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星図師は空の欠けを知っている  作者: ごま
第二部:消えた星を追う旅

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第48話 ヴェラの忠告

 ネベルに来て二週間が経った夜、ヴェラが宿に来た。

 今度は扉をノックして入ってきた。部屋に俺とロットがいた。

「ロット、あなたも来ていたのね」

「ヴェラさん! お久しぶりです」

「旅を続けているのね」

「いろんなとこ行ってきました。情報いっぱい持ってきた」

「聞かせてもらえる?」


 ロットがこれまでと同じように話した。ヴェラは黙って聞いていた。

 聞き終わったヴェラが俺を見た。

「記録帳に全部入っているのね」

「はい」

「写しは取ってある?」

「重要なものは一部写しがあります」

「全部写しを取ったほうがいい。今夜中に」

「なぜですか」

 ヴェラが少し声を落とした。

「シェードがネベルに来ている」


「シェードが来た?」

「今朝ネベルに入った。私が確認した」

「シェードはあなたの元上司だと言っていましたね」

「そう。そして——あなたが封印された部屋の記録を写していることを知っている可能性がある」

「どうして知っているんですか」

「図書館に協力者がいるかもしれない。私も確認できていないが、院の中に情報を流している人間がいると思う」


「記録を奪われるということですか」

「奪うかどうかは分からない。でも動きを制限しようとするかもしれない。ネベルにいる間は動けなくなるかもしれない」

「今夜出た方がいい?」

「今夜か明日の朝のどちらかで出た方がいい。ただし——」

 ヴェラが俺を見た。

「出る前に、ここで記録した全ての写しをイヨに預けていきなさい。あの人は信頼できる。私が保証する」

「記録を分けておく、ということですか」

「そう。全部持って逃げたら、追いかけられて取られたとき全部失う。分けておけば、半分は残る」


 ロットが「逃げるの?」と聞いた。

「逃げないと言いたいが、賢い判断をする必要がある」

「俺も一緒に行く」

「ロットが来てくれると助かりますが、危険かもしれません」

「俺、旅慣れてるから逃げるのは得意! 安心して!」

 ヴェラが少し笑った。

「ロットはいつも元気ね」

「褒めてもらった!」


 その夜、写しを作った。

 ロットが手伝ってくれた。俺が書いて、ロットが乾かして重ねる作業を分担した。明け方近くまでかかった。

 クロウに手紙を書いた。「急遽出発する。理由はシェードの来訪。写しをイヨに預けた。後で確認してほしい」

 ヴェラが「明日の朝、私も一緒に出る。しばらく同行する」と言った。

「ヴェラさんも来るんですか」

「シェードに顔が割れている。私もここにいない方がいい」

「分かりました」


 夜明け前に宿を出た。

 イヨに写しを渡した。イヨは「分かった。預かる」と言った。眠そうな顔をしていたが、文句は言わなかった。

 三人で夜明けの霧の中を歩いた。ロットが「朝の霧、なんか幻想的ですね」と言った。

「今はそういう話をする場面ではないと思います」

「でも美しいことは美しい」

 ヴェラが「そういうところ、好きよ」と言った。

 俺は前を向いた。


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