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星図師は空の欠けを知っている  作者: ごま
第二部:消えた星を追う旅

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第61話 忘却師の全貌

 帰路の途中、ヴェラが再び現れた。

 三人で宿に泊まった翌朝、宿の外でヴェラが待っていた。

「一緒に行く」

「構いません」

 四人になった。ロットが「また増えた!」と言った。クロウが「ヴェラとは知り合いか」と聞いた。俺が「事情がある人です」と言った。


 歩きながら、ヴェラが話した。

 忘却師の組織についての話だった。

「正式な名前はない。「記録整理組織」という名目で動いている。王立星図院とは別の、独立した機関だ」

「院と関係はないんですか」

「表向きは関係ない。でも院の古い人間の一部は知っている。院の都合の悪い記録を処理する役割として、百年以上前から存在している」

「百年以上前というのは、星種実験の頃からですか」

「そう。星種実験の失敗を隠すために作られた、というのが俺の推測だ。証拠はない」


「組織の規模は」

「大きくない。十人から二十人程度だと思う。各地に散らばっている。俺も末端だった」

「シェードはそのトップ」

「名目上のトップだ。でも、シェードの上に誰かいるかどうかは分からない。俺のいた時代は、シェードが全部決めていた」

「シェードの目的は何ですか」

「表向きは「記録の安定化」。都合の悪い記録を消すことで、社会の安定を保つ、という名目」

「消すことが安定をもたらすとは思えません」

「俺もそう思う。だから抜けた」


 クロウが聞いた。

「院との関係について、もっと詳しく聞かせてほしい。俺は院の人間だ。院が絡んでいるなら知らないわけにはいかない」

「院のトップが知っているかどうかは分からない。でも、中間層に一人か二人、組織に協力的な人間がいると思う」

「それは……院内部の問題でもある」

「そう。ただ、全体が関与しているわけではない。大多数の院の人間は普通に仕事をしている」

「俺の同僚たちは関係ない」

「関係ない。ターゲットは記録と、記録を持っている特定の人間だ」


 俺はヴェラを見た。

「ヴェラさんが抜けた後も、組織は記録を消し続けているんですか」

「そうだ。シェードは続けている。最近は少し急いでいる気がする」

「急いでいる理由は」

「……レンが動き始めたからかもしれない。一人の星図師が各地を回って記録を集めているという情報が組織に入っている。シェードはそれを止めようとしている」

「俺が動いたことで、シェードが急いだ」

「そう。逆に言えば、あなたの動きが有効だということだ。シェードが急ぐということは、記録が積み上がることを恐れているということだから」


 ロットが「つまり俺たちが正しいことをしてるってこと?」と言った。

「そうだ」

「じゃあ続けるしかないね!」

 ロットらしかった。複雑な話を単純に正しい方向に切り取る。それがロットの強みだと思った。


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