VS現代兵器①
小雨になった空模様。
それを見上げ、夕日は声を響かせる。
「うーん。みんなお外に出なくなっちゃった」
「出ないのなら。こうするまでだ」
夕日の困り顔。それにペルセフォネは応えた。
人々が逃げ隠れた建物。
それに向け、剣を振りながら。
吹き抜ける闇の突風。
それは雨を巻き込み暴風となり、視界にうつる窓という窓を全て跡形もなく破壊していく。
それに夕日は、「すごーい」と声をあげ、祝砲とばかりに魔弾を撃ち放つ。
濡れた髪の毛。そこから滴を滴らせながら。
途端に響く、悲鳴。
そして、窓から吹き込む風雨に晒され次々と消されていく人々の命の灯火。
「この街の人間は後、どれくらい居るのかな?」
「3分の1は消えた」
「まだ3分の1なんだ……ところで、ペルちゃん。生きてる人の数がわかるの?」
「……」
無言で頷き、再び剣を振り払うペルセフォネ。
夕日はそのペルセフォネに微笑み、自身もまた"人間の殺戮"を再開する。
その胸の内。
そこでーー
"この街が終わったらこのお国のてっぺんだね。うーん……なんていったけ? 夕日、社会の授業でそうりだいじんって習ったおぼえがある"
そう呟き、如月 夕日は"そうりだいじん"へと純粋な敵意を向けた。
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「自衛隊の派遣しかあるまい」
無人ドローンを介し、巨大なモニターに映された蹂躙の光景。
それを見つめ、国のトップは重々しく口を開いた。
それに周囲の者たちは頷くことしかできない。
権力者数名の死。
そして、"如月 夕日"と"化け物"の出現。
その現実。
そこにはもはや、躊躇する暇などなかった。
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都心上空、そこで複数のF-15型戦闘機が"2つの未確認飛行物体"を追跡していた。
最新式のレーダーにうつる、赤く点滅する点。
それをゴーグル越しで見据えながら、搭乗員はくぐもった声を発する。
「目標物体は陸上自衛隊東部方面隊と交戦後。都心上空に飛来――不規則な動きを繰り返しながら、飛行を続行しております」
酸素マスクからもれる搭乗員の息遣い、そこからは"初めて"の実戦による緊張感が読み取れる。
操縦桿を握る黒革の手袋の内側。
そこは汗でぐっしょりと湿り、隊員の胸のうちで脈打つ鼓動もその間隔を狭めはや打っていた。
"作戦本部より指令、引き続き追跡を続行せよ゛
無線からもれる、特別国土防衛対策作戦本部の指令。
追跡の続行――。
その指令に、搭乗員はいささか疑問を抱く。
東部方面隊が敷いた官邸への防衛ライン。それを数時間と経たず最終防衛ラインにまで後退させた存在。
その明らかに我が国の脅威に成り得る存在に対し、どうしてそのような生ぬるい措置しかとらないのか。
「リーダー機より各搭乗員に告ぐ。対象に対する威嚇射撃及び戦闘に値する行動は作戦本部により許可が下るまで禁じる」
国を守る為の自衛隊、それが全く機能してないではないか。
歯がゆい思いはする。
だが、自分たちのような現場で任務に従事する者たちは、政府、防衛大臣・内閣総理大臣が指揮を奮う作戦本部の命令とならば従うしか選択肢がない。
レーダーで点滅を繰り返す赤い光点、それはまるで自分たち航空自衛隊を嘲笑うかのように不可解な動きを繰り返している。
なにをするでもなく、都心上空を円を描くように飛行する未確認飛行物体。
その未確認飛行物体の後を、距離を置いて追跡する複数のF-15型戦闘機。
灰色の機体の表面に風が走り、パイロット席を覆う透明なフィルターが太陽の光を反射してまばゆく輝く。
作戦本部より"攻撃"の許可が下れば、すぐにでも。
右翼の付根前縁にある装弾数940発のM61A1機関砲――「バルカン」、胴体下面4か所のランチャーに装着された計4発のAIM-7――「スパロー」の発射スイッチを押すことができる。
たが、迎撃命令が出ない限り、対象に攻撃を加えることができない。
スパローとはホーミング機能を備えた空対空ミサイルのことで、語訳をすれば「すずめ」という意味を持つF-15型戦闘機の主力武装のひとつだ。
現代の空中戦では欠くことのできない重要装備であり、F-15型戦闘機が今なお世界における空で活躍できる由縁でもある。
だが、今レーダーにうつる未確認飛行物体は、現代兵器を揃えた陸上自衛隊。それを瞬く間に撤退に追いやったのだ。
未だに信じられない。
しかし相手が何者かわからない以上、目の前の現実を信じるしかない
そう自分に言い聞かせ、リーダー機の搭乗員は操縦桿を強く握りしめる。
F-15の飛行速度と同等、或いはそれ以上の未確認飛行物体――。
今まではSFなどの非現実的なものは信じなかったが、今こうやって非現実的な光景を前にしては信じるしかない。
そんな風にして、目の前に広がる信じがたい現実を受け止めようとした瞬間。
"目標に対する攻撃を許可、態勢を追跡から追撃にシフトし飛行を継続する――敵――を撃墜せよ"
作戦本部より、都心上空に展開する全機に対し未確認飛行物体の撃墜命令が下される。
対象に対する攻撃許可――戦後以来、はじめて下された攻撃命令。
その命令を無線機より聞いた、リーダー機を含む全F-15型戦闘機の搭乗員。
ついに、許可が下りたか。
黒い操縦桿に装着されたちいさな赤いボタン。
それに親指を添え、東京上空に展開する全てのF-15型戦闘機の搭乗員は覚悟を決める。
「リーダー機より各戦闘員に告げる。たった今あの未確認飛行物体は我が国に対する敵と断定された」
レーダーに点滅する赤い光点
それを見据え。
「よって、対象。いや我が国の国民の生命を脅かす侵略者に対し――攻撃を開始せよ」
そう命を下し、操縦桿の先端にとりつけられたちいさな赤いボタンを押した。
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自衛隊の装備は今現在更新されています。
加筆修正を随時行っていきますのでご了承ください。




