死者奏者②
「降りるぞ、夕日」
「うん」
ペルセフォネの言葉。
夕日はそれに頷き、黒に染まった下へと滑空するペルセフォネの後を追う。
そして。
「エレナちゃん。復活したんだね」
「あぁ、間違いない」
「やったー。これで、二人目の魔王少女だね」
笑う夕日。
その夕日に視線を向け、ペルセフォネは声を発する。
「如月 夕日」
「なーに?」
「おまえはこの世界をどうしたい?」
「根絶やし」
ペルセフォネの問い。
それに夕日は間髪入れず答えた。無機質で冷徹に。それ以外の感情などない。そう言わんばかりに。
「人類ぜんぶ根絶やし。それ以外にない」
「そうか」
夕日の言葉。それにペルセフォネは頷き、前に向き直る。そしてそのペルセフォネの表情もまた、夕日と同じように無機質で冷酷だった。
〜〜〜
黒の廃墟と化し、瓦礫の山となった場所。
そこに降り立つ、夕日とペルセフォネ。
充満した死の臭い。
吹き抜ける、死に彩られた風。
そしてそれに混じり、
「あっ、ペルセフォネちゃん」
響く、嬉しそうな少女の声。
その声に二人は振り返る。
果たして、その二人の視線の先に立っていたのはーー
「ペルセフォネちゃんのおかげかな? こうやってまた、わたしがこの世界に立つことができたのって」
漆黒のドレスに身を包んだ、少女。
死者奏者。その者だった。
そしてそのエレナの周りには、立っている。
エレナにより操られた無数の死体。それがまるで、エレナを主として敬う従者のように。
そんなエレナに、ペルセフォネは答える。
「わたしのおかげ。それは、半分あたりで半分誤りといったところか」
「しかし、エレナ。また会うことができるとはな」
柔らかな声音。
エレナも答える。
くすりと笑いながら、
「それ、わたしのセリフだよ。わたしもペルセフォネちゃんにまた会えるなんて思ってもみなかったもん」
微かに頬を赤らめる、エレナ。
そして、夕日に向けられる好奇の眼差し。
「貴女はダレ?」
「ペルセフォネちゃんの横に立っているってことは、味方ってことでいいのかな?」
「うん。味方」
エレナの問い。
夕日はそれに、笑顔で答えた。
夕日の健気な姿。
健気で、それでいて隠し切れぬ闇を纏った邪悪さ。
「うん、うん。いいわ、その闇。すごくいい」
夕日を気にいる、エレナ。
「貴女とは仲良くやれそう」
「ありがとう」
「お名前はなんて言うのかな?」
「如月 夕日」
途端。
エレナの表情が固まる。
笑顔のまま。まるで、蛇に睨まれた蛙のように。
如月 夕日。
抵抗する間もなく、葬られた。
その時の記憶が蘇ってしまう。
「き、如月 夕日」
「うん。如月 夕日」
「どどど。どうして、貴女が。や、闇を纏ってそこに立っているの?」
「うーん……それはね」
微笑み、夕日は声を発した。
「夕日は人類に復讐を誓ったから」
「だから、闇を纏っているんだ」
響いた声。
それに、「そうなんだ。よかったぁ。あ、貴女が味方で居てくれて」と、エレナは小さく拍手を送ったのであった。




