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星図師は空の欠けを知っている  作者: ごま
第二部:消えた星を追う旅

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第51話 エスタへ

 エスタへの旅は一週間かかった。

 途中でヴェラが別れた。「ここから先は行けない。また会う」と言って、道の分岐点で手を振った。

「なぜ行けないんですか」

「エスタにシェードの人間がいる可能性がある。私が顔を見せると、あなたの存在も知られやすくなる」

「分かりました」

「気をつけなさい。エスタの老記録者はヨランという名前だ。その人に会えれば、きっと記録がある」


 ヴェラと別れた後、俺とロットの二人になった。

 ロットはそれでも元気だった。

「二人旅! いいな!」

「いいんですか」

「俺、基本一人旅だから二人は楽しい。話し相手がいると道が短い」

「そうですか」

「レンは一人旅が好きそうだけど」

「記録の時間が取れる分、一人の方が集中できます。でも——ロットがいると、話せる相手がいる分楽です」

「褒めてる?」

「褒めています」


 エスタへの道は海沿いだった。

 東に進むにつれて海の色が変わった。ファーレン近辺の海は青緑だったが、こちらの海はより深い青だ。

 俺は毎晩観測を続けた。

 南西の星が見えた日は、距離が開いても観測できた。輝度は落ちている。でも、まだ見える。

「まだある」

「何が?」

「あの星です。ファーレンから追いかけている星。まだ消えていない」

「何年くらいで消えると思いますか」

「分かりません。でも、このペースなら数年はあると思います」

「その前に何とかしたいね」

「何とかする方法が分かれば」


 エスタに入ったのは、旅に出て最も遠い地点だった。

 港町で、ファーレンに似た雰囲気があった。でも規模が大きく、船が多い。大陸の東端だから、海の向こうとの交易も盛んなのかもしれない。

 ヴェラが言っていたヨランという老記録者の場所を聞いた。

「ヨランさん? あの爺さんか。港の東の外れに住んでる。変な人だけど悪い人ではない」

「どんな人ですか」

「毎晩空を見ている。何十年も。星のことなら詳しいが、普段は喋らない人だ」


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