に干渉するのが困難。そして、彼らからすれば超人的な肉体、異能ともいえる人知を超えし力を発揮することができる」


(天使を使っているかEXギアを使っているか、その差異はあれど、それはまるでこの世界の人間と同じ……!?)


「だが、彼らは我らの力を使い戦争を始めた。その結果、取り返しのつかないところまでダメージを受けた母星を見た我らは、彼らを支配する力を習得した。もっとも被支配者によって、その知性や能力に大きな優劣がついてしまったがね」


「それが天使……ということは今まで戦ってきた天使たちはお前たちの星の原生生物というわけか」


「ああ、そうだ。そして、我らは母星を捨て数千年、もしくはそれ以上かもしれぬ。道中見つけたある星は陸地が無く水だけで構成され、ある星は空気がなく、ある星は超重力……とても住める環境ではなかった。その長き航路の果てに青き星を見つけた」


「それが地球。お前たちの住む母星と同じ環境をもった星というわけか」


「奇跡の星を見つけた我らはステラに環境調査を命じ、日本の富士樹海に落とした」


「そんな記録どこにも……!?」


「大方、その記録は抹消されたのだろう。姑息な人間の考えることだ。本来であれば、誰にも見つからずに終わる簡単な任務であった」


【でも、会っちゃったんですよ、私の運命の子に。問おう、汝が私のマスターかって感じの】


「それが、俺の前の……」


【YES!美少女ちゃんでーす。その子、生きていく希望も無いから自殺しようとしていたらしかったんですけど、私の漲るほどの美少女パワーを得て、普通の子から超美少女にグレードアップです】


 使い手の女の子の容姿を変え、美少女にしたステラたちは自殺の原因となっていた貧困を解決するため、ダンジョンへと潜った。当時、軍の装備ですら中層までの攻略が精いっぱいの中で下層でも通用するとなれば、素材の換金だけでも食っていけるレベルの大金が入ったのだ。


「女の子が人外と出会って変身する……これはまさに美少女、いや魔法少女ものか!?」


【でしょう。この当時放映されていた美少女戦士サリーちゃんを真似たんですよ】


「知っているぞ。この世界において初アニメはア〇ムじゃなくて、ダンジョンに行くことを忌避しないように作られた国営アニメーションだということを!」


 普段は優しい女の子がダンジョン内で起こるトラブルを変身して解決するという悪く言えばありきたり、よく言えば王道のストーリーだ。ただダンジョン黎明期に作られたということもあって、後発の似たものよりもよくある事故や事例が網羅されており、一部の話は教材としてもよく使われているほどだ。


【サリーちゃんを現実のものにした私たちは一躍有名人に。ですが……】


「いくら100年前とはいえ、それほど功績を残したのであれば語り継がれてもおかしくはない。だが、実際はそうなっていない。一体、何があった?」


【急に一般人が軍人よりも強くなったんですよ? 軍が黙っているわけないじゃないですか。軍の要請を聞いて、宿主の彼女はそれを受け入れて当時、日本の領土だった朝鮮半島へ出向しました】


「待て、100年くらい前で朝鮮半島で起こった事件と言えば……!?」


【そこで私たちの力を解明しようと非合法な実験が行われ、その結果人型EXギアが生み出され――】


「友好関係を結んでいた少女は話すことすらできなくなったと聞いている」


【私のせいで二回死んだようなものですよ、あれは……そして、私は死んだも同然の彼女の身体を使い、暴れまわりました。最後はSランクの自爆特攻で相打ち。危険視された私は開発中のEX-08と共に目の届きやすい本州のダンジョンの奥に。それらの事実を隠蔽したのが、『朝鮮半島におけるダンジョン崩壊事件』の真相ですよ】


「馬鹿な!? いくら強大な力を持っているとはいえ、善意の協力者にそのようなことをするわけが――」


「それが人間の醜悪さだ。認めよ、この星に住む者たちは悪しかいない」


 言い返す余地はなかった。いくら一部の人間が悪いだけと伝えたとしても、向こうの大使を悪意を持って殺害したのであれば、国交回復など不可能だろう。宣戦布告に等しい。彼らが侵攻するのも納得であった。


「これがこの世界の原罪とでも言うのか……」


 ゲームで語られなかった背景に打ちひしがれながらも、信二の心の中にはまだ燃えるものがあった。


(今ある俺のアドバンテージはありえたかもしれない未来を知っていること。このまま対話が破綻すれば未来を変えることは不可能。だが、ここで和解まで行かなくとも、休戦や停戦に持ち込めさえすれば悲劇は起こらなくても済む。探すんだ、奴の論理の破綻を!) 


 冷静になろうと手元の紅茶を飲み干すと、メイド服を着た人間大の座天使級(男性)がカップにお茶を注ぎ、ぺこりと頭を下げた後、どこかへと転移する。


「一つ聞かせてもらいたい。それだけのしでかしをした人たちに即座に報復しなかったのはなぜだ?」


「我らは一時の感情で動くわけではない。もしかすると、そういう文化を持つ種族かもしれんと思ったからな。調査の都合もあるが、100年の猶予を与えた。確かに『彼ら』とは違い人間は闘争の本能をダンジョンとやらに向けていたせいか、諍いはあれど大きな戦争は無かった。そこは褒めるべき点であろう」


(もし、俺たちの世界のようにWW2があったら、そこで見切りをつけられていたかもしれん。そうなれば、最悪の場合、三つ巴、いやそれすらできないほどの一方的な蹂躙が始まっていた可能性さえあるか)


「ならば、友好を結ぶことも不可能では無いことも分かるはず」


「だが、そのような文化を持つ種族と断言することは不可能となった。つまり、人間は誰しもが悪意を持って善人を害する醜悪な種族。そう結論付けた私はダンジョン内に侵攻してきた」


(もし、ダンジョンに対処できないほどのモンスターが現れたら、そのダンジョンは封鎖される可能性が高い。もし、それが世界中に広がればダンジョンそのものが立ち入りが禁止されることさえある)


 もしそうなれば、ダンジョンからの産出物に頼っている世界は現状ある数少ない資源を取り合うことになる。それはセラフィムの母星と同じ結末を迎える最悪のストーリーだ。

 ただ、一つ違うのはその結末を知っている第三者がすでにいること。セラフィムが横からすべてを搔っ攫うのは容易だろう。それは規模こそ違うが、信二が今まさにやっていることと同じことであった。それゆえに分かる。ただの一介の大学生が日本を引っ掻き回せるのだから、自分よりも強大な力を持つセラフィムが同じことをする脅威を!


(駄目だ。論理に隙が無い!アニメの敵みたいによく調べずに侵攻してきたのであれば、まだお互い知らないからと話し合いできる余地があるというのに、向こうは100年という長い時間をかけて調査しているのがなお質が悪い。だが、会話をやめればすべてが終わる)


「ダンジョンへの侵攻という回りくどいことをしなくても圧倒的武力で人間を滅ぼすことも可能なはず。なぜ、そうしない」


「先ほども言ったように我らには知的生命体が必要。醜悪とはいえ、人間を滅ぼすわけにはいかない。それに、ダンジョンであれば地上を汚すこともない。時間がかかるデメリットも長命種の我らには関係がない。メリットしかなかろう。だが、そこで問題が発生した。ステラ、お前の裏切りだ。なぜ、裏切った?」


【だって、地球の侵略なんて美少女じゃないですか】


「どういうことだ?」


【私はあの子と一緒に美少女になると決めたんですよ。最後失敗しましたけど……だから、もし、今度があれば今度こそ本物の美少女になると決めたんです】


「来たのは男だがな」


【今、それを言うんです!? そこは私の決意を聞いて感心するところですよぉ!】


「だが、事実だ。それにお前の普段の態度を見ていたら、ただの二次元美少女大好きオタクにしか見えん。まあ、俺にも突き刺さることだが」


【散々落としてからダメージ受けるとか何したいんです!?】


「ふははははは、なるほど、これが現地の言葉でいうところの『喧嘩するほど仲が良い』というやつか」


【そう笑っていますけど、話している間にこっそりと調べさせてもらったら、そっちもメイド服萌えしているじゃないですか】


「何を言っている。あれは現地の仕事服であると……」


「趣味だろ。さっき、座天使級に女装させてまで着せていた理由を言え」


「そちらも女装しているではないか」


「うぐっ……こちらが言い返せないところを的確に……」


【あれは美少女だから良いんですよ。おっさん顔のメイド服なんて誰得ですか!】


「だから何度も言っておるだろう、仕事服だと」


「意義あり!女性にメイド服ならそう言えただろう。だが、男には執事服がある。わざわざ女装させる意味はない!」


「そういう手で来たか……やるではないか」


【ゲロったらどうです? 自分が2.5次元オタクだと!】


「ええい、この話は無しだ。とにかく、我は――」


「逃がさんぞ!こちらの質問に答えてもらう(何をしているんだ、俺は?)」


「ともかく、我がメイド好きかどうかはこの件には関係ない。そして、こともあろうが、我らの力を悪用して力を得ようとした行為は許せん。ゆえに此度の地上侵攻作戦を行ったのだ」


「強引だな!だが、事情は分かった。ならば、その原因を取り除けば、地上への侵攻はしないと言えるな」


「こちらとしては地上はほぼ無傷で手に入れたい。ダンジョンへの侵攻による人間の間引きは行うにしても、地上侵攻はできるだけ避けたい」


(思わぬところから本音が見えたな。考えてみれば、地球が駄目になったら本末転倒。だが、これで俺が目指す第7章の学園都市壊滅事件の回避ルートの道も開ける!)


「ならば、こちらから提案がある」


「なんだ?」


「俺たちもその天使を悪用する組織、評議会が邪魔だ。つまり、互いに敵は同じというわけだ」


「敵の敵は味方とでも言うのか」


「そこまで信じろとは言わん。俺たち人間は理由はどうであれ、天使たちを傷つけ、悪用してきたからな。俺も含めて。だが、共通の敵がいるのに互いにつぶし合うのは奴らにとって得しか産まない」


「それはそうだが……」


「評議会を俺たちが潰すまで一時休戦するというのはどうだろうか。そちらも、此度の地上侵攻で虎の子の智天使級を失うなど、それなりに消耗したように見える」


「確かにあの者は我らの中でも五指に入る実力者であった。だが、お前たちが敵、その評議会を逃がすまで行かずとも、重鎮を何かしらの理由をつけて見逃す可能性は否定しきれない」


「ならば、証拠があれば納得するというわけだな」


「無論だ」


(言質は取ったぞ。あとは本人不在ではあるが、宇宙一の配信者になるんだ。問題無いだろう)


「文化を学んだと言ったが、ダンジョン配信は知っているか?」


「最近できた文化だな、そう記録されている」


「みみみに協力してもらい、評議会のアジトを壊滅させていく様子を配信させる。すでに実績はある。これ以上ない説得力だろう」


「確かに。前例があるのはこちらも納得せざるを得ない。ならば、こちらも一つ条件を課そう」


「なんだ?」


「我が侵攻した地、亀北と言ったか、そこにあるアジトを今から潰してほしい」


「今からだと……!?」


「お前たちが共謀している可能性もある。こちらから見ても、亀北から外に出た者はいない。つまり、下手人はまだ亀北にいる。共謀していないのであれば、逃げる暇など与えず捕まえられるはずだ」


「(一晩の休憩は欲しかったが、評議会に逃げられる時間を与えることにもなるか)良いだろう。その依頼、受けるとしよう。もし、達成することができたのであれば……」


「地上及びダンジョンへの侵攻に対する一時休戦を受け入れよう。だが、長期にわたって進捗が無いようであれば、これを破棄するものとする」


「長期とは? 3日で壊滅させろと言われてもこちらとしても困る。あと、互いの齟齬が生まれないように現地時間で頼む。そっちの1年がこっちの1日でも困るからな」


「まずは地球時間で半年としよう」


「短いようにも思えるが?」


「それだけお前の活躍に期待していると考えて欲しい」


「(引き延ばしは要求できそうにも無いか)承知した。半年後、この場で対話を行い、その後の対応について話し合う。それで構わないか?」


「良かろう。今後、貴様の言う評議会が壊滅し、強権を振るう立場でないことを確認次第、100年前の禊を済ませたと判断しよう」


「禊が済めば、地球から手を引く。あるいは武力ではなく対話による和平交渉になると判断しても良いか?」


「少なくとも侵攻する大義を失う。そのような路線になるのもおかしくない話であろう」


「承知した」


「これをもって条件付きではあるが、休戦条約の締結とさせてもらう。良いな」


「(0どころかマイナスの立場から期限付きの休戦まで漕ぎつけたんだ)異論はない」


【あの~、私は……】


「そういえば、本来の立場はそっち側だったな」


【そうですよ。成り行きとはいえ、裏切っちゃっているんですが、どうなるんです?】


「処罰されたいか?」


【ゴメン被ります。美少女から罰を受けるなら良いですけど】


「褒美にしかならんだろうが」


「初めて人間と同じ意見になったな」


【どうしてですか!? 私を何だと思っているんですか!】


「「美少女狂い」」


【そこでハモリます!? ステラちゃん、いじけますよ】


「うむ。100年前に会えば友になれたかもしれんな」


「友になるのに早いも遅いもないが?」


「立場上、友好関係を結ぶわけにもいかん」


「……そうか。それでステラの処遇は?」


「一つしかあるまい。識別番号:B5Y0JO3I5、今、この時をもってお前を追放する」


【これは追放もの! 美少女な私をパーティーから追放、戻ってきてと言われてももう遅いが始まります】


「……諸々の問題が解決したら返しても良いが?」


「裏切者を返されても困るが?」


【あれぇ~ここは美少女な私を大岡引きする場面では? 私のために争わないでと言う場面のはず。なんで爆弾の押し付け合いをしているんです?】


「では、俺が引き続き使わせてもらう。これからもよろしく頼むぞ、ステラ」


【なんか釈然としません】


「それではお前たちを地上へと送り返すとしよう」


「その前に変身しないとな」


 エクステラに変身した信二とセラフィムは地上へと戻るのであった。

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