ペルセフォネ②
人類は敵。この星に、人という存在は不要。
そして、夕日は復讐の為にペルセフォネは人類を滅する為にその力を奮う。
闇に堕ち。漆黒に染まった街。
そこに降り立つ、二人の悪。
おびただしい程の死体を眺め鼻歌を唄う夕日。
そして、表情ひとつ変えず惨状を見渡すペルセフォネ。
「……」
「人っ子ひとり居ないね。んーと次は、もっと人がたくさん居るところにいこっと」
愉しそうに身を翻し、夕日は新たな玩具を探す子どものように振る舞う。
その表情に罪悪感の欠片はない。
ペルセフォネはしかし。
"如月 夕日。その素質は闇に転じてもなお輝きを失うことはなかったようだな"
そう内心で呟き。
遠ざかっていく夕日の背を見つめる。
そんな夕日の元。
そこに駆け寄る、一匹の柴犬。
その姿に、夕日は「わーお犬さんだ」と声を響かせ、無邪気に柴犬と戯れる。
無機質な赤の瞳に、仄かな光を宿して。
「わんわん」
柴犬は夕日の頬を舐め、「くーん」と鳴き、鼻先を夕日のお腹へとあてる。
その柴犬を抱きしめ、夕日は呟く。
「この街に人間はもう居ないよ。あなたの飼い主さんもしんじゃったのかな?」
「?」
首を傾げ、「わん」と吠える柴犬。
「ははは。お犬さんに言葉は通じないか」
夕日は笑い、柴犬を抱き抱えて立ち上がる。
そしてーー
「お犬さん。夕日はね」
「……」
「自然や動物は今でもだいすきなの。でもね。人間だけは大嫌いになっちゃった。それはねーー」
なにかに語りかけるように、夕日は声をこぼす。
夕日の側。
そこに佇み、夕日の言葉を聞くペルセフォネ。
そのペルセフォネの気配。
それに気づき、夕日は言葉を飲み込む。
「あっまた、感傷に浸りそうになっちゃった。ごめんね、お犬さん」
「?」
柴犬を離し、夕日はにこりと笑う。
柴犬は「わんっ」と一吠えし、くるりと身体を反転。
そしてそのまま、後ろを振り返ることなく颯爽と走り去っていく。
「ばいばい」
柴犬を見送り、再び夕日の瞳から消える光。
「じゃっ、わたしたちも行こっか」
「……」
無言で頷き、ペルセフォネはその歩を進める。
夕日もまた、その後を追いかけるように足を踏みしめた。
歩きながら、夕日はペルセフォネに声をかける。
「ペルセフォネちゃん」
「なんだ?」
「呼びにくいからペルちゃんって呼んでもいい?」
「好きにしろ。名の呼び方などどうでもいい」
夕日の問いかけ。
ペルセフォネはそれに全く興味を示さない。
「ペルちゃん」
「なんだ?」
「わたしのことは夕ちゃんって呼んでもいいよ」
「断る。わたしはお前を如月 夕日と呼ぶ」
はっきりと意思を表明し、夕日を仰ぎ見るペルセフォネ。
そして更に言葉を続けた。
「わたしは馴れ合う気などない。ただ、如月 夕日と私が、同じ目的を持ち行動を共にしているだけなのだからな」




