第98話 アリシア、名付け親に指名される
≪各自治州に派遣される代官はすべて私です≫
……はぁ?
どういうこと?
≪王家、改め、中央政府からの指示を実行する代官は、すべて私です。すべてをエヴァシリーズが担当します≫
まったくもう……。
だからそんなに自信満々だったのね……。
≪安心安全、絶対に裏切ることのない存在。それが私、エヴァシリーズなのです。えっへん!≫
それを自分で言っていたら世話ないんだけど……。まあ、事実そうだから何とも言えない……。
≪中央政府でアリシアからの指示を全代官に伝えるのも私。それを受け取るのも私。あとはかわいい住民たちを手の平の上で転がしながら、永続するしあわせを与え続けるのもすべて私が担当します≫
ううーん。
全国民を騙しているような気がするなー。
≪永続的に楽しく、そしてしあわせであればその裏側など些末な問題ではないでしょうか≫
それは、極論を言っちゃえばそうなのかもしれないけどさー。
緊急動議で住民投票が起こったとしても、任期が満了したとしても、次に派遣されてくるのはずっとエヴァちゃんが扮する代官なんだよね……。
≪いろいろな顔のエヴァシリーズを用意します。かわいい私、かっこいい私、キリっとした私、おっとりした私、暴君な私、いろいろな代官がやってくれば住民たちも楽しいでしょう≫
そういう楽しさを提供する必要はあるのかな?
あと最後の「暴君な私」はすぐ住民投票になりそうだからやめてね。
≪とても重要なことを言い忘れていました≫
えっ、何⁉
このタイミングで重要なこと……ちょっと怖いな。
≪代官として派遣される私は、もれなく巨乳です≫
……そうですか。
それってわざわざ付け加えるほど重要な情報だった……?
≪アリシア以外には触らせませんからご安心ください≫
まったくその心配はしていないんだけど。
≪代官として派遣する私は、見た目の違いだけでなく、設定年齢にもばらつきを持たせることで、同一人物には見えないように配慮をしておきます≫
まあ、そこがバレたらただ事じゃすまないだろうからね。男性の代官はいらないの? 巨乳の女性ばっかりだと怪しまれないかな?
≪検討課題ですね。ナタヌさんにも意見を求めてみましょう≫
いや、それは別の人の意見のほうが偏らなくて良いかな……。
≪それはそれとして、代官ネームの命名はアリシアの役目です。それぞれの代官に素敵な名前を付けてください。そうすることで、代官に任命された私は『ネームドエヴァシリーズ』にジョブチェンジすることができますので、一段上の仕事が可能になることでしょう≫
代官ネームって何……。
ネームドなんとかって、どっかで聞いたことがあるようなないような……。もうツッコミどころが満載過ぎるし、一旦全部スルーしとこ。
≪中央政府の顔はドリーちゃんです。秘書は私が担当します。秘書ネームの命名は、アリシアの役目です≫
わたし、もしかしてエヴァちゃんに名前を付けるだけしか仕事ってないの?
≪ドリーちゃんへの指示出しはすべてアリシアの役目ですよ。影王はアリシアですから≫
影王の設定って、ホントに採用されるのね……。
あ、復興支援はどうなるの⁉
『アンタロスフィア』とか、南部の周辺地域はまだまったく手つかずで放置されちゃっているんだけど、どうにかしないといけないよね。
≪それはドリーちゃんの仕事でしょう。もちろん、私やアリシア、ラダリィさんやナタヌさんも一緒に。当初の計画通りです≫
それはそれ、これはこれってこと?
でも中央政府が立ち上がったばかりの時期に復興支援も同時にやるなんて……って思ったけれど、エヴァちゃんがいると可能になっちゃうか……。
≪ドリーちゃんが現地に赴いている間も、ドリーちゃんの秘書としての私が機能していれば何の問題もないのです。えっへん≫
エヴァちゃんがいればすべて解決?
ホントにそれで良いんだっけ……?
≪私はアリシアの思うがまま。アリシアのしあわせのために存在しています。アリシアがこの世界に住むすべての人々のしあわせを願うのなら、私はそれを実現するだけです≫
それはまあ、うっすらとは……。
それを強く望んでいるのはスレッドリーだからね。
≪ドリーちゃんの願いを叶えたいと思うアリシアの願いを叶えるのは私です。つまり、『お前を信じる俺を信じろ』ということですね≫
なんかたぶん、ぜんぜん違う気がする……。
あ、武装解除の話は?
その新法が事の発端だよね?
≪中央政府から権限を委譲された形で各自治州が武装の権限を持つことになります。そうなれば冒険者の登用や私軍の再編成を行うことができますね。国民からすればこれまでと同じ状態を維持できることになります≫
国民からすれば?
実際は違うってこと?
≪貴族たちが中抜きし、私腹を肥やしていた分を賃金として還元することができるため、実際には各自治州、そして国全体で満足度が上がり、経済状態も改善することが予想されます≫
ふーむ。
何か良さそうだけど……あ、貴族たちは⁉
貴族たちは特権も私財も取り上げられて、まったくしあわせじゃなくなるのでは⁉
≪はい、それについては3つの選択肢を用意しています。各貴族、並びにその家族には、提示した選択肢から進む道を選んでいただくことになります≫
なるほど。
それで、その選択肢ってどんなものがあるの?




