表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星図師は空の欠けを知っている  作者: ごま
第二部:消えた星を追う旅

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
65/76

第65話 帰路

 夜、工房に帰った。

 ベルとガルトが待っていた。ロットとクロウとヴェラのことを紹介した。ガルトがヴェラを見て、少し顔色が変わった。でも何も言わなかった。

「今夜は全員泊まれる場所があります。クロウさんとロットはここに。ヴェラさんは——」

「私は外の宿に泊まる」

「それでいいですか」

「構わない」

 ヴェラはガルトの視線を感じていたと思う。でも騒がなかった。


 夕飯の後、ガルトが俺を呼んだ。

「ヴェラを連れてきたのか」

「旅の途中で合流しました。助けてもらいました」

「危なくなかったか」

「危なかったです。でもヴェラさんがいたから情報が得られた」

 父が少し黙った。

「……分かった。ヴェラをどう扱うかは、お前が決めていい」

「信頼できる人物だと俺は思っています」

「そうか」


「父さんの手紙を読みました」

「そうか」

「若い頃の話。カイさんを見ていて怖くなったという話」

「……書いた」

「教えてくれてありがとうございます」

「お礼を言うな」

「なぜですか」

「言うべきことを言えずにいて、お前が動いてから初めて言った。それはお礼を言われることではない」


 父が窓の外を見た。夜の港が見えた。

「カイについて、ミラ老師から聞いたか」

「明日、老師からカイの記録を受け取ります」

「そうか」

「父さんはカイさんと面識がありましたか」

「ネベルで少し会った。カイは俺より年上だった。俺がネベルに来たとき、カイはもう何年も「星がおかしい」と言い続けていた。誰も聞かなかった」

「そのカイを見て、父さんは黙った」

「そうだ」

「俺は黙らなかった」

「お前は強い」

「強くはありません。ただ、黙る方が怖かった」


 父が俺を見た。

「……そうか」

 それだけだった。

 でも、その言葉に父の長い沈黙の全部が入っていた気がした。


 記録帳に書いた。

 ファーレンに帰ってきた。旅の収穫は大きかった。各地の証言、百年の記録、星種実験の写し。

 明日、ミラ老師からカイの記録を受け取る。

 帰路の間も観測は続けた。南西の星は、まだある。でも確実に暗くなっている。時間があまり残っていないかもしれない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ