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星図師は空の欠けを知っている  作者: ごま
第二部:消えた星を追う旅

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第43話 封印された部屋

 図書館の地下の部屋を、今度はもう少し詳しく調べた。

 イヨが「今日は時間を取る」と言ってくれた。俺とクロウが一緒に入った。クロウは院の記録と照合するために来ていた。

「この部屋、院の人間は知っているんですか」

「院長は知っている。でも積極的に調べる人間はいない。見て見ぬふりをしているのかもしれない」


 棚を整理しながら確認した。

 星種実験の記録は、第一次から第十二次まで分かれていた。実験ごとに帳面が分けられていて、各帳面に実験の詳細が書かれていた。

 第一次と第二次は比較的うまくいった記録だった。植種した星が定着して、今も観測できる星がある。

 第五次以降は失敗が増えていた。消失の記録が増える。

 第十二次は最後の実験で、帳面が半分以上空白だった。

「第十二次が最後ですか」

「この部屋にある記録の最後はそうだ。でも——」

 イヨが少し止まった。

「第十三次があったという話がある。記録がない。やったかどうかも不明だ」


 クロウが「聞いたことがある」と言った。

「第十三次の噂か」

「院の古い人間がたまに言うことがある。「あれは禁忌だった」と。詳しくは聞いていない」

「禁忌というのは」

「うまくいかなかったのか、あるいはやってはいけないことをやってしまったのか。いずれにしても、公式記録に残っていない」


 第十二次の帳面の最後のページを見た。

 途中で文字が止まっていた。文の途中で止まっているページがあった。書いている途中で何かが起きたような止まり方だった。

「最後の記録者は誰ですか」

「表紙に名前がある。「セタ」という人物だが、院の名簿には記録がない」

「記録がない」

「存在が消えている。死んだか、名前が変わったか、あるいは——記録が消された可能性もある」


 俺は写しを取り続けた。

 帳面の重要な部分、特に消失の記録と、地域への影響の記録。

 三時間ほど写し続けたとき、イヨが「今日はここまでにしよう」と言った。

「まだ見ていないものがあります」

「分かっている。だが、ここにいる時間が長すぎると目立つ。外部の人間がここに通っていることを、院が知ったら面倒になる可能性がある」

「分かりました」


 外に出た。霧が続いていた。

 クロウが「君は院に睨まれる可能性がある」と言った。

「それは以前から」

「前より具体的な危険がある。封印された部屋の記録を写したということは、院が隠していた事実に触れたということだ」

「院が俺を止めようとしますか」

「強硬手段は取らないと思う。でも動きを制限しようとするかもしれない」

「動きを制限されないうちに、もっと記録を写す必要があります」

「そのつもりで来ている。明日もここに来よう」


 宿に戻って記録帳を整理した。

 今日写した内容の要点。星種実験の失敗記録。第十二次の途中で止まった記録。第十三次の噂。「セタ」という消えた記録者。

 補足欄に書いた。

 「記録が消されることがある。俺の記録が消されないようにするためには、複数の場所に残す必要があるかもしれない」


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