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星図師は空の欠けを知っている  作者: ごま
第二部:消えた星を追う旅

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第46話 ロットが来た

 ネベルにいる間、ロットが来た。

 宿屋の食堂で朝飯を食べていたら、扉が開いて大きな声が聞こえた。

「レン! いた! やっぱりここにいた!」

 ロットだった。荷物を背負って、汗をかいていた。急いできた様子だった。

「ロットさん、どうやって俺を見つけたんですか」

「ファーレンにいると思って行ったら、もう旅立ってると言われて。どこ行ったか聞いたら東の方だって言って。東って言ったらランドかネベルだと思って、ランドは知り合いに確認したらもう来てないと言われて、じゃあネベルだと思って来た!」

「全部勘ですか」

「七割くらい!」


 ロットが向かいに座った。

「お腹すいた。旅飯ばかりで疲れた。ここ飯おいしい?」

「普通です」

「食べる!」

 ロットが注文した。それから俺を見た。

「変わったな、レン」

「変わりましたか」

「なんか大人っぽくなった。顔つきが変わった」

「一年以上経ちましたから」

「そうだよな。俺も変わった」


「ロットさんは変わりましたか」

「変わったと思う。前は「各地を回れれば楽しい」という感じだったけど、最近は「集めてきた情報を届けないといけない」という気になってきた」

「届ける、というのは俺にですか」

「そう。送った手紙に書いたこと、もっと細かく話せる」

「ありがとうございます」


 食事の後、俺の部屋でロットから話を聞いた。

 ロットは各地を回りながら、星の変化についての証言を集めてきていた。メモがあって、地名と証言者の属性と内容が書いてあった。

「こんなにあるんですか」

「十三ヶ所。全部「空がおかしい」とか「昔より星が少ない」という話だった。中には「記憶がおかしくなった老人がいる」という話も三ヶ所あった」

「三ヶ所で記憶の問題が」

「そう。ランドも含めると四ヶ所になる。でも俺には星図師の目がないから、感覚的な証言しか集められなかった」

「それでも十分です」


 俺はロットのメモと自分の記録帳を照合した。

 地名を地図で確認した。ロットが回った十三ヶ所は、ファーレンから見てほぼ南東方向から北東方向にかけて広がっていた。

「方向の傾向は分かりますか」

「南西が多い気がした。南西を見ている場所で「あの辺が変だ」という声が多かった」

「ファーレンでも南西です。一致します」

「やっぱりそうか! で、俺が来た本当の理由なんだけど」

「あるんですか、本当の理由が」

「フォルムさんに会ったんだよ。ほら、あの行商人。手紙に書いた人」


「フォルムさんに会ったんですか」

「会った! で、詳しく聞いたら——」

 ロットが声を落とした。珍しく。

「フォルムさん、地図を作っている趣味があるって言ったじゃないですか。その地図を見せてもらったんだけど、変化のある地域に印がついていて、その印が特定の方向に多い」

「南西方向に」

「そうなんだけど、さらに——その南西方向に、古い地図によると昔は島があったらしい」

「島?」

「今は地図に載っていない島。フォルムさんが古い地図を何枚か集めていて、三百年前の地図にはある島が、二百年前の地図から消えている」


「それは……島が消えたということですか」

「フォルムさんもそう思っていた。島自体は残っているかもしれないけど、地図から消えた。記録から消えた」

 俺は記録帳に書いた。

 南西方向に、記録から消えた島がある可能性。三百年前には存在し、二百年前に地図から削除された。星種実験の行われた時期と一致する。

「ロットさん、フォルムさんのその地図を見せてもらえましたか」

「見た。写せるか聞いたら「全部写すのは時間がかかるから、重要な部分だけ写せ」と言われて写してきた」

「見せてください」

 ロットが荷物から紙を取り出した。古い地図の写しだった。南西方向に、小さな島が描いてあった。


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