第36話 亀北ダンジョンRTA part1
「こんちゃーす、Dtuverのみみみでーす!今日はSNSでも告知した通り、電撃☆ゲリラコラボ配信でーす。初めての方もこれをみれば安心」
【こんちゃーす】
【こんちゃーす】
【告知(5分前)】
【コラボって誰と?】
【ん? 映っている街並み、亀北じゃね?】
「そう、今日は亀北に来ています。さっきまで天使と戦った爪痕があちらこちらに。地元住民だけでなく、自衛隊や国防軍の方々も一緒に復興作業しています」
ライトを照らしながら、がれきの撤去作業や生き埋めになった人が居ないか異能や魔法を使っての捜索。いくら避難が早かったとはいえ、生存のタイムリミットである72時間まで気が抜けないのだ。
【よく見ればここ、俺の通っていた中学校じゃん】
【OBニキwww】
【地元民ニキwww】
「というわけで、コラボ第一弾はこのお方、国防軍大佐の鷲崎さんです」
「あ~、この配信を許可した鷲崎だ。今回の配信におけるトラブルなど、すべての責任は俺が持つ。ってか、さっきまでぶっ倒れていたのによく喋れるな」
「プロですので」
【プロwww】
【アマチュアやろwww】
【プロ(自称)】
【スポンサーとか居ないのによく言うwww】
【軍の大佐とか、俺だったらビビりながらインタビューするわ】
「そして、第2弾。視聴者のおもちゃ、自衛隊の速水一尉です」
【おもちゃwww】
【ゲロ以下の女】
【グロ画像】
「分かっていましたが、私の扱いひどくありませんか?」
「まあまあ、リョウコちゃん。評価は今が底値ですから、ここから上げていきましょう」
【年下の子に気を使われているwww】
【これは残念さん】
【喋らなければ完璧】
「そして、第3弾は皆お待ちかね、エクステラです」
【知 っ て た】
【準 レ ギ ュ ラー】
【もはやレギュラー】
【もうコンビやろ】
【親より見た顔】
【親のエクステラを見ろ】
【親のエクステラってなんだよ】
【ママ~】
【エクステラママ~】
【バブ~】
「私、ママキャラになった覚えないんだけど」
「まあまあ、最後はこの人、天使軍の総司令官的な人? たぶん、人。熾天使級のセラフィムさんです」
【はあ?】
【What's!?】
【ちょっと待って!天使ってただのモンスターじゃないの!?】
【軍!? 軍隊なの!?】
【国家的なものとかあるの!?】
【あかん第二次エクステラショックが起こる】
【第二次というより大惨事の間違いだろ!】
「紹介に預かったセラフィムだ。国家というべきモノは母星から旅立って以来、存在していない。あと、便宜上、軍と名乗らせてもらっているが、正式なものではない。義勇兵に近いと考えて欲しい」
【母星!?】
【異星人!?】
【宇宙人ってこと!?】
【なんで、日本語でしゃべっているんだよ。フェイクだ、フェイク】
【あの~英語に聞こえるんですが(米国人留学生)】
【中国語では?(中国人留学生)】
【魔法による同時通訳!?】
【あれって日本語⇔英語、日本語⇔中国語みたいに1on1限定で、日本語⇔英語・中国語の多国語同時通訳はまだできてないはず】
「この星の文化を100年ほど学ばせてもらった際に作っておいた。白旗を降伏とみなすか玉砕覚悟の意思表示かというのは実に興味深い事例であったからな。文化・言語の違いによる齟齬は我の意に反する」
【それ、イデ……】
【あれ? これ、向こうの方が技術力上か?】
【ワイの仕事無くなりました(開発中)】
【大丈夫だ、この人? が技術提供しなければ】
【開始数分で同接30万超えwww】
【そりゃあ(異星人の存在が明らかになったら)そうよ】
【みみみのコラボ配信は何か起こる。これ豆な】
【まだ2回目なんですけど!?】
【情報量が多すぎる】
【みみみのコラボ配信(数分)に含まれる情報量は一生分だぜ】
「おーすごい反応だね。カウンターが見たことない跳ね方しているよ」
【呑気なみみみwww】
【加速しすぎてコメント欄がぎゅうぎゅうですわよ!】
【すごいとかいう次元じゃないのよ】
【腹座っていますわよ】
【この子、人生2週目送っているエンジョイ勢みたいな子だから】
【官僚:イヤアアアアアアアアアアアアア、第一次がようやく収まってきたのに第二次とかやめてえええええええええ】
【官僚B:帰して。家賃だけ払っているお家に帰してえええええ】
【官僚さん……】
【官僚に同情する日が来るなんて……】
【第一次はオマエラのせいだからしゃーない】
「これからビシバシ新事実を出して霞ヶ関を機能不全にするのは良いとして――」
【もう、コレはみみみの復讐とか私怨混じっとるやろ】
【家族めちゃくちゃにされたからしゃーない】
【これは迷惑系の鏡】
【迷惑系(霞ヶ関特化)】
【霞ヶ関に凸の用意できたであります】
【おせーよ、カエル】
【判断が遅い】
【告知みたときから準備しているぞ】
「今日はエクステラと自衛隊、国防軍の協力の下、亀北ダンジョンを深層までRTA攻略!と言っても、見ているだけでは分からないと思うので速水一尉に通常どれだけかかるかお聞きしたいと思います」
「結構まともな質問が来たわね。亀北 北ダンジョンは上層2階層、中層3階層、下層3階層、深層2階層の計10階層構成になっています。急いだとしても、中層まで半日、下層3階層に半日、深層を1日かけての攻略がセオリー。高ランク揃えれば、2日を切れるかどうかといったところでしょう」
「お手本のようなつまらない説明ありがとうございます」
「つ、つまらない……」
「リョウコちゃん、落ち着いて」
【つ ま ら な い】
【Zzzzzz】
【寝てたわwww】
「カーカッカッカ、こういう時はぐだぐだ言わず、急いでも2日かかるから、1日とかでクリアしたら化け物だって言えば良いんだよ」
【わかりやすい】
【単純明快なの良いよね】
【うん。ぐだぐだ言うのはNG】
【言っていること自体は正しいんだけどね~】
「うぐっ……」
速水が視聴者たちとの壁を感じながらも配信が進む中、前回のベスト記録であった同接100万をあっという間に超える。
【天使の司令官が出てきたと聞いて見に来ました】
【あの男が妻と娘の敵ですか】
【息子の敵……】
【現れたわね、恩讐組】
【エクステラショックのせいで陰に隠れたけど、龍東アミューズメントパーク襲撃事件からまだ1か月やからなぁ】
【普通は歴史に名を遺すのにエクステラショックのせいでwww】
【第二次もヤバそうなんですが……】
「セラフィムさん、地球に攻めてきた理由をお聞かせてもよろしいですか?」
【聞いちゃうんだΣ(・□・;)】
【良いのか!?】
【資源的な理由か?】
【セラフィムは人間に近いし、近しい姿の人間(奴隷)が欲しいとか?】
【母星がなんたらって言っていたから移住かも?】
【支配かもしれないぜ】
【世界征服】
「何人かは察しの良い人間がいるようだが、母星は戦争により滅びの時を迎えてしまった。我は生き残りを集め、悠久の航海をしてきた。そして、母星と同じ環境を持つこの星を見つけ出し、調査員を派遣したのだが……」
セラフィムがエクステラの方をチラリと見る。どうやら、こちらの複雑な事情を踏まえ、お前から話せと言いたげのようだ。
「その調査員と協力者を害したのが当時の日本政府およびその関係者。彼らの侵攻は100年前の報復というわけよ」
【えっ?】
【つまり、この戦いの大元って日本のせい?】
「言っておくが、いくら隠ぺいしようとも当時、世界中の首脳陣が協力していることは分かり切っている。1か国に責任を擦り付けるのはやめておくことだな」
【What's!?】
【日本のせいだろ(中国語)】
【俺たちは関係ない(フランス語)】
「同罪だ。我がそう判断した」
「誰が悪いかという段階はすでに過ぎているのよ」
【お前はどっちの味方だ!?】
「何度も言うけれど、私は星の裁定者。人類の救済者じゃないわよ」
【エクステラまで敵に回ったらあかん!】
【謝って!】
【すみません】
【さーせん】
【これ、亀山まんじゅうです。納めるのでなにとぞ……】
【鎮まりたまえ~】
「私、祟り神じゃないんだけど……」
「この際だ。我とお前、敵同士か公言したらどうか?」
「イジワルね。私の銃口は罪人に向けられるものであって、無辜の民を討つ物では無いわ。撃って良いのは撃たれる覚悟がある者だけよ」
「ならば、我は敵だと?」
「無辜の民を傷つけるならね。ただ、武器を下ろして対話を行おうとするなら、過去がどうであれ、こちらから銃口を向ける意思は無いわ」
【天使側が民間人を攻撃するような軍事行動するなら敵対するけど、それ以外は関与しないってこと?】
【まあ、国の首脳と話しているときに茶々入れる必要は無いよな】
【対話のテーブルについてくれるかは分からないけど……】
「お前たち人間が100年前の禊を済ませない限り、対話の席に着くことは無いと断言しよう」
【だよな……】
【しかも、良い分通りならこっちから攻撃がしているし……】
【100年前だからドクターみたいな例外はともかく、関係者全員、墓の中なのが腹が立つ】
【それな】
「とはいえ、このままだと私が過労死しそうだから、このRTA配信を生で見てもらうことで、友好関係を築こうとしているわけ」
【過労死www】
【日本の闇を暴いたエクステラの方が今の日本政府よりかは信頼度高そうだしwww】
【官僚:通して。まずは私たちのところに通して!】
【不信感しかないんだよなぁ】
【天使側からすれば捜査に100年かけているんだろ。もう、あきらめろ】
【官僚:いやあああああああああああ】
【官僚C:電話が!電話が!止まらないのおおおおおおお】
「というわけで、どーでもいい官僚のせいで前置きが長くなりましたが、セラフィムさんには外で皆様とコメント欄で友好関係を育んで貰いつつ、亀北ダンジョンRTAをしていきます。あと私は魔力がすっからかんなので、今日は実況だけになります」
【熾天使:と言うわけだ、よろしく頼む】
【マジで来やがったよ】
【えっ、世界初の異文化交流が配信コメントとか大丈夫?】
【これ、日本の恥だろ】
【世界の恥やん】
【むしろ、誇るべき文化になるのでは?】
【歴史の汚点になるなよ】
【去年の自分に初の異星人交流が配信のコメントだよと言われてもぜってー信用しねえわ】
【夢かな?】
混乱の原因を放り込まれて配信コメントが動揺している中、みみみたちの亀北ダンジョンRTA攻略が始まるのであった。




