第63話 ガルトの手紙
帰路の中間地点に差し掛かったとき、郵便局で手紙を受け取った。
父からだった。
「レンへ。ベルから旅の様子を聞いている。追われているという話も聞いた。気をつけろ。
一つ伝えたいことがある。ずっと言えなかったことだ。
俺がネベルにいた頃、星がおかしいと感じた。数値では出なかった。でも感覚として、何かが変わっていると分かった。俺はそれを誰かに言おうとした。でも言えなかった。
なぜ言えなかったか。その頃、同じことを言い続けた仲間が一人いた。カイという。ミラ老師の弟子だ。カイは何年も「星がおかしい」と言い続けて、誰にも信じてもらえなかった。それを見ていた。
カイが言っても信じてもらえないなら、俺が言っても同じだと思った。怖かった。それだけだ。
お前が旅をして記録を集めていると聞いて、俺がネベルでしなかったことをしていると思った。お前の記録は正しい。その確信だけは俺にある。
帰ってきたら話す。ガルトより」
読み終わって、しばらく手紙を持ったままだった。
父が書いてきた。手紙を書く人ではないと思っていた。でも書いた。
「どうしたの」
ロットが横から顔を覗かせた。
「父からです」
「ガルト師匠から! なんて書いてある?」
「俺がしていることを認めてくれていました」
「よかったじゃないか!」
よかった。でも、それより——父が怖かったということが書いてあったことの方が、重かった。
クロウが「どういう内容か」と聞いた。
「ガルト師匠が若い頃、星の変化に気づいていた。でも怖くて言えなかった。カイという人物が同じことを言い続けて信じてもらえなかったのを見ていたから」
「カイ……ミラ老師の弟子の」
「知っていますか」
「古い話として聞いたことがある。院に記録が残っているかもしれない。カイという人物が「星が消えている」と主張し続けた記録が」
「あるんですか?」
「確認が必要だが、院の記録には消えない。そういう主張があったという記録は残る」
「クロウさん、帰ったら院でカイの記録を確認してもらえますか」
「できるだけやってみる」
ヴェラが「カイのことは私も少し知っている」と言った。
「ヴェラさんが?」
「私がネベルにいた頃、カイはすでに亡くなっていた。でも、シェードがカイの記録について言及していたことがある。「あれは正しかったかもしれない、だから消した」と」
「シェードがカイの記録を消した?」
「消したか、消そうとしたか。どちらかは分からない。でもシェードはカイを知っていた」
夜の記録帳に書いた。
父の手紙。ガルトが若い頃、星の変化を感じて言えなかった。カイを見ていて怖くなった。
カイの記録がシェードに知られていた可能性。ミラ老師が持っているカイの記録と、院の記録が照合できれば、何かが見えるかもしれない。
補足欄に書いた。
「父が正しいと言ってくれた。それは記録帳に書くことではないかもしれないが、書いておく」




