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第95話 アリシア、現実を目の当たりにする

≪これで52人目です≫


 現在エヴァちゃんが捕まえた、スミナルド陛下の暗殺計画にかかわっている疑いのある者たちの人数。


「ちょっと多すぎない?」


 普通に街中を歩いているだけでこんなに釣れるものなの?


≪想定の範囲内です≫


 わたしは、もっと少ないと思っていたけどねー。

 疑わしきはひっ捕らえろってことで、とりえず怪しげな人は片っ端から捕まえて特別反省室送りにしている感じ? でも冤罪だったら「ごめんね」って謝ってから記憶を消して元の場所に戻せばいい。なーんて雑な作戦だけど、今のところエヴァちゃんが捕まえた人は100%有罪なんだってさ。ホントに?

 

「エヴァちゃんはどうやって怪しい人を見つけているの? わたしにはエヴァちゃんが捕まえた人のうち半分くらいしか怪しさを感じなかったよ?」


≪挙動や心拍数などの外的な違和感だけでなく、ステファンさんの能力をお借りして感情の色も併せてチェックしています≫


「あー、そういうこと!」


 ステファンの謎のスキル外スキル。

 自分自身に向けられた感情を可視光線のような色で見分けることができる能力。

 怖がりなステファンだから発現した能力なのか、それともほかのホワイトラビット族も当たり前に持っている能力なのかはわからないけれどね。自分に対して悪意を持っている相手が最も長い波長の『赤』で、逆に好意を持っている相手は最も短い波長の『紫』で見えるらしい。

 人族の目のつくりだと、うまくその光を捉えることができないらしいので、わたしは使ったことがない。エヴァちゃんが習得したスキル(スキル外スキルをどうにかしてスキル化して習得したらしい?)は、わたしも同じように使えるようにはなるんだけど……このスキルを使うには、目を改造しないといけないらしくて……今のところはやめておこうかなって。


≪ただ、少し問題がありまして……≫


 エヴァちゃんが若干言いにくそうにモジモジする。


「何? 怒らないから言ってみて」


 どうせ何か言えないような悪さをしているんでしょ?


≪いいえ……そうではなく……。頭を下げる民たちから発せられる色は、ほとんど『赤』なのです≫


 そういうことなのね……。


 王都に住む平民たちの多くは、すでに西部地域への疎開を始めている。

 その原因は「スミナルド陛下にある」と考えている人が多いということなのでしょうね。暗殺計画を立てた側ではなく……。


「それが民衆の答えかー」


 スミナルド陛下が考えていらっしゃった世の中の流れよりも、かなり展開が早いかもね。


「もうさ、すでに『打倒君主制』の流れが大きくなっていて、簡単には止められないかもしれない……」


 こんなに苦しい思いをしているのは、スミナルド陛下のせいだ。

 スミナルド陛下は自分たちを苦しめる法律を作った。

 スミナルド陛下は悲鳴を上げている国民の声を聴いてくださらない。

 勇気ある貴族たちが声を上げて立ち上がったらしい。

 もしかしたらこの国は変われるかもしれない。

 でもそのせいで、もう少ししたらこの地は戦場になるかもしれない。

 悪いのはスミナルド陛下だ。

 スミナルド陛下がいなくなれば、戦いは起きないし、王都から逃げる必要なんてないんだ。


「スレッドリー……」


 ねぇ、この状況をどう思う?

 もうこの王国は、ホントにダメかもしれないよ……。


 スレッドリーが突然フードを脱いで民衆の前に素顔を晒した。


「なあみんな、聴いてくれ! 兄上は民のことを考え――」


「スレッドリー! 今はっ!」


 暴走しかけたスレッドリーに、後ろから抱き着いて止める。


「今はまだ……。堪えて……」


 今スレッドリーがスミナルド陛下の肩を持ってしまうと、すべてがうまくいかなくなってしまう気がするから……。


「エヴァちゃん、お願い」


 みんなざわついちゃっている。

 スミナルド陛下とスレッドリーが一緒にいる。

 それがみんなの中で何を意味するのか――。


≪Yes, My Lady. 周囲にいる者たちの記憶を消去しました。ドリーちゃんには睡眠ポーションを強制投与しました≫


 ありがとう。

 スレッドリーはここにはいなかった。

 そういうことにしよう。


「あとはエヴァちゃんだけでお願いできる?」


≪Yes, My Lady. 引き続き、暗殺計画関係者の収容を続けます≫


 ありがとう。

 じゃあわたしはスレッドリーを連れてどこかへ……。

 一旦落ち着かせなきゃ。


≪特別反省室の別室をお使いになれますか?≫


 別室?


≪柔らかで耐久性の高いベッドをご用意しています。室内には最初は落ち着かせるポーションが、次第に気分が高揚するポーションへと変化するように空調を設定しておきましたので、段々と盛り上がってしまったとしても、それはすべてポーションのせい。気の迷いということで片づけられるのではないでしょうか≫


 そんなものを用意して、わたしに何をさせようとしているのよ……。


≪ドリーちゃんとお休みになるのでは?≫


 スレッドリー「を」休ませるの!

 

 冷静さを取り戻してもらわないと困るんだから。

 スレッドリーがどう動くかによって、この国の未来が変わってきちゃう。

 今はそういう状況なのよ?


≪いいえ≫


 いやいや、そういう状況でしょ。

 もはやキーマンはスレッドリーでしょ。


≪違います。この国の未来を決める鍵を握っているのはアリシアです≫


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