第99話 アリシア、黄金祭壇役物の信頼度を改善する
≪貴族の方々には、その地位と特権、そして私財をすべて中央政府に譲渡していただく代わりに、3つの選択肢をご用意しています≫
ふむふむ。
何代にも渡って守ってきた地位や財産を取り上げるんだもんね。それ相応の対価が支払われないと納得もできないというものでしょう。
財産を取り上げるんだから、代わりに与えるのはお金ではない何かなんだよね?
≪まず1つ目の選択肢として、『野に下る』というものを提示いたします≫
『野に下る』って何?
屋敷を追い出して路頭に迷わせるってこと?
≪屋敷を出るところまでは合っていますが、その後が違います。貴族の身分を捨て、一般の住人たちと同じように自治州内で生活をするという選択肢です≫
貴族からただの平民に?
そんなの選ぶ人いるのかな。
≪事前の調査によると、半数がこの選択肢を選ぶだろうという予測が立っています≫
マジぃ?
不自由な生活をわざわざ望むの? 酔狂? 金持ちの考えることはわからないな……。
≪自由に生きるアリシアにはわかりづらいかもしれませんね。貴族というのは案外窮屈なものなのです。何事も思い通りにはいかず、自由に恋愛することすら許されない。そういったものなのですよ≫
平民から搾取して、女を侍らせてお酒飲んで、いやらしく笑っているだけかと思ったー。
≪それはアリシアがいつもやっていることです≫
さすがにそんなことはしてないっ!
≪お酒は飲んでいませんね。そこは100%果汁のジュースか炭酸飲料でした≫
訂正するのはそこだけ⁉
≪他はいつもやっている自覚があるのではないでしょうか≫
搾取……してない……よ?
≪ソフィーオーナーの料理店『龍神の館』の従業員を中心に『アリシア被害者の会』が発足していますが、あれは身に覚えのない冤罪ですか?≫
う……。あそこは……。
若気の至り?
≪私の調査によると、従業員の天使ちゃんさんたちの大半、そしてお客さんの一部が、アリシアの詐欺まがいの行為により、現在もお金を巻き上げられ続けているようでしたが≫
そ、それは……ちょっとガチャガチャの機械を設置しただけじゃん……。
半永久的にチャリンチャリンする仕組みを創っただけじゃん……。
≪最新機種では、何回かガチャガチャを回していると『激熱・アリシアゾーン』というものに突入し、通常時には1等の確率が1%のところ、そのゾーン中には25%に跳ね上がるとか。『激熱・アリシアゾーン』は1分間という時限式になっていてすぐに終わってしまうので、ゾーン発生から1分以内に急いでガチャガチャを回し続けて当たりを狙う仕組みになっていますね?≫
当たりやすいゾーンがあったほうが盛り上がるでしょ?
みんなにもちゃんと還元してあげようと思ってさー。
≪ですが、『激熱・アリシアゾーン』中に発生する激熱演出が長すぎるという苦情が殺到しています。当たりそうで当たらなそうな演出として約30秒の映像が流れるため、『激熱・アリシアゾーン』での実質的なガチャガチャ試行回数は2~3回にとどまってしまうとか≫
演出があったほうがワクワクするでしょ?
役物もガションガション動くよ?
ミィちゃんの黄金祭壇役物が完成したらいよいよ当たりはあなたの目の前だ、ってね♪
≪役物完成の信頼度は?≫
45%……。
≪お話になりませんね。私のほうで80%オーバーに設定変更しておきます≫
ああっ! それだとみんな当たっちゃう!
ガチャガチャ赤字になっちゃう!
≪唸るほど稼いでいるのですから、従業員にも多少還元したらどうですか?≫
えー。
当たっても当たらなくても文句言うなら、そんなに還元する必要なくない?
≪そのほうがアリシアの株が上がりますよ。かわいい子を紹介してもらえるかもしれません。天使ちゃんさんたちはおモテになりますからね≫
まあ……ソフィーさんが選んできた子たちだから、顔は良いもんね……。
んー、わかったよ。
ちょっと確率を緩和するくらいなら許可します……。
≪これでアリシアの評判も一気に上がることでしょう。女を侍らせ放題、いやらしく笑い放題です≫
それ、逆に評判悪くなるでしょ……。
わたし、そんなことしてないからね?
≪アリシアはいつも私、エヴァシリーズやナタヌさんやラダリィさんを侍らせて酒池肉林を楽しんでいる、と方々で触れ回っていますから、すでに皆さんが知っていることです≫
噂の出所はエヴァちゃんじゃん。
わたしの評判下げないでよね。
≪ですが、アリシアの子を産むのは私です≫
はいはいわかったわかった。
ミィちゃんの許可を取って早く人間になってくださいよ。
まったく……。
≪ミィシェリア様には、今日も陳情書を提出しておきました。早く返事がきますように≫
わりとガチで「人間になりたい」活動をしていたのね……。
ホントに認められちゃったらどうしようかな……。
≪それでは2つ目の選択肢ですが――≫
そうだった。
また脱線していたけれど、貴族に提示する選択肢の内容を聞いている最中だったんだわ。




