VS現代兵器③
「……っ」
発射した、ミサイル。
それが次々と墜落し、自分たちの守るべき存在へと降り注ぐ。
その地獄のような光景。
それを戦闘機のパイロットたちは震えながら見つめていた。
そして更に。
その残った戦闘機の後ろには、闇に染まったF-15J型戦闘機がぴったりと追従し"撃墜"の意思を鮮明にしている。
それはまるで、ドッグファイトにおける有利ポジションを得ることができた"敵機"のよう。
あり得ない。
いや、あり得てはならない。
目の前で見せられた、如月 夕日という名の絶望。
沸き上がる現実逃避。
それに身を委ね、残った戦闘機は撤退を企てた。
僅か数分の出来事。
それを思いだしながら。
"「またあの化け物が出た?」"
"「あぁ、そうだ。しかも今回は二匹」"
"「性懲りもなく。また俺たちに返り討ちにされたいらしいな」"
そう言って、笑っていた仲間たち。
だが、その仲間たちはもう居ない。
なぜならーー
"「こんな乗り物。夕日も欲しいな」"
そんな言葉がパイロットたちの頭の中に響いた瞬間。
闇に染まった少女。
その"如月 夕日"が戦闘機の機首へと跨がり、パイロットへと微笑んだ。
操縦席を覆うのは"キャノピー"と呼ばれる透明のフィルター。
それは前面が風防。後部が開閉式でできている戦闘機特有の強力な構造。
軽量且つ高強度の樹脂であり、光学特性にも優れているたアクリル樹脂。加えて、優れた耐衝撃強度と耐熱性を備えた材料であり単独あるいはアクリル樹脂と積層して使用するポリカーボネート樹脂。
それを、夕日はデコピンで粉砕。
"「~~♪」"
鼻唄まじりに。人類の脆弱さを嘲笑うかのように。
射出座席。それを利用し、コックピットから脱出しようとしたパイロット。
その胸ぐら。
それを夕日は、常軌を逸した力で掴み留め、「しね」と憎悪を表明。
瞬間に途絶える、命。
その死体をコックピットから引き上げ、夕日は淡々と下界へと放り投げた。
そしてその操縦主を無くした戦闘機を闇に染めあげ、己の玩具と為した如月 夕日。
響く幼い嗤い。
風に流され真横を通過した仲間の死体。
その一部始終。
それを振り払うかのようにーー
「……」
だが、その忌避を遮ったのはペルセフォネ。
数機の戦闘機。
その進行方向にその身を留め、ペルセフォネは闇に染まった刃先で"神秘をもたぬ人類の玩具"を指し示す。
表明されるは、闇の意思。
「自らの手で人類に絶望を」
操縦主の身体。
それが己の意思とは無関係に、闇に操られる。
「な……っに」
「か、身体が勝手に」
闇に操られ、意思を保ったまま下界の"守るべき存在"に対し攻撃を加えていくF-15型戦闘機。
その光景は絶望以外のなにものでもない。




