試練の結末
※さらに文章が荒れています。申し訳ございません。
短いです。
風精霊さんは意外と抜けていたりするところがあります。
「はぁ!」
『ぬぅ!?』
白い閃光が霊峰頂上の広い空間を染めあげる。
その瞬間、強烈な光に戸惑いを覚えたのか風に乱れが生じ、椛はその隙を見逃さずに記憶にある精霊の位置へと一直線に駆ける。
第一陣に投げ飛ばしたのはナイフ。風がほとんど役目を果たさないことからナイフは寸分違わず精霊の身体へと吸い込まれる。
『っ! させぬわ!』
しかし、どう感知したのか精霊は白い光の中で確かに飛来するナイフに気づき、弾き落とす。
そのこともある程度予測して動いていた椛はナイフを投げた位置からずれていると、ナイフを投げた直線状から一際強い風が通り抜け髪を僅かに引っ張られる。
恐らく、風精霊は空気の塊を生み出し、それを放つことでナイフを弾いたのだろう。もし椛が当たっていたら、ただでは済まない。
しかし、現実椛はナイフを囮にすることでさらに走る速度を増し、目前に精霊がいるであろう場所へ。
そしてそこに、狙いすましたかのように強烈な光は消え、瞳を開いた椛の視界にその目標が映り込む。
その顔は、驚愕に満ちていた。
なぜ、視界の利かないあの光の中で正確に自分の場所を探り当てたのか、と。
椛は、勝ちを確信して振りかぶっていた右の拳を前へと突き出す。
『ぬわぁ!?』
だが、そこに精霊が反射的なのかというより反射という概念があるのか、左の掌を椛の顔前へ。
それは最早奇跡の類。はっきりと言って運が良かったと言える。何か嫌な予感のした椛は瞬時に振りかぶった力を殴るのではなく前へと跳ぶための力へと変換。精霊とすれ違う形になりバランスを崩しながらも精霊の背後へと回る。
そしてそれと同時に、椛は嫌な予感に納得を得る。
爆風が、精霊の掌から飛び出した。
鉄砲の水の風仕様と表現するのがいいだろう。その爆風は精霊の前面にある巨大な岩の中心を粉々にし、綺麗な円形の穴を作り上げた。椛の背筋がそれを見て凍った。
「て、そうじゃない。そりゃ!」
『ふにゃ!?』
先ほどの光景に目を奪われていてはいけないことを思い出し、即座に立ち上がると、椛は精霊の後頭部へとチョップを喰らわせた。精霊は、その突然の攻撃に、なんとも情けないというか、かわいらしい声をあげる。
「これで、私の勝ちよね?」
そして、これが試練の終了の合図でもある。
精霊に一撃を与えること。それが、この試練を突破する方法だから。
ここに、ビスタート主催による、椛の精霊による私怨の試練が終わりを告げた。
わかりにくい表現、誤字脱字などございましたらご報告くださると嬉いです。




