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第67話 アリシア、新法について考える

「『スミナルド陛下暗殺計画』かあ。知っちゃったからには、さすがに阻止しないとまずいよね……」


 暗殺集団≪シガーソケット≫単独の計画ではないし、貴族たちの中に計画への賛同者がたくさんいるみたいだし。すでに単なる暗殺計画の域を超えた規模になっているとみるべきかな……。これは放っておいたら暗殺が成功してしまう可能性って、けっこう高いんじゃないかって思えてくるよ……。


「それに……ターゲットがスレッドリーのお兄さんだし」


 スレッドリーの表情を盗み見る。

 最初この話を聞いた時のスレッドリーの感情は怒りだった。次に困惑、そして今の表情は――。


 覚悟。


 1人でも行くぞ。

 今のスレッドリーの心の中はそんな感じかな。


「スレッドリー、一旦落ち着いてよ? 絶対一緒に行くから、1人で先走らないでよね」


 念を押しておきます。

 こういうことは性急に動いても良いことはないから。


「あ、ああ……」


 うわー、絶対納得いっていませんって表情だわ。

 こいつ……まさか夜中に1人で抜け出して何かやらかす気じゃないよね?


「閣下。アリシアの言う通りでございます。閣下が1人でできることなど限られているのです。ここはしっかりと作戦を立て、皆に協力を仰がなければいけません」


「ああ……わかっているっ!」


 おーおードリーちゃん、苛立ってるなー。

 ぜんぜんわかっていない時の「わかっている」だよ、それ。

 それとラダリィさんさ……時々言い方がね? あんまりやさしくない時があるよね。気持ちが入り過ぎちゃうとそうなるのかな? スレッドリーのプライドとか、そういうのもあるからね?


 なんて冷静に分析をしている場合じゃなかった。


「今回の問題ってさ、時間が経てば経つほど手がつけられない問題になりそうだよね……」


 時間が解決しそうにないパターンだと思うんだ。


「暗殺計画が立ち上がった理由が理由だけに、おそらくこれからも水面下で賛同者が増えていくんじゃないかな?」


 じわじわと政府に対する不満が島全体に浸透していく、みたいな。


「なぜ貴族のみなさん軍を持ちたがるんですね? 平和ならいらないじゃないですか?」


 ナタヌが呟く。

 まあ、真っ当な疑問だよね。


「そうかもしれないなーとは思いつつも、やっぱりそれなりに武力が必要な場面はあるんじゃないかな? 結局なんだかんだあって、各貴族のところの私兵たちの大部分は正規軍に編入されるとかなんじゃないの? 貴族に権限を持たせたくないだけだろうから、実際は王立正規軍が派遣されている形を取りましたよってことにしたいだけだと思うけど?」


≪残念ながらそうはならないようです。正規軍の採用枠拡大の予定はなく、各地域への正規軍派遣の計画は一切なし。あくまで各種団体からの申請ベースで動く計画になっているとのことでした≫


 マジで……。

 予想が完全に外れたわ。

 

「んー、そうすると政府の思惑的には、平和だから軍縮するってことなのかな?」


「そんな机上の空論がうまくいくわけないんですよっ!」


 えっ、急に誰? って、ステファンじゃん!


 わたしたちの背後に立っていたのはホワイトラビット族のステファンだ。今まさにジェットスキーの客車のタラップから降りようとしているところだった。


「ステファン、おはよう。いつの間に起きたの? なんだかずいぶん珍しい時間に起きたね?」


 睡眠ポーションが切れちゃったのかな?

 もしかして、わたしたちが騒いだから?


≪いいえ、この話題はステファンさんにも関係あるだろうと思い、強制的に起床させました≫


 あ、そうなんだ?

 関係あるかな? まあ、関係あるかー。ステファンは、ガーランド伯爵の私設軍隊の所属ってことになるもんね。今回の新法で解雇される側かー。


「みなさん聞いてください! たとえ世の中が平和でも、私たちを必要とする仕事は非常に多いのです! それなのに、国中の貴族領が新法に従って軍を解体した場合、軍人たちが一斉に職を失うことになります」


「それだと、失業者がいっぱいになっちゃいますね! 私たちも武器を持っていたら処罰されるんでしょうか⁉」


 そうね、すごくヤバいかも……。

 わたしは冒険者として、『王立ギルド・ガーランド伯支部』に登録しているから、『ガーランド』周辺でなら仕事はあるだろうけど、ほかのみんなは私的な武力行使になっちゃいそう。


「私のような者が増えるのではないでしょうか」


 と、ラダリィ。


「表向きはエロかわいいメイドさん。ホントの姿は主を守る武装メイドさん! やっぱりラダリィは時代の最先端を行っているね!」


「表向きの仕事とは別に、密命を帯びる形での武力行使も禁止されるとなると、どうやって主を守ったら良いのでしょうか」


 はい無視ー。

 ちょっと重くなってきた空気を変えようとしたわたしの努力は無視ー。

 とっても悲しい!


 はっ! 待って⁉

 もしかして、私的な戦闘を禁止する法律なんだから、ラダリィが武器を持って戦うのも法律違反なんじゃ⁉ 

 つまり今ならラダリィにエッチないたずらをし放題ってことだ!


 そっとスカートをめくって♡


 痛いっ!

 ナイフの柄で殴られた!


 おかしいぞー! 新法発令されているんだから武装解除しろよー!


 痛いっ!

 なんで2回殴ったの⁉


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